トランプ大統領の「TPP復帰示唆」の真意とは?

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1/26(金)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!②

参加11か国はひとまず歓迎か
7:02~ひでたけのニュースガツンと言わせて!:コメンテーター宮家邦彦(外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所・研究主幹)

茂木 茂木敏充経済再生担当相 TPP 参加国

TPP参加国の首席交渉官を前にあいさつをする茂木敏充経済再生担当相 2018年1月22日 写真提供:産経新聞社

カナダがTPP著名の意向を発表~トランプ大統領がTPP復帰を示唆

TPP参加へ難色を示していたカナダが協定に署名する意向を発表した。それを受け、TTP離脱したトランプ大統領が「条件が整えば協定にとどまることが可能」と言及し、復帰を示唆。その真意はいかなるものだろうか。

高嶋)新聞を見ていたら、「TPP11、日本説得に功を奏す」とか。カナダが軟化して、3月に署名で合意するそうです。これでやっと纏まるのかなと思っていました。
その後4時26分に、もう散々報道していますが、共同通信で、アメリカのトランプ大統領が「TPPに復帰を検討する用意がある」、「アメリカにとってより有利な条件になるなら、TPPをやる」と。ダボス会議に行っているようですが。

宮家)「何言ってるの?」という話です。不利だから抜けたのでしょう。

高嶋)「TPPは酷い」と言っていたのですよね。

宮家)「何をいまさら、こんなこと言ってるの?」と。この間も言いましたが、この人は、一種の自己愛性人格障害ですから。彼は常にその場所で好かれたいのですよ。ダボスに行けば、ビジネスマンと自由貿易主義者ばかりいるわけです。そこで「TPPけしからん!」とは言えないから。しかも、非常にリベラルなCNBCでしょう。こんなもので一喜一憂しても仕方がない。速報でこんなことを言って、「大丈夫?」と。こんなのをいちいち信用していたら……もう少し、冷静に頭を冷やして貰わなければ。

高嶋)本気度はゼロだということですか?

宮家)いや、本気かもしれませんが、常識的には、11で固まっているわけですから、アメリカはどんどん焦りますよね。

トランプ トランプ大統領 安倍晋三 安倍首相 メラニア夫人

夕食を共にする鉄板焼き店で、撮影に応じる(右から)安倍晋三首相、トランプ米大統領、メラニア米大統領夫人=2017年11月5日、東京都中央区銀座5丁目 写真提供:産経新聞社

TPP復帰示唆のトランプ大統領の真意は何か?

高嶋)カナダとメキシコのNAFTAの方も、何とかしたいけどうまく行かない。つまり、いろいろと選挙中に貿易に関して打ち上げた問題は、全部うまく行っていない。

宮家)そうですね。元から無理なことを言っているのだから。

高嶋)ある意味、今頃トランプさんにこんなこと言われたら、ありがた迷惑も良いところですよね。

宮家)ありがた迷惑というか、みんな疲れますよね。「アンタ、何言ってんだよ」と。こういうことを繰り返せばアメリカのリーダーシップや信用がどんどん傷ついていくことに、本人が分かっていない。だから問題なのです。喜んでいるのは中国とロシアです。いま笑っていますよ。

高嶋)しかし、トランプさん、最初に仰った「自己愛性人格障害」の症状で物事を見ていくと、全部当てはまるんですよね。今回だって、「ダボスではウケ狙いで言ったけど、帰国したら何を翻すか分からない」みたいな。

宮家)そうです。ペンシルバニアに行ったら、また「TPPはけしからん」と言うに決まっている。そういう意味では、一貫しているということです。

高嶋)こういう人相手に交渉するには、こちら側としてはどうすればいいですか?

宮家)難しいですね。懐に飛び込んだ方が早いでしょう。だから、安倍さんはそっちを選んだのでしょうね。喧嘩しても振り回されるだけだから。そういう意味では、日本のやり方は上手かったかもしれない。

高嶋)TPPが11で固まりましたが、アメリカが入るなら、「じゃあもう1度」ということはありますか?

宮家)そんなことしませんよ。「アンタが変えなさい」と。アメリカが有利になるわけがない。いちばん有利だったときに抜けた人が再加入するときに「もっと有利にしてくれ」とはふざけるな、という話です。もっと不利になるのは決まっているのだから。

高嶋)トランプ大統領は就任直後の去年1月に、「TPPから“永久に”離脱する」大統領令に署名して、復帰に触れたのは初めてです。

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

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