吉永小百合、映画出演120本目の記念碑的作品『北の桜守』
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【しゃベルシネマ by 八雲ふみね・第372回】
さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。
今回は、3月10日公開の『北の桜守』を掘り起こします。
極寒の北海道を生き抜いた母と子のヒューマンドラマ
1945年、樺太。家族と暮らしていた日本人女性・江蓮てつはソ連軍の侵攻によって土地を追われてしまう。夫は出征し、息子二人とともに樺太を脱出。決死の思いで北海道の網走へとたどり着いたが、満身創痍の親子を待ち受けていたのは、想像を絶する過酷な生活だった。厳しい寒さと飢餓。それでも、てつ親子は懸命に生き抜く。
時は経って1971年、成長した次男・修二郎は米国で成功し、日本初のホットドッグストアの日本社長として帰国。15年ぶりに網走を訪れると、そこには一人、夫の帰りを待ちながら慎ましく生活する母の姿があった…。
吉永小百合映画出演120本目となる本作は、戦中から戦後にかけて極寒の北海道で生き抜いた、母と子の約30年にわたる軌跡のヒューマンドラマ。
『北の零年』『北のカナリアたち』に続く「北の三部作」の最終章に位置付けられ、『おくりびと』の名匠・滝田洋二郎監督がメガホンを取り、ケラリーノ・サンドロヴィッチが演出を担当した舞台パートを交えながら波乱の時代を描いています。
北の大地にまつわる史実に心が揺さぶられる感動巨編。吉永小百合にとって記念碑的作品であることを讃えるように、驚くほど豪華なキャストが集結しました。
主人公・江蓮てつの息子・修二郎役に堺雅人、その妻・真理役に篠原涼子、てつの夫・徳次郎役に阿部寛。生活苦のてつ親子に手を貸す闇米屋の菅原信治役に佐藤浩市、てつ親子を見守る友人・山岡和夫役に岸部一徳、さらに中村雅俊、高島礼子、笑福亭鶴瓶、永島敏行らが作品を盛り上げます。
また物語を象徴的に彩る舞台パートの劇中主題歌「花、闌(たけなわ)の時」の作詞作曲を小椋佳が担当。吉永小百合、阿部寛が合唱の中心となって美しいハーモニーを奏でているのも必見です。
ちなみに、主人公の「てつ」の名は、吉永小百合さんの実のお祖母様の名前。当初、本作の企画書には別の名前が記されていたのですが、『北の零年』は“志乃”、『北のカナリアたち』は“はる”だったので、二文字の名前がいいのでは...と吉永さんが提案したとのこと。
桜色の着物を身につけた吉永さん演じる“てつ”さんは、この映画を象徴する桜の花のように可憐で美しく、一足早い春の訪れがスクリーンから伝わってくるよう。
激動の時代と辛い過去を描きながらも、どこか温かなものが胸に迫る感動作です。
北の桜守
2018年3月10日から全国東映系にて公開
監督:滝田洋二郎
脚本:那須真知子
舞台演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:吉永小百合、堺雅人、篠原涼子、岸部一徳、高島礼子、永島敏行、笑福亭鶴瓶、中村雅俊、阿部寛、佐藤浩市 ほか
©2018「北の桜守」製作委員会
公式サイト http://www.kitanosakuramori.jp/
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/