出てきたトノサマガエルもがっかり!?変わりゆく季節の生物観測【ひでたけのやじうま好奇心】

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今日はちょっと、硬い表現ですが、変わりゆく季節の生物観測について。
まず、桜の開花の観測って東京だけだと思っていたら、実は日本全国59箇所に桜の標本木があって、開花したとか満開になったとか。
まあそういえば、確かにきょうはやれ福岡で開花だとか、大阪だ、名古屋だ、東北だと桜の開花が毎日ニュースになっていますね。

出てきたトノサマガエルもがっかり!?変わりゆく季節の生物観測【ひでたけのやじうま好奇心】
(写真)千代田区観光協会ホームページ 3月30日靖国神社開花標準木付近のソメイヨシノ開花状況より

では、いったいいつ頃から桜の観測が始まったのかというと、今から60年以上前の1953年昭和28年に季節の変化を調査する目的で“生物季節観測”がスタート。

なぜそうなったか?と言うと、ワシントンで開かれた国際気象学会で「生物季節表」というのを全世界で作ることが決まった。
そしてそのために毎月、どこでどんな生物がどうなった。といった事を調べ始めた。
これが桜の開花や満開などを観測するきっかけだそうです。

この“生物季節観測”には日本全国で同じ生物を観測する“規定種目”と、地域特性などから各地の気象台が独自に選んだ“選択種目”の2つあります。
規定と選択、なんだかスポーツみたいですね。

動物だと初めて姿を見た日を「初見日」、初めて鳴いたのを聞いた日を「初鳴日」といい、植物だと、初めて咲いた日を「開花日」と言うわけです。
ちなみに、ソメイヨシノの木は寿命が60~80年と言われている、で、今では2代め、3代目と言った標準木が生まれている。

そういった“生物季節観測”のなかで、今、問題となっているのがトノサマガエル。
去年2015年、トノサマガエルが観測されたのは日本でわずか5つの県、三重県/高知県/栃木県/岡山県/鳥取県しかない。

ここでもっともな疑問の声が聞こえてきます。
「いやいやおまえ、うちの近所で、トノサマガエル、見かけたよ!」という方、結構多いと思います。

でもね、この“生物季節観測”の観測エリアというのがあって、原則として気象台の敷地内か、もしくは気象台から半径5㎞以内にある雑木林や水辺等に限るという規定があるため、そこで観測できなければ“生物季節観測”で正式に観測されたことにはならない。

ですから、“生物季節観測”が始まって以来、東京都と神奈川県ではトノサマガエルの観測はゼロ。
2011年から東京、大阪、名古屋、静岡など全国25の都道府県では、“生物季節観測”の対象生物からトノサマガエルが外したそうです。
というのも30年間で8回観測できなければ、資料として有効となる平均の値を出せず、調査の意味がない。
またトノサマガエルだけではなくホタルの観測も全国14ヵ所で、2011年に打ち切りになってしまった。

本来11種類、観測が行われているはずの季節の動物のうち、現在、東京で行われているのはウグイス、ツバメ、シオカラトンボ、アブラゼミ、ヒグラシのたったの5種類のみ。
しかもウグイスは2000年を最後に観測されていない。

変な話ですよね。私は季節関係なしに、ウグイスの鳴き声を何度も聞いています。
どうなんですかねえ。今、ケータイの時代ですから、写真で撮って、インターネットかなんかで気象庁のホームページにアップして、担当の係りの方がご足労ですけどその地域を散策してほしい。
だって割愛しちゃうと、せっかく出てきたトノサマガエルもがっかりしちゃう!

あれ?誰も俺のこと、観測しねえのかよ~って。

人件費の削減だとか仕方ない部分もあるそうですが、でも、この調子でいくと観測対象がどんどん減っていく、でも、生物の観測は人間が目視しないと出来ない。
つまり季節感がどんどん薄くなっていくという心配があるわけで。

もうひとつ何か工夫を凝らしていただけないかなと、思う次第です。

4月4日(月) 高嶋ひでたけのあさラジ!三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より

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