4月6日　FM93AM1242ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』今日の聴きどころ！②

オスプレイ前倒し配備の狙いは何か
7：10～お早う！ニュースネットワーク：コメンテーター潮匡人（元航空自衛官・評論家）

オスプレイの配備は北朝鮮に対して抑止力を高めるため

昨日一時的に横田基地に到着し、今年夏頃に正式配備されるアメリカ空軍の輸送機CV-22オスプレイ。当初は来年10月から2020年9月配備の予定だったが、前倒しの背景には、激動する朝鮮半島情勢への対応があると見られている。

飯田）オスプレイの前倒し配備。米軍の狙いというと、朝鮮半島情勢について言われていますよね。

潮）そうですね。配備する側のアメリカ軍･政府が「地域の安全保障上の懸念に対処する」と言っている以上、そうなのだろうなと思います。とはいえ、「既に開戦を決めている」というのも言い過ぎですので、少なくとも北朝鮮に対して抑止を高めている、あるいはいざというときに準備を整えているということは、最低限言えると思います。

「朝鮮半島情勢は対話の流れ一色ではない」という側面も見るべき

飯田）トランプ大統領と金正恩委員長が会うのが5月末と言われていますが、そういうこともあるので、まず抑止を効かせるために、「見せるのは見せておく」ということですか？

潮）会談が実際に開かれたときに、北朝鮮に一方的に有利な流れにならないように、アメリカとしては軍事と外交の両方で睨みを効かせていると言っていいと思います。

飯田）日本の外務省への通告というのは、昨日外務大臣が国会答弁でも話していましたが、「3月中頃だった」と。ただ、「ギリギリまで言うな」と言われていて、調整が整ったのがこのタイミングと言われています。けっこう急な話だったわけですね。

潮）おそらく日本政府としても準備が整わないまま、この報道がされるに至った。そんな急展開になっているということだと思います。
米軍としては、作戦の機密にわたる側面もあるので、直前まで非公表にしたい思惑もあったのだと思います。しかし、そこまで急がなくてはならないという情勢認識に裏付けられているという可能性も高い。なので、我々はこのことを必ずしも日本に対する騒音や事故という受け止めだけでなく、実は「朝鮮半島情勢は対話の流れ一色ではない」という側面も見るべきだと思います。

海から離れた横田基地は普天間よりもリスクは高い

飯田）実際に有事が想定される場合、この機体はどうやって使われる物ですか？

潮）私はいわば「IN」と「OUT」の両方で使い勝手がいい航空機だと思います。「IN」は「朝鮮半島に入っていく作戦」です。基本的に輸送機ですが、輸送するのはいわゆる特殊部隊。2チーム一気に乗せることができる。北朝鮮の枢要なポイントに投入することが可能なタイプです。
「OUT」というのは、たとえば「在韓邦人救出」という作戦でも、このオスプレイが絶大な効力を発揮する。いずれにせよ、朝鮮半島での万が一の展開に備え、できるだけ機数を増やしておきたいという意図があるのではないでしょうか。

飯田）「事故率が高いのでは？」と言われていますが、これはどう見ていますか？

潮）機体としては既に普天間に配備されているMVと同じオスプレイの機体ですので、圧倒的な違いはないと思います。しかし、CVは特殊作戦用なので、夜間低高度で山あり谷ありのところを飛行するような、厳しい訓練もこれまでしてきたし、実際にアフガン等で作戦に投入され、そういう状況下で事故も起こしてきています。そういう部分で、「事故率が高くないから安全」という政府の説明も、間違ってはいませんが、そうでない側面も我々は認識すべきだと思います。
それと、横田基地は普天間と比べてより海から離れたところにあります。万一のときの不時着水も事実上不可能だし、落下した部品が民家に落ちてしまう可能性も、海に面している航空自衛隊基地と比べれば格段に高まっていることも、事実として受け止める必要があると思います。

飯田）ただ、その特殊作戦の部隊を投入できるギリギリの使い方もできるということは、抑止力としては、ほかの機体より高く見られてもおかしくないということですか？

潮）もともと「オスプレイ」の名を日本人が知り始めた頃から、一貫して私も申し上げてきましたが、CH-46といった従来の機種と比べると、速度2倍、搭載量3倍となっているし、行動半径4倍と政府は説明していますが、空中給油を受けられるので4倍以上というのが正確な表現となります。横田に今後配備されるということになっても、空中給油するなどして、「朝鮮半島での作戦に投入できる機種である」ということになります。

飯田浩司のOK! Cozy up！
FM93AM1242ニッポン放送 月～金 6:00～8:00