【しゃベルシネマ by 八雲ふみね・第371回】
さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。
今回は、3月10日から公開の『去年の冬、きみと別れ』を掘り起こします。
芥川賞作家・中村文則の最高傑作を完全映画化!
婚約者・松田百合子との結婚を間近に控えた、新進気鋭のルポライター耶雲恭介。著作の出版のために彼が目をつけたのは、盲目の美女が巻き込まれた未解決の焼死事件と、元容疑者である世界的フォトグラファー木原坂雄大のスクープ。事件の真相を解明しようと奔走する耶雲だったが、真相に近づくにつれ、抜け出すことが出来ない深みにはまっていく。やがて木原坂の魔の手は、百合子にまで及び…。
又吉直樹や若林正恭も大絶賛する芥川賞作家・中村文則。死や暴力の奥に潜む人間の業を容赦なく描き出す作風で知られており、近年、作品が次々と映画化されている作家の一人です。
そんな中村作品の中でも発表と同時に話題騒然のベストセラーとなったのが「去年の冬、きみと別れ」。「冒頭から物語に引き込まれ、一気読みした」「再読するとまた違った印象を受ける」など、読者の圧倒的な支持率を誇る小説の映像化だけに話題集中です。
主人公の耶雲恭介を演じるのはEXILE、三代目J Soul Brothersのパフォーマーで、俳優としての存在感も見せつける岩田剛典。耶雲の婚約者・百合子役にはモデル・女優として人気の山本美月。事件の容疑者・木原坂役は男の色気が匂い立つ斎藤工。
すでに確かなキャリア積んでいる3人ですが、ガッツリと組んで芝居をするのは実は本作が初めて。それだけに新鮮な化学反応がシーンの随所に見られるのも大きな見どころ。
また北村一輝、浅見れいな、土村芳などの演技巧者が集結し、物語をよりミステリアスに深めていきます。
全編にわたって“罠”が張りめぐらされ、「あなたも確実に騙される!」…というのが、本作のキャッチコピー。そんな風に言われると「いや、私は騙されない!」と思う方もいらっしゃることでしょう。キャッチコピーの煽り以上に期待値を高めて劇場に足を運ぶ人もいらっしゃるかもしれません。
そして「すでに原作を読んでいるから、騙されるワケがない!」という方も多いのではないかと思います。いやぁ〜、それでも“騙されて”しまうのが、本作。しかも騙されたにもかかわらず、結末にたどり着くと不思議と「もう一度観たくなる」んですよね〜。これこそ中村文則作品が持つある種の中毒性、なのかもしれません。
去年の冬、きみと別れ
2018年3月10日から全国ロードショー
監督:瀧本智行
原作:中村文則「去年の冬、きみと別れ」(幻冬舎文庫)
出演:岩田剛典、山本美月、斎藤工、浅見れいな、土村芳、北村一輝 ほか
©2018映画「去年の冬、きみと別れ」製作委員会
公式サイト http://wwws.warnerbros.co.jp/fuyu-kimi/index.html
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/