わたしはただの一度も、一瞬も出家したことを後悔したことはないのです。
これはとうてい自分の力ではありません。どんなに好きあい一緒になった夫婦でも、十年もすれば別れたいと一度や二度は思うもので、倦怠期はさけようがないはずです。
なのに一瞬とも後悔せず三十年近くがすぎ、何か起こる度、ああ出家しておきてよかったと思うのは普通ではないでしょう。
これこそ仏の御利益、とわたしは解釈しています。
あるいは、ごほうび、というほうが分かりやすいでしょうか。瀬戸内寂聴
撮影:斉藤ユーリ
わたしはただの一度も、一瞬も出家したことを後悔したことはないのです。
これはとうてい自分の力ではありません。どんなに好きあい一緒になった夫婦でも、十年もすれば別れたいと一度や二度は思うもので、倦怠期はさけようがないはずです。
なのに一瞬とも後悔せず三十年近くがすぎ、何か起こる度、ああ出家しておきてよかったと思うのは普通ではないでしょう。
これこそ仏の御利益、とわたしは解釈しています。
あるいは、ごほうび、というほうが分かりやすいでしょうか。瀬戸内寂聴
撮影:斉藤ユーリ