トランプ大統領「通商法301条による対中調査を指示」の意味とは?

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8/15(火)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③

北朝鮮問題への対策が目的なのだが
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター富坂聰(ジャーナリスト・拓殖大学教授)

トランプ大統領「通商法301条による対中調査を指示」の意味とは?
トランプ大統領が対中調査の大統領令に署名

アメリカのトランプ大統領は14日、日本時間の今日未明、通商法301条に基づいて、中国による知的財産権侵害の実態を調査するよう、通商代表部に指示する大統領令に署名しました。貿易相手国への一方的な制裁措置の発動に繋がる可能性のある、301条調査は、トランプ政権では初めてです。

元々アメリカの企業が中国へ進出して、現地中国企業と合弁事業を行う場合に、最先端技術を中国側に移転するように要求されることが多く、アメリカの企業から対応を求める声が上がっていました。
トランプ大統領は日本時間の今日未明、「通商法301条に基づき、中国による知的財産権侵害の実態を調べるように」と、通商代表部(USTR)に指示する大統領令に署名しました。

1974年にできた、このアメリカの通商法301条は、不公正貿易の是正を目的に、相手国からの輸入品に高い関税を課すなどの制裁を認めています。トランプ大統領は「あらゆる措置を検討する」と述べ、制裁も辞さない考えを表明しました。アメリカとしては、核ミサイル開発を加速する北朝鮮への対応で、中国の協力を引き出すために、通商面から圧力を強めるという狙いがあります。

ただ、この北朝鮮問題が、アメリカと中国の間の貿易摩擦に、拍車をかける形になる、というような懸念もあります。
中国外務省の華春瑩副報道局長は、「朝鮮半島の問題と、アメリカと中国の経済問題は、同じ性質の問題ではないだろう。不適切だ」と批判しています。

こうしたなか、中国商務省と税関当局は「北朝鮮からの石炭や海産物などの輸入を、今日15日から、全面的に禁止する」と発表しました。中国政府は「国連の安保理による、制裁決議の履行を確約することで、アメリカと北朝鮮が対話の軌道に戻ることを促したい」という思惑があると見られています。


制裁を掛けたとしても、抜け穴だらけ

高嶋)トランプさんはずっと中国に対して「北朝鮮に圧力をかけろ」と言い続けてきて。ついこの間は「中国には本当に失望した」とか、言いたい放題でした。
中国が、北からの主力のいろいろな製品を輸入禁止にする、これの本気度と、アメリカが通商法301条を発動するかの本気度。この辺を両方考えると、どのような展開が予想できますか?

富坂)そもそも中国は、圧力制裁で、北朝鮮問題が解決するとは思っていないのです。だから、こういうことは付き合いでやるわけです。

高嶋)「やったところで北朝鮮問題は解決しない」と腹の中では思っているわけですね?

富坂)そう思います。抜け穴もたくさんありますからね。中国がやらないのだったら、他のところとやる、という穴もたくさん空いていますから。
なので、そういう意味では、「これで解決するとは全く思っていない」というのがありますね。
アメリカは、たとえば、この技術移転の問題は日本も苦労してきたわけですが、ところが、これは、ドイツのような国がどんどん技術移転して、「じゃあドイツとやっちゃう?」という話になるのですよ。
それで、各国競争になって、中国の市場が欲しければ、「日本がやらないなら、やるよ」という風にドイツにやられてしまうケースも、けっこうあるわけです。そうなってくると「301条は効くのかな?」というのがありますよね。
あと、これから中国に製造拠点を移すという動きも、ほとんど無いですよね。なので、この問題が大きな問題かというと、そうではない。
だから、これは「あまり大きな問題ではない」と分かって、トランプさんはやったのでは?という気がしないでもない。


米中の貿易摩擦の中心は今後ITになる

高嶋)国際社会というのは、やはり自分の国の利益のために、いろいろな腹の探り合いをして。「向こうがやらないなら、こっちが……」みたいな。つまり、両方共に効き目はないということですか?

富坂)かもしれないですね。実際のところ、アメリカは国連で北朝鮮の制裁というのは、新たに強いのをやりましたが、アメリカ議会がこの間、ロシア、イラン、北朝鮮に対する制裁をしているわけですよね。それに加えて中国をするとなると、4か国になりますよね。イランも、ロシアも、関係がもの凄く悪くなっている。ここで中国というのは、なかなか……四面作戦ですか?という。
なので、これらは現実的な話なのか、国際的な視野から見ると、どのようなつもりなのかな、と。
ただ、米中の貿易摩擦の中心は絶対にこれからITになりますので、本丸には来ていない気がしますけどね。

高嶋)ダンフォードさんも一応、話し合いというのがまず来ているのですが、これの可能性というのはあるのですか?

富坂)あると思います。韓国は完全にそれを見ていると思います。なので、今度話し合いの土俵に乗るときに、「韓国、日本は外されるんじゃないか」ということがある。最小限の場合、米中朝の3カ国。そこにロシアが入ったとしても、6か国協議からすると、2つの国がなくなりますので……

高嶋)北朝鮮だって言いたい放題言って、国民の喝采を浴びるかもしれないけれど、飢えている方は頭に来ているかもしれないですが、平壌で豊かな生活をしている方は、金正恩様様でやっていますからね。
だけど、それだけでいくと思っていないという、冷静さはあるのかな?

富坂)とにかく、彼が欲しいものは、自分の権力が安定することですよね。それは間違いないと思います。

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

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