エルサレム首都認定~クシュナー氏とネタニヤフ首相の意外な関係とは?

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12/19(火)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!②

国連安全保障理事会で首都宣言撤回の決議に米国のみ拒否権発動
7:02~高嶋ひでたけのニュースガツンと言わせて!:コメンテーター高橋和夫(放送大学教授・国際政治学者)

エルサレムの首都宣言はアラバマ州の上院補欠選挙で票を獲得する為

国連安全保障理事会は日本時間の今日未明、エルサレムをイスラエルの首都と認定したアメリカのトランプ政権に対し撤回を求める決議案を採決したが、アメリカのみが拒否権を発動した為廃案となった。トランプ大統領がこのタイミングで首都宣言をした理由や娘婿のクシュナー氏とイスラエルのネタニヤフ首相との意外な関係について放送大学の高橋和夫教授に詳しく伺う。

高嶋)国連の安全保障理事会、びっくりするようなニュースでは無いのですけど、アメリカのトランプ政権がエルサレムをイスラエルの首都としたと。これを撤回しろということで決議案が出たのですが、アメリカが拒否権を発動しました。これは当然の結果と言えますが、イスラエルのネタニヤフ首相がアメリカについて「真実が嘘を打倒した、ありがとうトランプ大統領」と称賛のTwitterを投稿したということなのです。
先生に伺いたいのはエルサレムを首都にしたいろんないきさつはずっと報道をされていますけど、なぜ今になってトランプさんが急に実行に移したのかということなのですが、先生はどう判断されていますか?

高橋)実はエルサレムを首都と認めるという法律は1995年にアメリカ議会で通っていて、ただ6ヶ月ごとに大統領の判断で「国家安全保障上の不利益が生ずる場合はやらなくて良い」ということで延期して来て、トランプさんも今年の6月には延期をしていたのですね。ところが12月になってから今度は「延期しない。首都はエルサレムだ、大使館を移すぞ」ということを言って、なぜかというとトランプさんがおっしゃったのが6日で、12日にアラバマ州で上院の補欠選挙があったのですね。
アラバマ州というのは共和党が強い州で絶対に共和党が楽勝だと思っていたのに共和党の候補者にいろいろなスキャンダルが出て来て、未成年の女性と不適切な関係を複数持っていたというような議論があって、キリスト教に熱心な方々の票が離れるのではないかという心配が出て、そこで実はアメリカのキリスト教原理主義の人たちはずっと求めて来た「エルサレムをイスラエルの首都として認める」ということをやれば票が逃げないのではということでトランプさんがここで突然言い出したのではないかと思います。

高嶋)上院は100人で接近していますから、やはり共和党としては勝たなければいけなかったということで、だけど弾が少し悪かったということですかね?

高橋)そうなのですね。にもかかわらず負けてしまったということですね。

高嶋)ということは、その為にエルサレムをイスラエルの首都にすると言ってしまって、これだけの混乱を生じたことは結局効果としては何も現れなかったということですか? 損をしてしまったと?

高橋)アラバマ州についてはそうですね。ただキリスト教右派の熱心な人たちにとっては「トランプはちゃんと約束通りやってくれるんだな、これまでの大統領と違うんだな。次の選挙でもこいつを応援してやろう」ということになると思うので、全くの無駄ということでは無かったと思いますね。

クシュナー氏とネタニヤフ首相は“同じベッドの仲”

高嶋)私はこのニュースを聞いたときにすぐ連想したのがクシュナーさんなのですけど、彼はユダヤ教の熱心な信徒なのですよね。

高橋)そうなのですね。それで不動産の大きな会社の2代目ですよね。お父さんが沢山イスラエルに寄付をしていることで知られているのですね。特に占領地に入植地を作る際にはお金を出していると。
今のイスラエルのネタニヤフ首相が首相になる前にこのお父さんのところに寄付を貰いによく来ていて、まだクシュナーさんは子供でネタニヤフさんがお客さんとして来るとベッドが足りないということでクシュナーさんのベッドを空けてクシュナーはどこか地下室かソファーで寝て、彼のベッドでネタニヤフさんが寝ていたというので、あの2人は同じベッドを使った仲だというのがアメリカでのジョークですね。

高嶋)縁戚関係みたいなものですよね。

高橋)そうなのですよね。そういう意味ではネタニヤフさんはトランプさんが大統領になってクシュナーさんが中東問題を担当することになるとすごく喜んだと思いますね。

イスラエルの現状 多くの兵士に警備され新たに住宅建設も

高嶋)3つの宗教の聖地ということで1キロメートル四方という風にも言われていますけど、今は相当険悪な感じになっているのですか?

高橋)それでも合っていますし、普段でもイスラエル兵が要所要所に自動小銃を持って立っていて、沢山の巡礼者もいるので雰囲気は悪いですよね。便利なのは我々慣れない人は道に迷ったら「出口どこ?」とたくさんいる兵隊さんに訊けるのですぐ教えてくれるということですね。
でもパレスチナの人にとってはいつも見張られているという感じで、銃を持っている人も見張っていますしカメラもたくさん設置されていますので、本当にがんじがらめな気がしますね。

高嶋)住宅を東へエルサレムに1万4,000戸とか、ああいうのも着実にやるわけですね。

高橋)そうなのですね。だからこれまで作った住宅がたくさんありますから、パレスチナの人たちが見回すともうイスラエルが作った新しい住宅ばかりという感じで「この人たちはこの土地を返してくれないだろうな」と思ってもおかしくないですね。

高嶋)ということは、明日何があるのかというのも逆に心配になりますね。

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

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