「犀の角のようにただ独り歩め」。
何か自分が行きづまったときや、たとえようもなくさびしいときに、ふっとわたしの口をついて、このお釈迦さまのことばが出てきます。すると不思議に心はなだめられ、不如意も、怒りも怨みも消えてしまうのです。わたしはひそかにこれを自分の呪文としてきました。哀しみや怨みやさびしさに捕らわれている自分が、荒野をさまようただ独りの一角獣に見えてくるのです。
しょせん人間は孤独な動物だったんだという諦念が、あらためて胸によみがえってきます。
瀬戸内寂聴
撮影:斉藤ユーリ
「犀の角のようにただ独り歩め」。
何か自分が行きづまったときや、たとえようもなくさびしいときに、ふっとわたしの口をついて、このお釈迦さまのことばが出てきます。すると不思議に心はなだめられ、不如意も、怒りも怨みも消えてしまうのです。わたしはひそかにこれを自分の呪文としてきました。哀しみや怨みやさびしさに捕らわれている自分が、荒野をさまようただ独りの一角獣に見えてくるのです。
しょせん人間は孤独な動物だったんだという諦念が、あらためて胸によみがえってきます。
瀬戸内寂聴
撮影:斉藤ユーリ