つい先ごろ、5月8日の阪神ヤクルト戦。
プロ野球の歴史に特筆されるような、前代未聞の珍事件が勃発しました!
阪神の攻撃、6回裏ツーアウトという局面で、なんと…レフトを守るヤクルト・バレンティンの目の前に、「魚」が降ってきたんです!
スタンドから誰かが投げ入れたんじゃありません。
この魚は、天から真っ逆さまに降ってきたんです。
腰を抜かさんばかりに驚いたバレンティンは、即座にタイムを要求、試合は中断!
超満員の甲子園は、騒然とした空気に包まれました。
試合後、バレンティンは、蒼ざめた表情で、こう証言。
「突然上から、魚が落っこってきたんだッ!なにしろ臭いが、スゴかったのなんの… ありゃたまんねぇぜッ!」
この奇っ怪な珍事件を受けまして、ヤクルト球団は、急遽、スペシャルTシャツを作って売り出しました。
先週13日から期間限定で発売されたこのTシャツ。
謎の魚と、戸惑うバレンティンの様子がデザインされておりまして、「BALENTIEN VS FISH」という文字がプリントされています。
※「BALENTIEN vs FISH」Tシャツ(3,000円。現在は販売終了)。
大騒ぎしているのは、日本の野球ファンだけじゃありません。
試合の直後から、海外の複数のメディアがこの事件を一斉に報じました。
たとえば、「FOXスポーツ電子版」は、「ジャパニーズ・ベースボールで空から魚が落ち、試合が遅延!」
という大見出しを打って、この珍現象を興奮気味に伝えています。
すると、世界中人々が、このニュースに大興奮!
ネットでも、喧々諤々の大騒ぎとなっているんです。
「オーマイガッ! 空から魚が降ってくるなんて、アンビリーバブル!」
「これは、ひょっとしてひょっとしたら、超常現象じゃないのか?」
「そうだそうだ! これこそは… ウワサのファフロツキーズ現象に違いないゼ!」
「その通りだ! これは、ファフロツキーズ現象だ!」
はて…?
海外のネットユーザーたちがこぞって叫んでいる、この「ファフロツキーズ現象」とは、一体なんぞや?
これは、昔から知られている超常現象の一種でして…
「Falls From The Skies」(「空からの落下」)という言葉の略語なんです。
空から、常識的には考えられないようなモノ──
たとえば魚が、あるいはカエルが、時には巨大な氷の塊りが降ってくる…
こうした摩訶不思議な現象のことを、学術的には、「ファフロツキーズ現象」と呼ぶのだそうです。
こういった現象、古くは紀元前の時代から目撃例がありまして、今日まで、連綿と報告が続いています。
映画の題材に使われたこともあります。トム・クルーズ主演、1999年製作のハリウッド映画『マグノリア』のハイライトシーンでは、大空から無数のカエルが一斉に降り注ぎます。
日本でも、かつて、この「ファフロツキーズ現象」で、上を下への大騒動となったことがあります。
わりと最近のことなので、覚えておいでの方も多いことでしょう。
いまから7年前の6月…日本各地で「オタマジャクシが空から降ってくる」という珍事件が頻発したんです!
ことの発端は、2009年6月4日。
石川県七尾市の道路で、オタマジャクシ約100匹が発見されたんです。
「空からオタマジャクシが降ってきた」としか思えない怪奇現象に、世間は、恐れおののきました!
すると、堰を切ったように、同様の目撃情報が相次いだ!
静岡、広島、宮城…などなど、このオタマジャクシ現象は、またたくまに全国に拡大!
メディアの報道も、エスカレートの一途を辿って行ったんです。
「なぜ、オタマジャクシが降ってきたのか?」
原因として、いろんな説が取り沙汰されました。
当時は、まぁ~いろんな方が、いろんな説を唱えたものでして…
早稲田大学名誉教授の大槻義彦教授は、「つむじ風説」。
天気予報士の森田正光さんは、「誰かのいたずら説」。
UFO研究家の矢追純一さんはというと… ハイ、もちろん「UFO説」。
(ちなみに、UFOがどういう目的でオタマジャクシを降らせたのかは、ちょっとよく分かりません…。)
さて、前置きが非常に長くなりましたが… ここで結論を申し上げましょう!
実は、あの「オタマジャクシ現象」… とっくの昔に、結論が出ているんです。
なぜ、オタマジャクシが空から降ってきたのか?
答えはスバリ!「オタマジャクシを食べた鳥が、上空で口から吐き出した」に過ぎないんです!
あの騒動のあと、私、鳥の専門家に、出演して貰ったことがあります。
当時、「北海道アオサギ研究会」の松長克利さんは、こう証言しておりました。
「議論の余地なく、サギの仲間の仕業に間違いはない。」
「アオサギは、ちょっとしたきっかけで未消化のエサを吐き出すものだ。」
「実際、私自身、(オタマジャクシは見ていないが)未消化のエサを空から吐き出すアオサギを、何十回となく、目撃している!」
そんなワケでして、オタマジャクシ騒動と同じく、今では「ファフロツキーズ現象」の大半が、合理的に説明がつくようになっています。
バレンティンの目の前に落ちてきた魚は、上空を飛んでいた鳥がウッカリ落とした、未消化の魚です。
これに合理的な疑いをさしはさむ余地はない、と言われています。
では、昔から何度も目撃されてきたという、カエルの雨は、なんだったのか?
イギリス、ケント大学のグリフィス博士によると、「ヨーロッパ・ヒキガエル」は非常に繁殖力が強く、短期間で莫大な数に増えることがあるそうです。
たとえば、無数のオタマジャクシが一斉にカエルに変わったりすると、事情を知らない人にとっては、「空から降ってきた」と勘違いしてもおかしくはありません。
実際、カエルの目撃例の中には、空から落下してきた場面そのものを目撃していない場合が結構あるんです。
では、ときおり報告される、「大きな氷」の場合はどうでしょう。
1978年、テネシー州の片田舎に、重さ11キロの「緑色の氷の塊」が落っこちてきたことがありました。
これは、当時、「謎のグリーン・ブロック事件」として、大々的に報じられたのですが…
連邦航空局が分析したところ、謎の氷の正体は、すぐに判明しました。
緑の氷の成分は、飛行機の水洗トイレに使われる緑色の薬剤と同じものだった…
つまり、上空を飛んでいた飛行機のトイレタンクから、薬剤が漏れてきて、それが凍ってしまった…ということなんです。
… 大山鳴動してなんとやら、幽霊の正体見たり、枯れ尾花。
謎の「ファフロツキーズ現象」なんら恐るるに足らないようです!
5月18日(水) 高嶋ひでたけのあさラジ!「三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より