筆者も愛犬のお世話を依頼したことがある、ペットシッター。その仕事内容を、日本初のペットシッターサービスを1993年にスタートさせた「留守番わんにゃん」の山口照代さんに、今回は同行取材してご紹介します。
お散歩に行ってもらえる!
筆者がペットシッターを最初に利用したのは、自分自身の出産直後です。出産で尾てい骨を骨折してしまい、歩くのもやっとという状況にくわえ、夫も仕事が多忙で、なかなか愛犬を満足な散歩に連れて行ってあげられず……。
そんなとき、ふと「そうだ!ペットシッターさんはお散歩代行もしてくれるんだった」と思い出したのです。
筆者がお願いしたのは今回取材に同行した山口さんではありませんが、事前の打ち合わせで愛犬の性格や散歩での注意点などを伝えられたので、安心しておまかせできました。
その後、1泊程度の短期旅行のときは、ペットシッターさんにお願いすることが増えました。
LINEなどをとおして送信される毎回のお世話レポートが見られるのも、うれしいポイント。散歩中の愛犬のうれしそうな笑顔や、ゴハンを食べる様子などを写真で確認できるので安心です。
一度、「教えていただいたとおり“ダウン”と言ったら、鉄砲で撃たれたようにひっくり返りました! 私の発音が悪かったのか、“バーン”と間違えたみたいです」というメッセージを読んだときは大笑いしてしまいました。
お願いしたとおりに、室内遊びの一環としてトレーニングでコミュニケーションをとってくださっていたのがよくわかります。
飼い主さんの次に大好きなシッターさん!
山口さんと一緒に向かったのは、都内中心部のタワーマンション。仕事のために日本に滞在してゴールデン・レトリーバーのジャックと暮らしているカブレラ夫妻のお宅です。
ドアを開けると、ジャックはうれしそうな顔でシッポをブンブン振りながら山口さんに走り寄ってきました。隣にいる筆者のことは、チラッと見ただけ。明らかにジャックの反応が違います。
「私は何度も顔を合わせてますからね。ジャックもすっかり、第2の……、あ、元保護犬だから、第3の飼い主さんだと思ってくれているんじゃないかしら? こうして喜んでもらえると、こっちも笑顔になりますよ~」と、山口さん。
飼い主さんのご希望や訪問時間帯によりお世話の順序や内容は異なりますが、室内で排泄をほとんどしないジャックは、まずお散歩に。
帰宅後は、まずは飲み水を新しいものに換え、室内でのおもちゃ遊びタイムが始まります! 犬の歯も家具も傷めないソフトな素材のフリスビーを投げては持ってきてを何度も繰り返し……。
満足げな顔と少し疲れた様子を見せたジャックは、しばし休憩。
その間、山口さんは観葉植物への水やりと、リビングのジャックの抜け毛などを簡単に掃除します。
その後、指定された量のフードを用意して、ジャックに“Sit”でちょっと待ってもらいながら、フードボウルを専用のトレイにセッティング。ジャックも山口さんの顔をよく見ながら、落ち着いた様子です。
依頼主のお話
今回の依頼主であるカブレラ夫妻は、カリフォルニアのご自宅でもよくペットシッターを利用していたそうです。「アメリカでは、ペットシッターはすごくポピュラーな存在ですからね」とのこと。
日本ではペットホテルも見学したそうですが、「個室でも、ゴールデン・レトリーバーにはちょっと狭いなぁって感じてしまって。TOKYOという土地柄、カリフォルニアのデイケア施設ほどのゆとりあるスペース確保がむずかしいのは仕方がないですね。ならば、日本でもペットシッターさんにお願いして、ジャックに広い自宅で過ごしてもおうって」。
カブレラ夫妻がペットシッターさん選びで重視したポイントは、愛犬のジャックとシッターさんとの相性が良さそうかどうか。
「初対面でジャックが山口さんをとても好きになったのが、すぐに伝わりました。もちろん、私たちも山口さんならば信頼できると感じました。すばらしいペットシッターさんが見つかったおかげで、夫婦で安心して帰省や旅行ができます」と語るご夫妻は、シッティングの様子のレポートは内容が細かく、写真付きである点も満足されていました。
ペットのお世話の依頼先として、日本でも広まっているペットシッターサービス。
大型犬や多頭飼育をはじめ、ほかの人やワンちゃんが苦手な愛犬や、シニアドッグと暮らしている飼い主さんはとくに、旅行中のお世話はもちろん、お散歩代行などから利用してみてもよいかもしれません。
※利用料やサービス内容などは、ペットシッティング業者ごとに異なるので、ホームページやパンフレットなどをご参照ください。
連載情報
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ペットにまつわる様々な雑学やエピソードを紹介していきます!
著者:臼井京音
ドッグライターとして20年以上、日本や世界の犬事情を取材。小学生時代からの愛読誌『愛犬の友』をはじめ、新聞、週刊誌、書籍、ペット専門誌、Web媒体等で執筆活動を行う。30歳を過ぎてオーストラリアで犬の行動カウンセリングを学び、2007~2017年まで東京都中央区で「犬の幼稚園Urban Paws」も運営。主な著書は『室内犬の気持ちがわかる本』、タイの小島の犬のモノクロ写真集『うみいぬ』。かつてはヨークシャー・テリア、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らす。東京都中央区の動物との共生推進員。