なぜロシア軍はマレーシア機を撃墜したのか
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5/25 FM93AM1242ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』今日の聴きどころ!②
キーワードは「マレーシア機撃墜、ロシア軍のミサイル、5ヵ国の合同捜査チームが発表」
7:27~教えて! ニュースキーワード:コメンテーター宮家邦彦(外交評論家)
一貫して武力行使をしてきたロシア
ウクライナ東部で2014年7月に発生したマレーシア航空機撃墜事件で、オランダやウクライナなど5カ国の合同調査チームは24日、使用したミサイルがロシア軍部隊所有の地対空ミサイル「ブク」だという調査結果を発表した。関与した組織を断定したのは今回が初めて。
飯田)前々から言われていたことではあるのですが、一応報告書に載ったのは初めてだということでしょうか?
宮家)皆がそうだろうなと思っていたことが書かれたということですよね。しかしなんでこんな事をするんですかね……本当に酷い。ロシアというのは武力を使うときは本当に使う恐ろしい国だなとつくづく思います。ウクライナのときもそうだし、クリミアのときもそうだし。彼らは一貫しているので、こういう形でちゃんと正式に報告書に書いて圧力をかけないと、何をするかわからないです。シリアでもやっていますし。
飯田)まだあのときはクリミア併合かそのくらいの時期でしたっけ? 確か前だったと思いますよね。
宮家)いろいろちょっかいを出していた頃ですよね。
飯田)ウクライナのなかで政権側と反政権側でいざこざがあって、反体制派側の方にロシア軍は入っているんじゃないかと言われた時期に、ウクライナの上空でマレーシア航空機が撃墜された。最初は墜落と言われていました。誰が? となった時期でしたよね。
ロシアにとってのウクライナの存在とは?
宮家)何故落としたのかという方が重要でしょうけれど、そこまでは調査できなかったのでしょう。ロシアはどうせ否定するに決まっていますから、困ったことですよね。
しかしウクライナというのは簡単に言うと、ロシアにとっては冷戦が終わってプーチンさんの頭の中では「俺たちは共産主義じゃない。ソ連の崩壊には我々も手伝ったんだ、西側の言うことを我々は聞いたじゃないか」と。「蓋を開けてみたら結局ソ連がロシアになって自由化されたかもしれないけれど、ヨーロッパやアメリカの企業が入ってきて蹂躙していったじゃないか。これで何が利益なんだ」「ロシアにとって、ソ連にとって大事だった東欧諸国、これがどんどんNATOになっているじゃないか」と。「EUに入っているじゃないか」と。更にユーロに入って、バルト三国からルーマニアまで来ちゃったわけでしょう。
最後に残った砦がウクライナですよ。ウクライナもごたごたして、もしかしたら西側に向いちゃって、NATOに入るんだと。そしたらもうモスクワに刀を突きつけるような状況ですよね。ですから彼らがそれに抵抗するのは当たり前なので、彼らからすると非常に自衛的に、物事をやっているということです。一貫して考えていると思いますよ。勝手ですけれどね。飯田)彼らからすると、ウクライナだって政権転覆だとかカラー革命みたいなものをいろいろな国でやってきたが、CIAが入っているじゃないかと。アメリカがやっていて、冷戦が終わったときの約束はどうなったんだと。
宮家)そんな約束あったかな、というような感じもしますけれどね。これについてはいろいろ議論があるのですが、ヨーロッパも行き過ぎたのではないかと。ロシアに対して必要以上な懸念を持たせてしまった、だからウクライナ問題がこじれてしまったのではないかということですよね。
もう1つ大事な点は、ロシアが何をしたいかですよ。ウクライナを全部獲れる訳はないですよね。ロシア系の住民が住んでいるところは獲れるかもしれないけれど、分断したらその先がNATOになってしまう。ウクライナが混乱すればするほど、NATOから距離を置けば置く程いいので、あのままに飼い殺しですよ。飯田)現状維持の方がいいのですね。
宮家)その方がいいのです。獲ってしまったらそこで線ができて、向こう側がNATOといEUになってしまうから。
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