8/10(木)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!②
米・朝の威嚇の応酬が高まる
7:03~ひでたけのニュースガツンと言わせて!:コメンテーター佐藤優(作家・元外務省主任分析官)
威嚇し合う米朝 さらに緊張が高まる
北朝鮮の金正恩委員長とアメリカのトランプ大統領が互いに激しい表現で威嚇し合っています。かつて無いまでに緊張感の高まる米朝ですが、アメリカ国防情報局によると北朝鮮は小型化した核弾頭を60発所持しているという情報もあり、事態は更に混沌としていく見通しです。
高嶋)佐藤さん、新聞の見出しだけ見ていても産経新聞の一面なんかは「米・朝衝突リスク高まる」、それから毎日新聞は「米・朝威嚇の応酬」、人によっては「言葉の戦争ね」と言っている方もいるのですけど。
「北はアメリカをこれ以上脅さない方が良い、世界が見たことも無いような炎と怒りに直面することになる」とトランプ大統領が得意のゴルフ場で発言をしたということなのですが。この辺はどうですか、何だか北朝鮮の金正恩さんの発するような言葉とトランプさんの発するような言葉が同じようなことを言っているのですよ。佐藤)それは一昔前の日本国内の話ですけど、中核派と核マル派の「相手が血の海に沈む」とか「完全殲滅」とか、そういった感じですよね。
アメリカの大統領というのは今までそういうことを口にしなかったのですよ。そういう厳しいことを言うときというのはもう武力攻撃の完全な準備ができているときなのですけど、トランプだから言葉が軽いのですね。
アメリカの情報では北朝鮮は小型化に成功した核弾頭を60発所持している?高嶋)それで今日、産経新聞やその他が伝えるところによると、アメリカのワシントンポストが国防情報局(DIA)の分析で、簡単に言えばもう北朝鮮は大陸間弾道ミサイル(ICBM)に搭載できる核の小型化に成功してしかもそれを60発持っているというようなことを具体的に書いているだとか。
佐藤)まずワシントンポストは非常に保守系で、DIAとは関係が良いのですね。DIAというのは軍事情報を集めているところなのですが、あそこは情報源や情報の根拠を言わないのです、軍事情報だから言ってはいけないのです。だからそれは本当の話なのか嘘の話なのか、誰も分からない。
じゃあ60発核兵器を持っているということならば、小型化に成功しているというのは一昨年から日本政府もその可能性が高いと言っていますよ、それは言えるのですが、“60発”というのは見て来ないと分からないのですよ、核兵器は地下にありますから。
じゃあ実際に見て来ることができる、あるいはスパイを送り込む、あるいは核兵器を作っているところで働いている人間をアメリカが協力者に取り込んでいて、60発を確認しているということが本当にできる能力が今のアメリカのDIAにあるのかと。仮にそれができる能力があるのだったら、金正恩を中立化する、消してしまうことができますよね。
だから私のように昔情報屋さんをやっていた人からすると「おいおい、細かすぎるぞ。お前たちの能力で“60個”ってどこで見て来たんだ?」と、こんな感じがしますね。
米朝2国間交渉の可能性~その終着点は「アメリカに届かないミサイルなら良い」佐藤)でもやり方ははっきりしているのですよ。実は戦争が近づいているのでは無いのです、逆ですね。このままだったらICBMが完成して核兵器も搭載できて、60個アメリカに飛んで来たら大変なことになるぞと。だから2国間交渉を始めないと駄目だと。北朝鮮との交渉を始めないと駄目だと、こういう見方ですよ。
実は日本で薮中元外務事務次官という人がいて、この方が6月にPHP新書から「トランプ時代の日米新ルール」という本を出したのですね。これ日米関係に関する本かと思ったら、外交全体について書いてあるのです。先週の日曜日に毎日新聞で評価を書きましたが「米朝2国間の直接交渉は有り」という見方を示していますから。彼は北朝鮮外交が長いですからね。
となると我々が心配しないといけないのはどういうことかというと、トランプが「アメリカまで届くミサイルさえ作らなければ後は良いよ」と。実はパキスタンがそうですからね、核兵器と弾道ミサイルを持っているけどアメリカには届かないと。高嶋)結局それで認めてしまいましたからね。
佐藤)となると、日本は全域が北朝鮮の核ミサイルの攻撃範囲内になると。そして北朝鮮はそれを背景に我々を脅して来ると。でもトランプは「自分の身は自分で守れよ」と、これでお終い。
高嶋)そういう危険性が強いという判断なのですね。
佐藤)そういうことが出て来そうな嫌な感じがします。
高嶋ひでたけのあさラジ!
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