2018年は日本の音楽が世界を席巻! 再評価高まる“80年代シティポップ”とは

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2018年は日本の音楽が世界を席巻! 再評価高まる“80年代シティポップ”とは

“2018年は何が変わるか?!”

ラジオ局らしく、“音楽の大きなうねり”を紹介したいと思います。

まずはひとこと、「レコードの時代が確実に来る!」ということです。
というより、もう来ているのです。大手レコード会社のソニーが、今年3月から29年ぶりにアナログレコードの自社生産を再開することを発表して、すでに音楽業界では大きなニュースと受け止められています。配信で音楽を手に入れる人が大半を占めるようになって、CDが売れなくなった。これはもう、多くの人がご存知の現象でしょう。

その一方で、欧米から始まったのが「アナログレコードのリバイバル」。
最初はレコードを懐かしんで聞くノスタルジーな原点回帰現象だったのですが、これが今は一過性ではなくなったのです。欧米でのアナログレコード流通量はすでに1980年代後半と同じ水準にあり、しかも購入者の半数を占めるのはアナログレコードの時代を知らない若者たちだというのですから、もはや懐古趣味だなどと言っていられない。

ではなぜ、「レコードの時代」がやってきたのか?!
CD、ハイレゾ、アナログレコード。
の音源が一番いい音か?という議論が様々な場所で交わされていますが、だいたい評価としてまとまった意見は・・・
「ハイレゾは息遣いや楽器一つ一つの音がしっかり聞こえる高音質」。
「アナログレコードは音の塊の心地よさ」。

つまり短く言えば、音楽の心地よさを重視するなら、アナログレコード。
よって、心地よく音楽を聴きたい人が増えてアナログレコードが売れているので
す。

ではどんな音楽ジャンルが注目されているのか?
“心地よさ”にも完全に合致するのですが、日本の”シティポップ“が再びキているのです。

シティポップって、誰のこと?どんな曲?想像つかないかもしれませんね・・・例えば1980年の山下達郎の「Ride On Time」。
「シティポップ」とは・・・1970年代から80年代、フォークではなく、ロックでもなく、
ポップ寄りのシンガーソングライターが発表した音楽のことを言います。

アーティスト名で言うと、はっぴいえんど、山下達郎、大瀧詠一、細野晴臣(ほそのはるおみ)、矢野顕子、尾崎亜美、原田真二、大貫妙子(おおぬきたえこ)など。

それまでの「フォーク」や「歌謡曲」の特徴である『歌』中心の音楽ではなく、曲全体が心地よく聞こえるように凝ったサウンドが特徴になっています。このスタイルは、当時、非常に洗練された都会的=アーバンな音楽と受け取られ、
“ニューミュージック”と呼ばれていたのを覚えている方も多いでしょう。
いまでは、このジャンルのことを、「シティポップ」と呼んでいて、実は世界的に認知されつつあるジャンルなのです。

1981年にリリースされ、売り上げ180万枚というレコード史上に残る金字塔を打ち立てた寺尾聰の寺尾聰のアルバム「リフレクションズ」。寺尾聰も、シティポップの代表的な歌手の一人です。

我々なんかは、この時代を知っていますし、シティポップと言われてもピンとこない。しかし、いまシティポップに夢中になっているのはこの時代を知らない世代、この時代を知らない国の人たちなんです。

数年前に、イギリスのDJが「ニッポンの80年代の音楽=シティポップが素晴らしい!」と発信。DJ自身がクラブでかけることで、あっという間にヨーロッパに“シティポップ”というジャンルの名前が広まっていった。

一方で、いま探そうと思えば、youtube 上で、シティポップがどんな音かすぐに分かる。それを聴いて確かめた欧米の音楽ファンたちが「本当だ!ジャパンのシティポップがめちゃくちゃイケてるよ!」と高く評価。日本にシティポップのレコードを買いに来る外国人まで大勢いる、という現象が起きているのです。

冒頭で“アナログレコードの時代になってきている”、と言いましたが、いまやCDショップは何年か前から、『レコードショップ』に回帰しています。タワーレコードも、HMVも、CDの売り場は減少し、レコードショップとなっているのをご存知でしょうか。中古レコードもあれば、現在生産されているレコードも並んでいます。

こうした大手のレコードショップにも必ず「シティポップ」売場があります。ここには中古の懐かしいレコードが並んでいます。はっぴいえんどの「風街(かぜまち)ろまん」12000円。シリア・ポールの「夢で逢えたら」22000円。状態や需要と供給の関係で、値段はまちまちですが、あまりのお高さにびっくりすることもあります。

こうした中古を買っていくのは、その時代を知らない世代。そして、欧米系外国人。
英語表記なんてのはないのですが、あらかじめネットやYoutubeで狙いのレコードを調べていて、日本語しか書いてなくても迷いなく目当てのものを買っていくのです。

その理由は「シティポップの音楽性が驚くほど高いから」。
「音楽の構成がいい」「音の質が心地よい」「メロディにセンスがある」と、海外からも絶賛されています。

これまで「邦楽が海外で評価されないのはレベルが低いから」と言われてきましたが、それは都市伝説だったことがよくわかります。単に海外で流通量が足りてなかっただけで、インターネットが普及したYoutube全盛の時代の今、日本の音楽の質は十分に高かったことが証明されたわけです。

またレコードショップには、レコードプレイヤーもいくつも置いてありまして、1万円ぐらいから買えて、意外に敷居が低い。また、試し聴き=視聴が出来るので、選ぶときに気軽で、逆に何枚も買ってしまう人ばかり。

再評価されているシティポップ世代のアーティストの代表格は大貫妙子。
透明な歌声が美しいですが、代表曲は「シャルウィダンス?」など比較的新しいものが多くて、正直、それ以外の大ヒットがあまりなかった。

ところが、1977年に出したセカンドアルバム『SUNSHOWER』(サンシャワー)が去年、再プレスされたところ完売。そして今年また再々プレスされるというヒットを飛ばしています。実際、テレビ東京の「YOUは何しに日本(ニッポン)へ」という番組で、欧米から大貫妙子のこのアルバムを買いに来たという青年が密着取材を受けていました。

それから再評価されているシティポップのアーティストで、中古レコードが軒並み高値を付けているのが、吉田美奈子(よしだみなこ)。松本隆、細野晴臣、大瀧詠一らと活動したシンガーソングライターですが、彼女のレコードは軒並み高値。5万円の値を付けているシングルもあります。

味気ないCDの時代から、大判のレコードの時代への回帰。
現代の消費者の多くは、自分の手元に残るものを欲しがっていると言えます。
あなたもこの新年、かつてCDショップだった場所へ出かけてみれば、
レコードが大量に並んでいて、値段は高いことも低いこともありますが、かつて聴いていたあのレコードが思わぬ値段で売られていることに驚くのではないでしょうか。

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