6/19(月)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③
米では軍用船が最優先の法則、日本では民間船と対等
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター須田慎一郎(ジャーナリスト)
真夜中の衝突、艦長室と最新レーダーが大破静岡県石廊崎沖の太平洋で一昨日、アメリカ海軍のイージス艦「フィッツジェラルド」とフィリピン船籍のコンテナ船が衝突しました。アメリカの主要メディアは行方不明の乗組員7人全員が死亡したと報じています。
イージス艦に大量の海水が流れ込み、船体は右に傾くと衝撃の大きさを物語っています。事故が起きたのは一昨日の17日午前1時半ごろ、伊豆半島にある石廊崎の南東およそ20キロの沖で、イージス艦「フィッツジェラルド」とフィリピン船籍のコンテナ船「ACX Crystal」が衝突しました。コンテナ船は名古屋港から東京港、東に向かう途中でして、「フィッツジェラルド」は警戒任務中でしたが、真夜中ということで乗組員の多くは就寝中だったと見られます。116人が使う居室、部屋が浸水して、艦長のブライス・ベンソン中佐の部屋は完全に破壊されたということです。コンテナ船は東京の大井埠頭(おおいふとう)に停泊しておりまして、第三管区海上保安本部が乗組員から事情を聴いています。関係者によりますと、乗組員はイージス艦と同じ方向に航行していてぶつかったと証言しており、イージス艦の右の後方からコンテナ船がぶつかった可能性があるということです。また昨日はアメリカ海軍の第七艦隊の司令官ジョセフ・アーコイン中将が横須賀で記者会見をしました。複数の遺体を収容したことが公表されましたが、衝突の原因につきましては「何が起きたのか分かっていないので推測しない」と言及を避けております。このイージス艦というのはご存じの通り、ミサイルの迎撃機能があります。広い範囲がカバーできる「フェーズド・アレイ・レーダー」という最新機器が搭載されていますが、今回の衝突で右舷側のレーダーの周りがえぐれるように大破しておりまして、弾道ミサイルの防衛の中枢機能がダメージを受けているのではないかと言われています。ただこのイージス艦につきましてもご多分に漏れず日米地位協定の壁がありまして、一次裁判権がアメリカにあります。海上保安庁が情報提供を依頼しているわけですが、くだんのことで言ってみれば機密の塊でありまして、どこまで情報が公開されるか原因究明がなされるか不透明な状況です。
米では軍用船が絶対優先高嶋) まずアメリカ側が事故原因を調べると。それと並行して、司令官も「日本がやるならいくらでも協力する」と言っていましたよね。映像を見る限りコンテナ船のほうが3倍も大きく、荷物を山のように積んでいた。あの重量で横っ腹に「どーん」と直撃を食らったら、1万トンもないイージス艦があんなふうになってしまうのかと。すさまじい感じですよね。
須田) 現代船においてはかつての白兵戦というのはありませんからね。ぶつかることを想定していないですし。加えて慣性の法則で重いほうが勢いでぶつかっていくとあれだけの衝撃が起こることはわかりますよね。
高嶋) 架空みたいな話をして申しわけないですけど「ドカーン!」と来たとき、一気に浸水したでしょう? 艦長の部屋がやられて出られなくなってしまった。艦長や乗組員にしても、一瞬でも北朝鮮からの攻撃とイメージしましたかね?
須田) おそらくそこはイメージしていないかと思います。アメリカで取材をしたことがあるのですが、こういった船・船舶・航空機の場合、軍用船・軍用機が最優先の法則というのがあります。民間のほうに全部回避義務が課せられていて、軍用機や軍用船が通っていくとさあ~とみんな避けていく。一定の海域、区域を空けるというのがアメリカのルールです。平時・戦時においてもね。おそらく自分たちが警戒しなくても相手が避けてくれるという意識が、私はあったと思います。日本の場合は対等ですからね。
高嶋) 土曜日に辛坊治郎さんが午後の番組で「どけや、オラオラ!」という感じで戦艦が来ると(笑) 言い切れないけどそういうのがあるそうです。
須田) 空域を見ると、東京上空の横田空域。ここは絶対に民間航空機が入ってはいけないという最優先空域がありますが、海の場合はそういったものが設けられないのですよ。あれだけ交通煩雑していますから。そういった日米の違いというのが、今回の事件の背景にあると思います。
高嶋) まだ原因はわかりません。