Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね【第1242回】
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画・ドラマを発信する「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)」。
今回は、現在公開中の『ミッキー17』と『アンジーのBARで逢いましょう』をご紹介します。

画像を見る(全12枚) (C)2025 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.
『ミッキー17』ポン・ジュノ監督、最新作にして集大成
『パラサイト 半地下の家族』では、アカデミー賞作品賞をはじめ4部門を受賞。非英語作品としては初となる快挙を成し遂げ、ハリウッドに衝撃を与えたポン・ジュノ監督。ついに5年の沈黙を破り、最新作が日本でお目見えしました。
『ミッキー17』は、人類発展のために究極のミッションに就いた男の物語。全世界を驚愕と熱狂の渦に巻き込んだポン・ジュノ監督が、新たに描く世界観とは。
『ミッキー17』のあらすじ
これまで失敗だらけの人生を送ってきたミッキー。一発逆転を狙おうと、彼は人類の発展を使命に掲げる巨大企業と契約。“何度でも生まれ変わりながら働く”という仕事を手に入れる。
しかしその実態は、異常で危険な冒険に巻き込まれては生死を繰り返す“使い捨てワーカー”。契約書をよく読まずにサインしてしまったがために、ブラック企業のどん底で搾取される日々を送るミッキーだったが、ある日、企業側の手違いで彼の分身が現れて……。
『ミッキー17』のみどころ
主人公・ミッキーを演じたのは、『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』や『トワイライト』シリーズで大ブレイク。メジャー作品だけでなく、インディーズ作品にも果敢に参加し続けているロバート・パティンソン。本作では一人二役に挑戦。どう“二役”なのかは、ここで説明してしまうと映画を観る楽しみが削がれてしまいますので割愛しますが、役作りのアイデアは日本のアニメがヒントになったとのこと。
それぞれのキャラクターに絶妙なアクセントで対比をつける演技巧者ぶりを発揮しています。共演にはマーク・ラファロ、トニ・コレット、ナオミ・アッキー、スティーブン・ユァンなど、ハリウッドを代表する俳優がズラリ。ポン・ジュノ監督作品に新たな息吹きを与える好演は必見です。
自身の利益しか考えていない上司からパワハラを受けるミッキー。極寒の地で、凍死寸前の寒さに耐えながら任務を遂行するミッキー。そして、毒ガスが吹き荒れる場に放置されるミッキー。
業務のひとつひとつが過酷すぎて、いかにブラックな労働環境であるかをシニカルに描く一方で、ミッキーがまさかの反撃に出る下りは爽快。なんだかどこを切り取ってもダメダメな部分が際立ってしまう主人公なのに、愛着が感じられ、気づくと彼を応援してしまっているのは、観客の誰もが自分の中にいる“ミッキー”の存在に目を向けてしまうからなのでしょうか。
社会的な風刺が込められたSFエンタテインメントでありながら、おおいなる人間讃歌とも捉えられる本作。観終わったそばからもう一度観たくなる、中毒性の高い一作です。
『アンジーのBARで逢いましょう』誰もが彼女に魅了される
とある街にふらりとやって来た白髪の女性。自らを「お尋ね者」と称するアンジーは、いわくつきの物件を借りてバーを開くことに。様々な問題を抱えながらも懸命に生きる街の人々は、アンジーと触れ合うことで、まるで魔法にかけられたかのように“自分らしく”変化していく……。
『九十歳、何がめでたい』で映画単独初主演を飾り、年齢を重ねるごとに輝きを増す女優・草笛光子の主演最新作。謎多きヒロインをチャーミングに演じており、唯一無二の存在感で観客を魅了しています。他人に左右されない凛とした生き様に触れると、自然と元気が湧いてくる!?
痛快でファンタジックなヒューマンドラマ。あなたも映画館に、アンジーに会いに来て。

(C)2025 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.
<作品情報>
ミッキー17
大ヒット上映中
出演:ロバート・パティンソン ナオミ・アッキー スティーブン・ユァン トニ・コレット マーク・ラファロ
日本語吹替版:成河 山路和弘 朴璐美 中村悠一 田村睦心 内田真礼 花澤香菜
監督・脚本:ポン・ジュノ
原題:Mickey 17
配給:ワーナー・ブラザース映画
(C)2025 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.
公式サイト https://mickey17.jp

(C)2025「アンジーのBARで逢いましょう」製作委員会
<作品情報>
アンジーのBARで逢いましょう
2025年4月4日(金)から全国ロードショー
出演:
草笛光子
松田陽子 青木 柚 六平直政 黒田大輔 宮崎吐夢 工藤丈輝
田中偉登 駿河メイ 村田秀亮(とろサーモン) 田中要次 沢田亜矢子 木村祐一
石田ひかり ディーン・フジオカ
寺尾聰
監督:松本 動
脚本:天願大介
配給:NAKACHIKA PICTURES
(C)2025「アンジーのBARで逢いましょう」製作委員会
公式サイト https://angienobar.com/
連載情報

Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/