北朝鮮ミサイル発射~半島は朝鮮戦争終結後最大の緊張!高嶋ひでたけのあさラジ!

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4/6(木)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③

北朝鮮のアクションによっては“朝鮮半島有事”があり得る!?
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター佐藤優(作家・元外務省主任分析官)

北朝鮮の弾道ミサイル発射について速報する韓国のテレビ=20170405ソウル駅 写真提供:共同通信社

北朝鮮の弾道ミサイル発射について速報する韓国のテレビ=20170405ソウル駅 写真提供:共同通信社


北朝鮮ミサイル発射~米軍は「発射されたのは新型ではなくSCUD ER」と修正

北朝鮮によるミサイル発射を受け、日米韓の3ヶ国は北朝鮮が6回目の核実験などさらなる挑発に出る可能性もあると見て警戒を強め、阻止に向けた圧力を強化する方針です。一方アメリカ軍は、今回のミサイルは中距離弾道ミサイル「SCUD ER(スカッド)」で、発射は失敗だったと分析しています。

高嶋)ひょっとすると、何事かが動く気配もあるというようなことなのですね。まず、昨日もミサイルを発射しましたけれども、それを含めてニッポン放送報道部森田耕次解説委員です。

森田)北朝鮮は昨日の午前6時42分頃、日本海側の東部・新浦(シンポ)付近から弾道ミサイル1発を発射しまして、およそ9分間飛行しておよそ60km沖合に落下しました。
今回のミサイルについてアメリカ軍は、当初推定した新型の中距離弾道ミサイルではなくて、中距離弾道ミサイル「SCUD ER」だったと分析を修正しまして、発射は失敗だったとしています。このSCUD ERは先月上旬に4発同時に発射したミサイルと同じ型です。
北朝鮮は北東部の豊渓里(プンゲリ)では核実験の準備とも取れる動きをしておりまして、韓国政府は金正恩朝鮮労働党委員長の決断次第でいつでも核実験を実施できる状況と見ています。
またICBM-大陸間弾道ミサイル発射実験準備も最終段階にあると表明しておりまして、北朝鮮は6日からの米中首脳会談の結果を見て実施時期を判断する可能性も出て来ております。こうした中、安倍総理大臣と菅官房長官は昨日次のように述べています。

安倍総理)今後更なる挑発行為をする可能性も十分に考えられます。

菅官房長官)米国の軍事オプションが含まれている。これについて政府が解説するというのは差し控えたいというように思います。米国は「あらゆる選択肢がテーブルの上にある」という、そういう姿勢を示している、このことについては評価したい、このように思います。

森田)先ほど安倍総理大臣とアメリカのトランプ大統領が電話会談を行いました。日米韓3か国で緊密に連携する方針で一致した模様です。
アメリカのトランプ政権はこの北朝鮮対策を巡り、あらゆる選択肢を検討しているとされておりまして、日本政府の関係者は「弾道ミサイルがもしハワイとアメリカ本土の間に落ちるようなことがあれば、アメリカは黙っていないだろう。朝鮮半島有事が起きる可能性が無いとは言えない」と予測しております。またアメリカのメディアによりますと、NSC-国家安全保障会議はミサイル発射施設への先制攻撃、あるいは首脳部の除去を狙った特殊作戦を排除していないと伝えています。
こうした中トランプ大統領の最側近のバノン主席戦略官兼上級顧問がNSCのメンバーから外れました。現在は国家安全保障問題担当でフリンさんから代わったマクマスター大統領補佐官がNSCの人事を含めて主導権を完全に掌握したと見られているのですね。


朝鮮戦争終結後最大の緊張状態 今月中にも大きな動きが?

高嶋)外務省で主任分析官をやっていた佐藤さん、いろんなインテリエンス、情報を手元に集め、人の意見も聞き、そして自分の頭脳でも分析し、こうするのだということを決める訳ですよね。それで今森田解説委員が言った大まかなアウトラインの情報と、佐藤さん独自の細かい情報もあろうかと思いますけども、今の段階では朝鮮半島を佐藤さんはどういう風に分析されているのですか?

佐藤)今朝鮮半島は、朝鮮戦争終結後最大の緊張だと思います。その前の緊張はいつかというと、金日成の末期、北朝鮮が最初の核開発をしようとした時にクリントン大統領は空爆を考えていた訳ですよね。あの時に近いと思います。しかも今回機会の窓が非常に狭まれていまして、もしやるとすれば今月中になるのですよ。

高嶋)今月中?

佐藤)それを日本も分かっているから、先ほどの菅さんの「コメントできない」とか、あるいは長嶺韓国大使、釜山の日本総領事館前に慰安婦像ができたから日本に呼び戻したのに、慰安婦像が無くなっていないのに帰しましたよね。それくらい情勢が緊張しているからですよ。なぜかと言うと5月の9日に韓国の大統領選挙が予測されているでしょ。そこではかなりの確率で北朝鮮に対して融和的な人が大統領に当選しそうですよね。

高嶋)多分文在寅(ムン・ジェイン)だろうと言われていますよね。

佐藤)その場合、韓国の大統領が北朝鮮に融和的な人になったら、北朝鮮を空爆したらどうなります? 韓国政府は何をやるのだと、アメリカに対して。非難をする。そうしたら国民、これ大きなデモが起きますよ。「アメリカは何をするものだ。我々の同胞を殺した。北であっても南であっても我々の同胞だ。同じ民族じゃないか。米軍は出ていけ」という話になって、韓国が蜂の巣をつついたようなことになる。ならば、そういうような状況になる、北朝鮮に融和的な人が出て来る前にやらないといけない訳ですよね。

高嶋)選挙前だと?

佐藤)ええ。政治的にはですから今月しかないのです。
あともう一つ北朝鮮の方がそれくらいの危機感があるという状況で逆に“ピンチはチャンス”と考えている危険性がある訳ですよ。そういう状況だから今北朝鮮に本格的な空爆をする、あるいは北朝鮮に特殊部隊を上がらせて混乱を起こすということになった場合に、アメリカは韓国のマネジメントは大変になるでしょう。ならばここで強く出れば交渉に応じてくるのではないかと。

高嶋)北はそう思うかもしれない。

佐藤)恐らくそう読んでいるのです、ここの所やっていることは。だから例えばSCUDミサイルなんていうのは撃ったってそれは軍事的な意味合いは無い訳ですよ。これは大陸間弾道ミサイルを撃たなきゃいけないので。それを逆に慌てて今回米中で「ちょっと動きを止めようね」というのが出てきたらそれに対して「お前らの言うことなんて聞かないぞ」という、そういう向こうからの返信なのですよね。だからそういうような形でミサイルを作っていわば文通のようなことをやっている訳ですよ。

高嶋)そうかそうか。ということは、日本にも大変重大なことはもちろんなのですけどね、もし今月中にやらなきゃいかんということになると、勿論飛び立っていくのは日本から飛び立って行く訳ですよね。

佐藤)飛び立って行く可能性は高いですよね。それから百数十ヶ所北朝鮮は今ミサイル施設があると言われていますから、地下工場で、それを同時にピンポイントで攻撃することは恐らく難しいと思いますから、これいくつか生き残ると反撃で「日本の在日米軍基地をやる」と言っていますからね。そういうような形になるとこれは安保条約第5条即ち日本が攻撃されたという、日本が戦争に巻き込まれるという直接的な状況になる訳ですよ。それが今月中に起きるかもしれない。

高嶋)あるかないかは分からないけれども。

佐藤)分からない。確率について今それで何%とか言う人がいたら、嘘つきか情勢が分かっていない人か。

高嶋)でも0か100かですよね、つまりね。

佐藤)そうです。要するにあり得るか、あり得ないかと言ったら“あり得る”ということなのですよ。こういう状況というのは久しぶり。だからそこが怖いのですよ。だから1994年頃のあの緊張がもう1回戻ってきているという感じですね。23年ぶりくらいの緊張ですね。ただ不思議なのは、その緊張感が殆ど日本の世論で共有されていないことです。

高嶋)アメリカは今どう踏みますか? 大統領は。

佐藤)アメリカは“キャッチボール”ですね。ですから先程のニュースで重要なヒントがあったのですけども、北朝鮮が大陸間弾道ミサイルになり得るようなミサイル発射実験、即ち大気圏の外側に出ていくような、あるいはその能力が明らかにあるよと示すようなミサイル実験を行った場合にはアメリカが“外科手術”、それに出る可能性がある。
シナリオがふたつあるのですよ。ひとつは“施設の爆破”。もうひとつは施設がどこにあるか分からない、百何十ヶ所と地下にあるのだから、その場合には業界用語で「中立化」っていう用語があるのですね。平たく言うと“殺してしまう”。それは指導部即ちあの少しふくよかなお兄さんを殺してしまうと。こういう風になる可能性がある。

高嶋)今まだ日韓、米韓はやっているのですよね?

森田)合同軍事演習が4月末まで行われる予定ですよね。

高嶋)そうですよね。何か“渡りに船”みたいな感じが、そんなことを言ったら怒られるか(笑)。

佐藤)だから合同軍事演習もシグナルなのですよ。そこの所で平壌に渡って、彼らは「首狩り作戦」と言っていますけどね、それだってできるのだよと。だからよく考えてみなさいと言っているのですけども、逆にそれを北朝鮮は「できやしないだろう、韓国情勢を考えたら。それは虚勢だ」と見て逆に強く出ると。そこの読みがどうなるかですね。


NSCから外れたバノン氏~未だ揺らぐトランプ政権

高嶋)最後になってしまいましたけども、バノンさんがNSCから外れるというのが、これはどういう意味合いなのですか?

佐藤)私はこの手腕でいくと今トランプ政権で起きていることってあまり深く考えなくていいと思うのです。当事者にとっては重要だけども、国家にとっては関係の無い権力闘争と。
即ちトランプはうんと強い人ではないのです。トランプの周辺にいくつかの側近グループがあって、それぞれの側近グループはトランプが独裁者でうんと強い人だと見せていると得をすると、こういう風に思っているだけですから、その中でバランスが著しく崩れるようなことをする人間は「あいつつまみ出せ」と。こういう風になる訳ですよね。
しかしNSCからつまみ出しても公職から追い出す、そこまでの力は今回追い出そうとした人たちには無い訳ですよ。だからバランスを取り直したということだと思います。バノンさんの力が強くなりすぎた、急速に。だからバランスを取り直したと。その程度のことだと思います。ですから政策には影響を与えないです。

高嶋)そうですか。まだトランプ政権というのはしっかり固まっていないし、そういうような状況で万が一の、確率は分かりませんけども、今月中に何かやるという決断はできるのですか?

佐藤)トランプはやると決めたらやります。トランプの腹次第です。

高嶋)そうですか。じゃあ北朝鮮も非常に緊張感が高まっているのでしょうね。

佐藤)ものすごく高いですよ、今。

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