工藤大輝、東京女子流を語る「ここ最近で見た中で断トツの作品です」
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【連載:工藤大輝と偶像音楽論。】第7回
夜明けが訪れるのは一度だけとは限らない。
しかし二度目の夜明けは深く遠く果てしない。
東京女子流 / predawn
この連載は毎月1日に更新させていただいておりますが、奇遇にも本日3月1日発売となりましたこの楽曲を軸に書かせていただきます。ちなみに東京女子流さんは数年前に「アーティスト宣言」をなさっているので、アイドルという枠には当てはまらないのですが、逆に今回は所謂アイドルグループが好きな人達に、こんな素敵なダンス&ボーカルグループがいるんだよ、と推薦させていただきたいなと思っております。
僕が初めてライブを観てインパクトを受けた楽曲「鼓動の秘密」は約6年前の作品。当時から楽曲の良さは他の追随を許さない程に圧倒的で、それはクオリティを保ったまま2015年まで安定して続きます。殆どの作曲や編曲を担っていた松井寛さんの音が元々好きだったという部分もありますが、イントロで分かってしまうほどのオリジナリティとファンク感が僕は大好きでした。
その後メンバー編成や制作系が一新されて2015年の年末にリリースされたアルバム「REFLECTION」は超前衛的で聴き込んでしばらく脳内が追いつくまでに時間がかかった記憶があります。ちなみに松井寛さんの音が好きだったという人には、新体制以降の現状全てのシングルにはRoyal Mirrorball Mixという松井寛さんRemixバージョンが収録されているので、その点は心配ありません。
感覚の問題ですが、聴きなれたモノから新しくなる時に必ずぶつかる壁みたいなものは必ずあって、普通はここで壁を突破できずに緩やかに下降していくパターンが多く、そうやって消えていくグループが殆どだと思います。
ただ、東京女子流さんは違いました。
その後シングルで「深海」「ミルフィーユ」と攻めの姿勢を一切崩すことなく突き進み、メンバーそれぞれが作詞など様々なクリエイティブに関わり、スキルや経験の研鑽を重ねた結果辿り着いた今回の新曲「predawn」はタイトル通りグループの新たな夜明けとなる名曲ではないかと感じています。活動のピークをどこに設定するかは人それぞれですが、満を持してやってくる予感がしてなりません。
四者四様、歌声の艶が増し、踊りの魅せ方が大人になり、表情も可愛いだけじゃない。映像の温度感や楽曲やボーカルの処理も含めて全てがネクストレベルになっています。いや、ほんとめっちゃカッコいい。
振付も段階があって、がむしゃらに踊る時代から大人になって、落ち着きつつ柔らかく力強く、余裕が見えてどこの音を取っているのかも分かりやすい。一見簡単そうに見えるかもしれませんが、メンバー全員が積み重ねた膨大なスキルあってこそ。他のグループの時もよく言ってますがこれはとても大切な事です。
それともう一つ注目すべきところはダンスカット以外のメンバーそれぞれのソロのイメージカットの部分。この部分の手振りと表情が全員とても上手い。これは慣れとセンスなんですけどね…素晴らしいです。
トータル色んな面から見てもここ最近で見た中で断トツの作品です。何回でも観たくなる映像って中々ないんですけど、これは何回でも観たい。
そして何よりライブが観たい。
3月5日から始まるライブツアー「TGS LIVE 2017 LIVE HOUSE TOUR ~Don’t give it up~」では、各地ライブハウスに赴くみたいですが、これもまた凄い試みだなと思います。ライブハウスでのダンスボーカルグループのライブは距離感は近いものの本当に環境や条件を含め色々大変なので、どんなライブになるのか想像つきませんし、だからこそ楽しみでもあります。どうにか、観たい。
ということで、ちょうどここまで書いて夜明けがきてしまったので、今回はこの辺で終了とさせていただきます。次回も楽しみにしていただけると幸いです。
したっけ。
文:工藤大輝
※ニッポン放送アナウンサー吉田尚記をアイコンとしたカルチャー情報サイト「yoopy」より転載