東京都新宿区歌舞伎町の社会学を研究している慶応大生でライターの佐々木チワワ氏が3月13日、ニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。歌舞伎町のホストクラブ約200店舗が今年4月から廃止を目指す売掛金を巡り、「危ないのは、売掛金とは別にある立替金。実態は変わらない」と指摘した。
東京都新宿区歌舞伎町のホストが約50万円の売掛金を返済させるため、21歳の女性客に売春をさせようとした疑いで3月8日、逮捕された。売掛金を巡っては、昨年12月、新宿区とホストクラブ200店舗のオーナーが対策を協議。売掛金を自主規制で段階的に減らし、今年4月から全廃を目指すことで合意している。
辛坊)売掛金制度を廃止すると、ホストクラブのビジネスモデルは成り立たなくなるのではないですか。
佐々木)そうなると、女の子は稼いだ持ち金で来店するというスタンスになってくると思います。また、ホストが女の子に借金をさせるというギャンブル的な行為がしにくくなりますから、信用できる女の子しか客として残らなくなるのではないでしょうか。あとは、女の子が本当に好きなホストにしかお金を使わなくなってきているという印象はあります。
辛坊)それでも歌舞伎町のホストクラブは経営を維持できるのですか。
佐々木)結局、ホストも客の女の子も中途半端な人がいなくなりつつあります。本当の売れっ子はもともと売り掛けをせず、無理なく来店する女の子との信頼関係も築けています。ですから、無理して店の売上金を稼ぐとか女の子追い詰めるようなことをしていたホストは淘汰され、借金がないと働く気が起きないといった女の子も通いにくくなっているだけで、基本的には問題はないと見ています。
ただ一点、危ないのは立替金です。例えば私がお店に100万円の売掛金があるとしたら、その100万円はお店に返済しなければなりません。ただ、50万円なら返せるケースもあり得ます。そうなったとき、残る50万円についてはホストが個人的に立て替えて店に入金するというのが立替金です。ですから、ホストが店に入金した50万円は私がホストに返さなければなりません。簡単にいうと、ホストと女の子の個人間のやり取りです。
立替金は一部ではなく全額というケースもあります。実際に数日前、19歳の女の子が「売掛金はないけど、300万円の立替金がある」と話していました。その300万円はホストが全額を立て替えて店に払ったのだそうです。ですから、女の子はホストに300万円の負債があるということになり、その負債はホストが女の子から回収することになります。
売上金と立替金の仕組みは違いますが、どちらも女の子の首を絞めるような状況は起きやすいという意味では、実態は変わらないと思います。
番組情報
辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)