外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が10月27日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。イスラエル・パレスチナ情勢について解説した。
国連総会がパレスチナ情勢で緊急会合、停戦決議案を採決へ
国連総会は10月26日午前、イスラエルとパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスの大規模衝突を受け、緊急特別会合を開いた。安全保障理事会が常任理事国同士の拒否権応酬で空転するなか、「即時停戦」を求めるアラブ諸国が作成した決議案を27日に採決する。
非戦闘員である一般市民を殺害し、誘拐するハマスの行為に対してなぜ、「即時停戦」となるのか
宮家)いまも国連では精緻な決議案の文言をつくっているのでしょうけれど、私はもっと簡単に考えています。例えば、日本の皆さんの町内で、反社会的集団が無差別殺人を起こし、人質を取り、武器を持っている。そのため町内一帯に入ることができない。病院も動かなくなってしまい、水も止まって籠城しているとしたら、どうしますか? 当然、警察が入りますよね?
飯田)そうですね。
宮家)そのような状態で双方に自制を求めたり、「即時停戦」と言われたら、「ちょっと待て。即時停戦ではなく、おまわりさんが捕まえに行くのではないのか?」となりますよね。
飯田)そうなりますね。
宮家)ハマスにも言い分があるでしょうから、そこまで単純化するつもりはありません。しかし、今回のやり方は酷い。いままで中東の酷い行為を色々見てきたけれど、こんなに酷いのはISIS(イスラム国)以来です。あんなことをする連中を、他国と同じように扱うのは間違っていると思いますが、どうでしょうか?
飯田)非戦闘員の人たちを殺し、誘拐し、陵辱している。
宮家)国家と国家の戦争であれば戦時国際法があって、お互いに戦闘員、軍隊としか戦わないのです。しかし、今回は最初から民間人を殺しています。
飯田)ターゲットにしている。
宮家)なぜかと言うと、イスラエルは強いからです。だからハマスは弱いものいじめをしている。私はどうして「バランスを取りましょう」という考えになるのかが理解できません。
「キャンプデービッド合意」「オスロ合意」から積み上げられた政治解決の枠組みを進めるべき
飯田)歴史的経緯というような話にもなってきますが、まずは事態認定ですよね。
宮家)歴史的にどんな経緯があろうと、人を殺していいわけではありません。いろいろな人がイスラエルの入植問題を取り上げており、私も国際法上、問題があるとは思います。しかし、実は国連で分割決議が出てから、パレスチナでもいろいろな国作りのアイデアがありました。戦争もあったけれど、「キャンプデービッド合意」や「オスロ合意」から交渉が積み上げられていって、1つの政治解決の枠組みが進んでいたわけです。
飯田)そうですね。
宮家)それを進めれば、いずれは反社集団も自ずと更正するかも知れないし、いなくなるかも知れない。そうなれば、地域は安定して繁栄するわけです。「お前は甘い」と言われるかも知れないけれど、この問題の本質は、もう少し単純化して考えたらもっと良く見えてくると思います。
イスラエルの自衛権を否定することはできない
飯田)G7各国が、さまざまな形でメッセージを出しています。基本的にイスラエルの自衛権を否定するという論は、かなり極端な向きからしか出てきていません。
宮家)否定できないでしょうね。
飯田)そうですよね。
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