イスラエルの「ラファ侵攻」を止められないバイデン政権の事情
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国際政治アナリストの菅原出氏が3月25日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。パレスチナ自治区ガザの情勢について語った。
イスラエルのラファ侵攻は止められそうもない
飯田)パレスチナ自治区ガザの情勢ですが、アメリカなどはラファ侵攻を止めようとしているけれど、イスラエルのネタニヤフ首相は「単独でも実施する」と言っています。この展開をどうご覧になりますか?
菅原)停戦協議もしていますが、ハマス側とイスラエル側の要求は噛み合いそうにありません。このままいくと、イスラエルがラファに対して大規模な地上侵攻を行う可能性はあると思います。イスラエルは「やる」と言っていますから、多分やるのだと思います。そうなるとアメリカとの関係はさらに悪くなるでしょうし、非常に厳しい状況だと思います。
報復のレベルが上がり、危険な状態のイスラエルとヒズボラ
飯田)一方で、北にあるレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラとの間でも、紛争ではなく戦争状態にかなり近いところまで格上げしようと、強硬な議論が出ていると聞きます。この辺りはいかがですか?
菅原)エスカレーションが起き始めています。イスラエル側がかなり過剰に反応しており、国境付近だけでなく、レバノン国内の奥深くまで攻撃しています。ヒズボラもイスラエルとは全面的に戦争したくないのですが、報復のレベルがどんどん上がっており、非常に危険です。
紛争がレバノンにまで拡大する可能性は高まっている
飯田)「第5次中東戦争にまで至るのではないか」と言う人もいますが、いかがですか?
菅原)イランも含め周辺の国々は直接、戦闘に参加してこないと思いますが、ヒズボラとイスラエルがぶつかる可能性があります。いまの紛争がレバノンにまで拡大する可能性が高まっています。
飯田)ネタニヤフ首相は、そこまでやらないと自分の政権を維持できないと思っているのですか?
菅原)そうだと思います。自分の政治的なサバイバルを賭けて、「徹底的に戦争を行う」という方向はブレていないですね。
米大統領選を見据えているネタニヤフ政権
経済アナリスト ジョセフ・クラフト)ネタニヤフ政権は米大統領選の足元を見ていますよね。大統領選があるから、アメリカがイスラエルに対して強硬な行動が取れないと考えている。ネタニヤフ氏にとってはハマス殲滅が最重要課題ですから、その他は二の次であり、バイデン政権も難しい対応を迫られています。
飯田)ネタニヤフ首相はやはり、米大統領選を見ているのでしょうか?
菅原)トランプ氏の勢いが強まっていますし、トランプ氏の支持母体は「(イスラエルの)侵攻を支持してくれるだろう」と思っているのでしょう。バイデン政権に対する気遣いや配慮がなくなってしまうかも知れません。
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