12/12(火)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!②
首都移転宣言の狙いは世界大乱?
7:02~高嶋ひでたけのニュースガツンと言わせて!:コメンテーター手嶋龍一(元NHKワシントン支局長・作家・外交ジャーナリスト)
エルサレム首都移転の法律は1995年に既に議会を通っていた
トランプ大統領が中東のエルサレムをイスラエルの首都と認めると宣言したことについて、1995年のクリントン政権下で法律が議会を通っていたことが明らかになっている。外交ジャーナリストの手嶋龍一氏はこの問題をめぐり様々な要素が絡んでいると指摘する。
高嶋)まさにトランプ大統領は四面楚歌状況みたいな感じのエルサレム首都移転宣言ですが、イスラエルのネタニヤフさんだけは賛成していると。だけど後は皆「そんなことをやって大丈夫なのか?」と。
私は思うのですが、そんなことを言うのだったら1995年に議会がそういうことを宣言して通している、これはそもそも何だったのですか?手嶋)法律が通っているのですね。
高嶋)そのようですが、おかしいじゃないですか?
手嶋)全くその通りなのですが、ここは日本では想像を絶してしまうと思うのですけど、このときは民主党のクリントン政権ということになります。そして超党派でほとんど法律が通っているということなのですけど、このエルサレムに首都を移転するという法律の決議にもし反対するということになると、ワシントンの街は強力な「ユダヤ・ロビー」という知恵もお金も票もあるという人たちに立ち向かうことができるような大統領とか議員はほとんどいないという風に言われているのですね。
高嶋)そんなに強力なのですか?
手嶋)ものすごく強力ですね。具体的に言えば「AIPAC(アメリカ・イスラエル公共問題委員会)」というユダヤ・ロビーの幹部から僕のところに電話が掛かって来て「情報を交換したいんだけど」と言われたら、生放送があってもそれを調整してでも僕は出て行きます。それは影響力が強いのでは無くてそのくらい超一級の情報を持っているからなのです。
だから当時法律が通ったのですけど、その実歴代の大統領は半年ごとに署名をして、法律は通ってひとまず正式のはエルサレムにという風に認めているのです。高嶋)顔は立てたけども現実問題としてはそんなことはできるわけが無いと。
手嶋)そうです。そういう風にやってきたのですが、その建前と本音というところをかなぐり捨てて、今回大使館自体を移すのだと言ってそれを国務省、日本で言う外務省に命じているということになったのですが、実際はティラーソン国務長官も大統領との関係が良くないということもありますけど、事実上サボタージュをしていますよね。ここもどれくらい微妙な話であるのか、まさに世界大乱のきっかけになるかもしれないということを外交・安全保障のプロは全員知っているということですね。
高嶋)世界大乱のきっかけになる可能性があると。
トルコのクルド人独立やトランプ大統領のロシア疑惑 大変危険な首都移転宣言をめぐる諸問題
高嶋)トルコのエルドアン大統領の、あのときの怒りの爆発具合というのは凄まじかったですよね。あんな演説は初めて見ました。
手嶋)今トルコはクルド人の独立という問題を抱えている微妙なところ、そして実はその微妙なバランサー、勢力均衡のまさに焦点にいるのがイスラエルなのですね。従ってそのイスラエルが今度まさにアラブ穏健派も含めて全部敵に回るという、これは首都移転問題も含めてトルコの存立に関わるということです。
それでは「どうしてそんなことを大統領が」と言われるのですが、僕はいろんな人にこれを訊かれるのですけども、実はトランプ大統領が「こういう理由で」という説明を、普通はするのですが、できないのですね。できないのですが、あえて言うと今トランプ大統領のことについてはロシア疑惑で訴追の輪が少しずつということになります。これはそこまで行く可能性もある、少なくともミラー特別検察官はそれを狙っているということになります。
ここで「中東に大乱を」ということになると、世界の目もアメリカの目もそんなところではないということになりますよね。そういう狙いが実はあるのではないかと思っているほど度肝を抜くような、あえて言えば大変危険な宣言であるということになると思います。高嶋)何だか北朝鮮の情勢にも関心が薄らいでしまったと言う人もいますが。
手嶋)これはやはりあえて世界の目は北朝鮮からまさに中東に移って、元々9・11テロ事件以来アメリカの持てる全ての力を注いで中東にという、これは東アジアに戦略の巨大な空白ができますよね。その間隙を突いて北の独裁国家はまさに核とミサイルを開発するということになります。そういう流れを助長すると思います。
高嶋ひでたけのあさラジ!
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