叱るということは愛情があるからです。
愛情がなければ叱る情熱も湧いてきません。
本気で叱るには、情熱とエネルギーがいります。
自分に向かって、本気でぶつかってくる親に対して、子供も真剣にならざるを得ないでしょう。
わたしは母と本気でよくけんかをしました。
母は本気で怒ったときは、子供のわたしを大人のように一人前にみて泣いて怒りました。
わたしはそんな母が好きでした。わたしを一個の人格として認めてくれ、全身でぶつかって怒りをぶちまける母に親愛感を抱きました。そんな時、わたしはいつもの時よりも母に愛されているんだなという実感をもったものでした。瀬戸内寂聴
撮影:斉藤ユーリ