6/2(金)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!②
総選挙まであと6日~英保守党勢いに陰りで焦るメイ首相
7:02~ひでたけのニュースガツンと言わせて!:コメンテーター宮家邦彦(キャノングローバル戦略研究所主幹・外交評論家)
イギリス選挙は争点をひとつに絞れていない高嶋)宮家さん、ここは6日後に迫りましたイギリスの総選挙のお話。何やら形勢がガラッと変わって来まして。大手の調査機関の現在の予測では、メイさんの保守党は20議席も議席数を減らすだろうと。
これは非常にびっくりしたのですが、今日の新聞によると、高齢者の在宅介護の自己負担の見直しがメディアから「認知症税」だとやり玉に挙げられている。「負担費用を捻出する為に家を売らなければならなくなる」という強い反発が出ていると、まあ福祉政策には反発しているというのですけど。随分形勢が変わってしまったようなのですが。宮家)そうですね。まあ目論見は僕正しいと思うのですよ。
日本と似ているところがあって、安倍さんも1期目は小泉さんが取った300議席で引き継いだでしょう。これで選挙に勝たなきゃいかんのですよ。自分の自前の選挙をやらないと権力基盤が強くならないから。そうするとEUから足元を見られちゃってまた交渉が難しくなるから、やはり勝負に出たのですよね。僕はそれ正しいと思う。
ただ問題は、認知症税だかなんだか知らないけども、あれはもうEU離脱一発で決めれば良い、争点をひとつに絞れば良かったのですよ。小泉さんみたいに「郵政解散」だとか何とかも一発で争点を絞らないと、いろんな争点を増やせば当然反発で出て来るので、やっぱりだめですよね。高嶋)作戦の失敗。
選挙の結果次第ではEU離脱交渉にも影響が宮家)だけどイギリスの世論調査って当たった試しが無い、最近。
高嶋)あ、そうなのですか。
宮家)分かりませんけども、ブレキジットってそうだったでしょう。だからまだ分からない、あと1週間ある訳ですから、これを見て「あ、これは大変だ」と言ってある程度寄り戻しがあるかもしれません。分かりません。
高嶋)なるほどね。メイ首相としてはやはり3月にEUとの交渉が始まりましたけれども、何か議会でやっとこさ勝ってるような、そういう状況では力が無い訳ですよね。だからよく動向を見たら「これは勝てる」と。労働党もどうも弱いらしいし、あのコービンさんというのですか、あの人も何となく風采が上がらないと。
宮家)だから勝てると思ったのかもしれませんね。
高嶋)勝てると、そう判断して5年に1回、もうちゃんとやる日にちも決まっているような選挙をわざと前倒ししたと。
宮家)そう。あれは解散権も総理にはありませんから。
高嶋)もうキャメロンさんがそういう風にやっちゃったから。
宮家)だからいい意味でその政治状況を作って解散まで持って行ったのだけど。
高嶋)そこで、先を聞きたいのですよ。これもしメイさんが負けて、あるいは労働党も過半数にいかない宙ぶらりん状態になっちゃったとする……どうなるのですかこうなると?
宮家)何も決まらなくなるということですよね。だから労働党もどこまでEU離脱を本気で考えているのか。
高嶋)離脱交渉も止まるということですか?
宮家)そうですよね。だって交渉をしようにも、じゃあイギリスは何をしたいのといったら「うーん、ちょっと待ってね」っていう話ですからね。
高嶋)そうか、まず選挙でメイさんが勝たなかったら「あなたは退場よ」ってことになるから。
宮家)下手したら退場ですよね。もしくはもし連立を作れれば良いけども、メイさんの負け方次第ではもう彼女は退陣ですよね。
そうしたら労働党の内閣ができるでしょう。だけど何をやるのって「うーん、あんまりまだ決めてないんだよね、これからよく考えるから」と。そんなことをやったら、2年しか無いのですよ、離脱交渉って。もう既に始まっているのに2年で終わるとは思えない。つまりこのままイギリスの議会が何も決められないまま――高嶋)大変な迷走状態に入るということですよね。
宮家)その可能性はある。まあ迷走というかもう何だかよく分からない内に「あれそんな話あったっけ?」ってことになる。
高嶋)そうするとイギリスは他の島で「いや俺のところは独立したいんだ」ってところがあるじゃないですか。あんなのとかと兼ね合わせはどうなるのだろう。
宮家)いやだからね、これはやっぱり大英帝国の黄昏パート3くらいだね。やっぱり昔のような力が、知恵があったのでしょうけどね、今はもう言いたいことを言うようになったからバラけてきたのかもしれません。やはりここで強いリーダーがちゃんと出て来ないといけないのだけど、彼女は強いかと思ったらあまりそうじゃなかった。
高嶋)一気に形勢が変わるっていう選挙の恐ろしさですね。でもまだ結果は分かりません。
宮家)まだまだ分かりません。