パンを買うときはだいたいメロンパンを手に取ってしまうというメロンパンファンであり、“メロンパンウォッチャー”を自認するニッポン放送・東島衣里アナの『メロンパン最新事情リポート』
メロンパンを置いていないパン屋さんやコンビニにはなかなか出会えないほど、メロンパンは生活に浸透していますが、このところ、あることに気が付きました。
“メロンパンの種類が多すぎないか?”
そこで、「どんな種類があって、誰が買い、なぜこんなに多くなってしまったのか?」を調べてみました。
その前に…そもそもメロンパンは、誰が、いつ作り始めたのか?
あんぱんなら木村屋、クリームパンなら中村屋ですが、メロンパンは諸説あって、詳しいことが分かっていないのです。
発祥は明治時代のようなのですが、メロンパンの名前の由来も「焼きあがったビスケット生地の表面のひび割れが、たまたまマスクメロンに似ていた」という偶然説や、意図的に「高級なマスクメロンを模して、庶民のために作ったのだ」という逆の説など、他にもいろいろあって、定かではありません。
また、東日本では「メロンパン」と言いますが、京都や広島、兵庫、愛媛などでは『サンライズ』と呼んで、メロンはメロンでもマクワウリのようなラグビーボール型が多いなど、謎も多いのです。
また食感も、上のクッキー生地が固いサクサクバージョンや、やわらかくふんわりバージョン。中にいろいろ入っていることもあって、実にさまざま。
こうした「意外に定義がない“ゆるさ”」が、現在の豊富なメロンパン開発へとつながったようなのです。
今や各社2種類3種類のメロンパンを展開しているのは当たり前。
特にそれが顕著なのは、「コンビニメロンパンの戦い」です。
コンビニの棚を見ますと、何種類ものメロンパンが並んでいます。
ご存知の通り、コンビニは詳細に商品の出入りのデータを取りますが、メロンパンの購入層は「男女とも」「幅広い年齢層」で、各社ともに一年を通して売れ行き絶好調です。こんな商品はめったにない。
通常コンビニは、1ヵ月程で商品ラインナップを見直して入れ替えますが、メロンパンに関してはほとんど不動。そのコンビニでしのぎを削っているのが「高級バター系」と「フルーツ系」です。
「高級バター系」とは…メロンパンのパッケージにノルマンディー産バターやブルターニュ産バターという、なんだか高級バターを練りこんであるというもの。
「バター香るメロンパン」(FamilyMart/税込108円)や
「ブルターニュ産発酵バターを使ったサックリメロンパン」(LAWSON/税込108円)
など、外国産の発酵バターを練り込んで焼き上げ、頬張ると芳醇なバターの香りが、という贅沢な気分になるのです。バターの商品が増える冬に商品化されたものが多かったのですが、あまりの好評につき季節関係なく1年中発売を決定したという経緯があるそうです。
一方で「フルーツ系」は、色からして、『緑色』や『黄色』など、“メロン”というフルーツにこだわったというタイプ。
「もちっと北海道メロンパン」(FamilyMart/税込128円)
「しっとりメロンパン 国産メロン」(LAWSON/税込135円)
など、国産メロンの果肉や果汁を生地とクリームに使用したメロン尽くしが各社から登場。
メロン自体の甘さともちっとした食感が人気です。
バター以上に産地が多いメロンですから、新商品のメロンパンも作りやすい。
6月には茨城県鉾田市でメロンサミットという全国19のメロンの産地が一同に集結したメロンの祭典が開催されていて、セブンイレブンはそこに参加して、茨城県産のオトメメロンを使った期間限定「オトメメロンのメロンパン」(税込158円/茨城で限定販売中)を開発しています。
特に香りがいいオトメメロンの風味を最大限に生かしたジャムを挟み込み、当然の如く、地元・茨城でしっかり売れています。この手法で、ご当地メロンパンというのは今後、さらに増えていく可能性があります。
一方で、サークルKサンクスは、メロンではないフルーツを使ったメロンパンを開発。
その名も『みろんパン』!なんと、みかんのメロンパンなんです。(税込126円/静岡で限定販売/既に販売終了)。
静岡限定販売だったんですが、これも膨大な購買対象者データの分析によって「静岡県人はやはりミカンだ」という結果が出た。
とは言っても”ミカンパン“という、ずばりミカン!ということじゃなく、根強い人気のメロンパンに静岡みかんの果肉をジャムで入れるという手法で、話題性も美味しさも大きな話題をさらったのです。
ニッポン生まれのメロンパンは、今や外国人まで取り込んでいます。
日本を訪れる外国人、特に欧米系の人たちが「メロンパンは想像以上に美味しい!」と絶賛します。
こうした姿は、テレビ番組の「YOUは何しに日本へ?」や「所さんのニッポンの出番」などの“ガチンコインタビュー番組”でも確認され、『メロンパンを食べに来た!』と言っているのです。
きっかけは、外国人のブログやTwitter・Instagramに次々と写真や感想がアップされたことでコンビニメロンパンという存在に気がついた!ということで、通の外国人の間では“電子レンジで温める”食べ方が広まっています。
コンビニのみならず、浅草の老舗メロンパン専門店「花月堂」が外国人に大受け。
外はサクサク、中はふんわり、という「ジャンボめろんぱん」をこぞって求め、私が見た限り、店の前には、雷門の前より写真を撮る外国人観光客の行列が長かったと思います。
パンの国からのお客様にも認められたニッポンのメロンパン。
昔ながらの製法でゆるぎない人気の老舗もあれば、新商品で攻め立てるコンビニもある。
外国人まで巻き込んだ美味しい争いは、ますます加速する傾向にあるのではないでしょうか。
7月26日(火) 高嶋ひでたけのあさラジ!「三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より