12/5(火)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③
在韓米軍兵の家族を退避すべきとの声も
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター富坂聰(ジャーナリスト・拓殖大学教授)
“史上最大”の米韓両軍合同訓練 北朝鮮・木造船も大量に日本海に漂着
韓国とその周辺で昨日始まったアメリカ軍との定例の共同訓練について、韓国軍は韓国のメディアに「史上最大規模だ」と説明しました。一方アメリカ共和党のグラム上院議員はCBSテレビのインタビューで、北朝鮮との間で軍事衝突が近づいているとして韓国に在留するアメリカ軍兵士らの家族を退避させるべきだと訴えました。
昨日始まりました米韓両軍の定例の共同訓練「ビジラント・エース」は8日金曜日までの予定で、最新鋭のステルス戦闘機や電子偵察機など航空機およそ230機が投入されています。この内のおよそ75機は在日アメリカ軍基地からの参加です。
今回の訓練の主な目的は北朝鮮の弾道ミサイルの移動式発射台や南北軍事境界線付近に集中的に配備されているロケット砲などの破壊手順の確認という風にみられています。
北朝鮮は昨日朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」で今回の訓練について「核戦争勃発の前奏曲だ。決して座視せず断固対応する」と非難をしています。
またアメリカの共和党有力者のグラム上院議員はCBSテレビのインタビューで「北朝鮮との軍事衝突が近づいている」とした上で、韓国に駐留するアメリカ軍の兵士らの家族を韓国から退避させるべきだと訴えています。グラム上院議員は「先制攻撃は最終手段になる」とした上で「北朝鮮が核実験を行えばアメリカによる重大な対応がある」と述べています。
一方北朝鮮の木造船が相次いで漂着しておりますが、先月11月下旬に一時避難した北海道松前町の無人島の松前小島で、保管されていた網など漁具の大半が無くなっていることが分かりました。漁師の避難小屋からもテレビや冷蔵庫、炊飯器といった家電などが無くなっていることが既に分かっていまして、北海道警は窃盗の疑いがあるとして木造船との関連を慎重に捜査しています。また島の高台にある灯台の電源用ソーラーパネル36枚の内4枚が取り外されて、港で発見されたことも明らかになりました。
北朝鮮からとみられる木造船の日本海沿岸での漂流や漂着は先月11月に28件確認されています。今年に入って毎月5件以内に留まっていた漂着なのですが一気に増えた形です。この季節日本海では波が高くなっているのに簡素な木造船で無理な漁を続けていることが背景にあるとみられています。
軍事演習は一種の“対話” 貧しい国は金の掛かる通常兵力よりも核を選ぶ
高嶋)いろいろと伺いたいのですが、今出た木造船の大海の藻屑と消えるというような、全く安全性の無い船で彼らは遥々やって来なければならないと。何だか近海の漁業権を中国に売ってしまったという話があってとんでもないなと思うのですが。
彼らは無人島のテレビでも何でも盗んで持って行ってしまうというような貧しさの中で、一方で国は火星(ファソン)15型を開発するなどアメリカの脅威にさらされながら本当にアンバランスなことをやっている。それで今最大規模の米韓軍事演習が行われている、これは相当な脅威でしょうね。富坂)そうですね。だから今年は北朝鮮の報道がとても日本で増えて、北朝鮮の状況が非常によく分かるようになったのではないかと私は思うのですが、皆さんは恐らく考えたと思うのですけど、しょっちゅう合同軍事演習をやっているなという感じが分かりましたよね。今年は「フォールイーグル」から始まって「乙支(ウルチ)フリーダムガーディアン」とか、今回も大きなものをやりますけど、ずっとやっていて結局これは敵対している国を想定しているのでソフトプレッシャーは掛かっていると思うのですね。
合同軍事演習というのは実はひとつの“対話”で、例えば「あなたがこういう武器を持っていて、それに対するオフセットを我々は持っていますよ」ということを見せるわけですよね。だから「これを持っていてもあなたは無駄ですよ」ということを見せ合うものなので、それは一種の対話なのですよね。
そうなってくると実は昔の中国と同じで北朝鮮というのは核に走るしかない。なぜかというと、通常兵力というのはものすごくお金が掛かるし更新していかなければならない。例えばこういう兵器を持っていたけれども向こうがオフセットをして来たらまた新しい物を開発して性能を上げて行かなければならないので、これはすごくお金が掛かる。だから要するに1発で反撃できる核に走るというのは実は中国の60年代の政策と全く同じなのですよね。つまり貧しいところは核に走ると、これはもう当然のことになってくるのです。アメリカは北朝鮮と2国間で対等の立場で交渉するつもりは無い?
高嶋)これでアメリカが北朝鮮が全く手も足も出ないような最先端の軍事力を海から山から空から誇示して、要するに向こうを交渉に引っ張り出そうということなのですか?
富坂)引っ張り出そうというよりも「投降して来い」ということですよね。少し大げさな言い方をしましたけど、要するにあまり対等な立場で話をしようとはおそらくアメリカは思っていないですよ。だからこちらの出した条件を全部飲んだ上で出て来いということなのですよね。
だけどそれにはやはりあまりにもハードルが高すぎるので、中国が今提案しているのはとりあえずこちらも軍事演習をやめる、そして向こうは核開発などを全部放棄というのは言及しないでとりあえず今やっているミサイルの試射や核実験をやめるという状況で対話できないのかと言っているのですが、アメリカはおそらくもう少し要求が高いのですよね。
多分2国間でテーブルに着くつもりも無いので、北朝鮮なんかと2国間で話をする必要は全く無いとおそらく今の段階では思っていますね。高嶋)相当な上から目線ということですね。それで森田さん、昨日の産経新聞で北朝鮮側が実はアメリカ側に対して会談を持ちかけていたと報じられていましたね。
森田解説委員)そうですね。今年だけで8回北朝鮮高官との会談をアメリカ側に提案しているということなのですよね。これはアメリカのシンクタンクに対するインタビュー記事ですね。
高嶋)これは本当なのですかね?
富坂)だと思いますよ。というよりこれだけでなくしょっちゅうやっているのだと私は思いますね。そんな安全装置も無しに自分たちが消滅するかもしれないようなことというのはそんなに踏み込まないと思うのですよね。
軍事攻撃による被害者が出て来る危険性は北朝鮮にとって“命綱”?
高嶋)それで最大の圧力を日本も協力していて、海上封鎖というか海でも民間の船を昔で言う臨検みたいなことをして、一応船長の許可を得てからなんて言っていますけど、そういうことをやっていると。それから中国にも「石油の輸出を止めろ」とか非常に強硬なことを言うと。これでぐっと首を絞められていくと少し心配なのは、あってはいけないことですけど北朝鮮の“暴発”という。それをまたアメリカは何かの切っ掛けを待っているのかもしれないし、その辺はどうでしょう?
富坂)そうですね、アメリカが北朝鮮と今戦争をするメリットというのは基本構造としては無いのですよね。だけど例えばトランプさんが国内でものすごく北朝鮮政策を巡って「駄目だ」とか「弱腰だ」とか言って責められるとか、そういう状況になるとけっこう危ないと私は思うのですよね。だからむしろアメリカの事情の方が私は怖いですね。
高嶋)昨日のニュースでやっていましたが、ちょっと品の良いおじいちゃんのグラム上院議員が在韓米軍の家族を退避させろと言っていて、こういうのが出て来るとまさに戦争前夜みたいに段々となって来ますよね。
富坂)そうですね。だから1994年の第1次朝鮮半島危機のときは実際に退避させたのですよね。それで具体的計画を練ってあまりにも予想される犠牲者数が多いということで退いたのですよ。
もちろんそういうのがあるのですが、例えばアメリカも基本的には民主国家なので、これは今我々が考えているのと違って、例えばこれは1,000人でも死者が出れば風が変わるので、今議論しているのと全然違う感じになるのですよ。「どうしてこんなことになったんだ?」という話になっていくので。だからある意味でそういうのも想定していくと、これはそう簡単にはできないですよ。ある機関の出している被害予測は200万人ですよね。そうなると何の為の実力行使だったか分からなくなりますよね。大量破壊兵器を北朝鮮が持つことが危ないから取り上げるわけで、取り上げる為に200万人が死んだら「え?」ということになりますからね。高嶋)その危険性というのは逆に言えば北朝鮮の“命綱”ですよね。それがあるから動けないだろうと。
富坂)そういうことです。だからそれは最大限人質に取ってくると思いますし、彼らの生存を懸けるとしたらおそらくそこしか無いので、やはりそれは必ず犠牲を出そうということでやって来るかもしれないですね。
高嶋)演習もいろんな見たことの無いような戦闘機とかが出て来て軍事オタクだけが興奮していると。あとはそのデモンストレーションでどうなるわけでもないと言う人もいるし。だけどいわゆる猫の神経だったらあまりに音がうるさくて怖いから“ちょっかい”を出すかもしれませんしね。
富坂)そうですね。金正恩という人が見えないのが少し怖いですね。
高嶋ひでたけのあさラジ!
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