任期撤廃で続投~習近平国家主席の目指すものとは?

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2月27日(木)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!②

規制撤廃では政権続行へ、強まる習近平の政治力
7:02~ひでたけのニュースガツンと言わせて!:コメンテーター高橋和夫(国際政治学者・放送大学教授)

習近平 平昌 五輪 オリンピック スタジアム ビデオメッセージ

【平昌五輪2018】閉会式で、次回開催国・中国の習近平のビデオメッセージが流れた=2018年2月25日韓国・平昌五輪スタジアム 写真提供:産経新聞社

ライバル不在、やりたい放題の習近平国家主席

3月の全国人民代表大会において2期10年という本来の規制を撤廃し、政権を続行しようとする習近平国家主席。中国の更なる成長の可能性と習近平氏の政治的な強さの背景について解説する。

高嶋)今日の新聞には、「習近平氏、権力集中意のまま」あるいは「習近平氏の終身首席」「習思想、憲法改正で自らの思想を前面に打ち出す」と、とにかく習近平さんやりたい放題のようです。今の憲法の規制ですと2期で10年のところを、今度3月の全国人民代表大会でそんな制度は撤廃しちゃえということです。これは背景にどういうことがあるのですか? 歯向かう人は一人もいないのですか?

高橋)一人くらいはいるかもしれないですが、殆どいないという感じです。習近平さんは権力を取って以来、反汚職キャンペーンをやって、勿論汚職退治も目的でしたが、ライバルになりそうな人は皆、刑務所に入っちゃった、追放しちゃったということでライバルがいない。反汚職キャンペーンというのは国民には人気があるんですよね、党の幹部がすごいお金儲けをしてなんなんだと思われている人たちを叩いてるわけですから。そういう意味では国民の人気もある程度あります。勿論批判の声もありますが、それなりに今がチャンスだと思っているのではないでしょうか。

高嶋)虎もガンガン叩かれて、牙抜かれて、それでもう習近平には対抗できないというような。人事も焦点で、新聞によりますと王岐山さんという方が国家副主席になるのではないかとされています。

国民が望むものと同じ方向へと歩む習近平氏

高橋)この人は反汚職キャンペーンの先頭に立っていた方で、そういう意味では習近平さんの体制を固める大きな役割を果たしています。でも年齢的にもう辞めるのかと思ってる人をもう一度引き戻してくるというのは、やはり自分も含めてこれまであった規則はなしにして、一から自分たちが中国が超大国になるという夢を叶えるんだ、皆さん私たちに託してくださいと、そう訴えてるんだと思います。

高嶋)13億の民が何となく納得するのは、経済的に生活が良くなって来たという背景ですか?

高橋)一つは絶対それがあると思います。勿論、公害の問題・格差の問題、中国は問題だらけなのです。それでも経済はずっと成長してきて、明らかに自分たちが子どものころより良くなったという方が多いと思います。それからもう一つはやはり、中国が超大国としてアメリカと堂々と渡り合ってるということです。これに国民は快感を覚えてると思うんですね。どの国でも自分の国の指導者が世界で尊敬されるというのは嬉しいですが、中国の場合は1840年のアヘン戦争以来常に欧米、日本に屈辱感を味わされてきた。いま自分たちが再び中国の偉大さを主張してる、習近平さんはすごいということは、ストレートに受ける感情じゃないですかね。

高嶋)要するに、全国民とそういう夢を見るという点では、同じ方向を向いているということが言えるわけですね。

ゴルバチョフと同じ轍は踏まない習近平

高橋)そうですね。多分、習近平さんが一番心配しているのはソ連のゴルバチョフの改革の失敗で、あの人は経済改革が上手くいかない、政治の自由化をやろうとして自由化の方でひっくり返ってしまった。経済が上手くいってないということでゴルバチョフ支持はなかったですよね。だから中国のやろうとしていることは、経済をしっかりやって政治の手綱は離さない、共産党が握り続ける。「共産党の下でこれだけ皆豊かになったのだから文句ないだろう」というストーリーを続けたいというところでしょうね。

高嶋)ゴルバチョフさんはペレストロイカ・グラスノスチでぶっ潰れてソ連がなくなっちゃったということで、西側大歓迎でしたよね。これじゃ習近平さんの意のままというような感じですが、弱点というかこの辺は気を付けなきゃっていうのはどんな問題がありますが?

更なる超大国となるために中国が抱える課題

高橋)一番問題なのは漢民族の多数派は良いんですけど、チベットの方、或いは中央アジアに近い方のイスラム教徒の方たちというのは、あまり面白くないんですね。ですからマイノリティの権利をどう守っていくのかというところで、もう少し大国らしさというか大人びたところを見せないと、本当の超大国として世界の尊敬は得られないですよ。

高嶋)いま締め付けるばっかりですよね。

高橋)そうなんですね。いま中国はハイテク国家になっていますから、顔を見たら自動的に誰だと認証できるということで本当に管理しています。中国にいると、中国批判の外国の放送が入った途端にテレビ画面が真っ黒になるというような状況ですからね。

高嶋)相変わらずね。

高橋)だから、これだけ大国になったわけですから、少々の批判は受け入れるという大人げを見せて欲しいなと思いますね。

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

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