自衛隊の災害派遣活動 素朴な疑問を専門家に聞いてみた!【ひでたけのやじうま好奇心】

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依然として多くの方が避難所や車での生活を余儀なくされている熊本地震。
その被災地で、救助活動や物資の輸送、炊き出し作業など、さまざまな災害支援を行っているのが、自衛隊の皆さんです。

熊本地震の災害派遣に出動している自衛官は2万6000人。
きょうは、災害派遣活動における自衛隊の生活について、防衛ジャーナリストの桜林美佐さんに素朴な疑問を聴いてみました。

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Q.被災地における自衛官の生活、食事はどうしている?
A.自衛隊が災害派遣活動をできるのは「自己完結能力」があるからこそ。
宿や食事を用意してもらわなくても、長期にわたって活動できるように日々の訓練を重ねています。
被災地では、天幕のもとで生活し、食事も御飯の上に少しのおかずをのせた簡素な携帯糧食で済ましています。

Q.炊き出しで用意した食事などは食べない?
A.被災者には温かい料理を提供するが、それを自衛官が食べることはありません。
避難所で物資に余りが出たり、賞味期限が切れたものがあっても、自衛官が口にすることはありません。
また人前で食べている姿を見られないように努めているので、作業中は食事を抜いている場合も多いです。

Q.作業は交代制?
A.派遣される自衛官の数にも限りがあり、交代要員までは余力がないので、それぞれの作業が完全に終わるまでは交代ができません。
時間が経ち、作業が落ち着き始めると、徐々に近くの駐屯地で休憩するなど、戦力回復を行いますが、それも体育館に雑魚寝するなど、一般的な休憩のイメージとはすこし違うと思います。

Q.日頃からかなり厳しい訓練を積まれているんですね?
A.普段の演習や訓練の方が厳しいと、自衛官、誰もが口を揃えて言います。
侵攻事態に備えての訓練では、陸上自衛隊の場合、野外で数週間、1ヶ月の生活を送ることもあります。
災害派遣活動に全力で取り組めるのは、そうした厳しい訓練を積んでいるからこそです。
そして被災地では、皆さんからの「ありがとう」の言葉が、とても励みになるとも話されています。

Q.自衛官の入るお風呂はドラム缶?
A.作業が落ち着いて来たら駐屯地で入浴する場合もありますが、お風呂にはもともと入りません。被災地の方が充分に入浴できていないのに、自分たちが入ることはできないという想いからです。
個人的にはもっと合理的でよいと思うのですが、かつて少し休んでいると「自衛官がさぼっている」と言われたり、食事に関しても「自衛隊はいいものを食べているんじゃないか」と言われていた時代があったので、少し神経質になっている部分もあると思います。

Q.今回の熊本地震では、遠方からバイクで駆け付けた自衛官もいたそうですね?
A.被災地には車両は入れず、バイクでしか入れない場所もあるので、自衛隊の災害派遣活動において、バイクはとても大切な存在です。
今回の熊本地震では、北海道や東北の部隊がフェリーで現地に向かったり、先遣隊が空路で現地に入ったりしましたが、基本的には陸路です。

Q.救助活動において、自衛官が救助した相手や家族に名前を聞かれても個人名は名乗らないというのは本当ですか?
A.救助活動は個人ではなく部隊での活動なので、遠慮される方が多いと思います。

Q.自衛官をもつ家族。どのような思いなのでしょうか?
A.今回の熊本地震では、いち早く熊本の部隊が出動し、支援活動を始めましたが、自衛官、またその家族が被災しているケースもありました。
家族と連絡が取れないまま出動した自衛官もいたそうです。
家族が一番つらい時に支えてあげられない…というのは複雑な想いです。

しかし自衛官本人も家族も、その覚悟をしていると思います。

4月28日(木) 高嶋ひでたけのあさラジ!三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より

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