仏教では、縁ということを、大切にします。わたしたちが生きていることのすべてはこの縁によって行われているのです。
たとえば家に柿の木があるとしましょう。その柿の木は、はじめからそこにあるわけではありません。だれかが食べた柿の種がそこに落ち、その種が地中から栄養をとり、そこに太陽や雨が降り注ぎます。こうして柿の種が生成する縁が加わります。
柿の種という因があって縁が作用し、結果として実がなる。実がなることを果といいます。因果の果です。原因があって、縁の作用が加わって、結果となる。
仏教ではこれを因果の法則といい、世の中のすべてを説明できるのです。瀬戸内寂聴
撮影:斉藤ユーリ