EUが米へ報復関税~トランプ大統領によって崩れる世界の貿易バランス

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月22日放送)に外交評論家の宮家邦彦が出演。アメリカと各国による関税のかけ合いについて解説した。

EU(ヨーロッパ連合)がアメリカへの報復関税を承認、今日にも発動へ

EUのヨーロッパ委員会は20日、アメリカからの輸入品に対する28億ユーロ(およそ3,600億円)規模の関税導入を承認したと発表した。これは鉄鋼とアルミニウムへの関税を発動したアメリカへの報復措置で、今日22日から発行するとしている。

飯田)関税の対象となるのはアメリカ製のオートバイやオレンジジュース、バーボン、ピーナッツバター、モーターボート、たばこ、ジーンズなどの名産品が並びます。これはアメリカとヨーロッパの間もガチンコになってくるわけですか?

宮家)普通は禁じ手なのですよ。WTOを作って、WTOの前はGATTというのがありました。要するに皆で自由化をして関税を下げましょう、そしていい意味で国際分業をやることでWin-Winになりましょうという話だったわけですよ。こんなことをやってトランプさんは何を考えているか知らないけれど、赤字が減ればその分失業が減ると思っていたら大間違いで、こんな形で貿易赤字を減らしても結局アメリカが強い者に報復されて、関税がかかるわけだからLose-Loseになるわけです。
元々生産性の低いものを、国際競争力がないから駄目なものを放っておいて、強いものにすら対抗措置を取られるというのは全く良いことが無いですよ。さすが壊し屋、また壊したなというところです。

日本には大きな打撃になりかねない

宮家)これを壊して何が問題かというと、困るのは資源の無い国、つまり日本です。日本ほど自由貿易体制で生きてきた国はないので、これで皆関税をやり、輸入規制をやるとなったときに一番苦労するのは日本ですよ。だからこれは日本にとって対岸の火事ではないわけです。勿論日本に対しても関税をかけてきているのだけど、日本はそれなりの対応をしています。日本は例えばアルミニウムであれば、日本でしか作れないものは多くありますから、簡単に関税をかけてくるとは思わないけれど、やることに品がないですね。これをやったら縮小再生産になっていくのですよ。それがアメリカの経済的な合理性じゃなく、トランプさんの内政的な選挙もしくは支持層へのリップサービス。中間選挙と2020年の再選を向いているからですよ。そもそも、このシステムを作ったのはアメリカです。それを守らなかったら結局アメリカも含めて皆が沈んでいくのです。そのとき笑うのは中国とロシアに決まっているじゃないですか。そういうことを考えて欲しいのですが、残念ながら全然考えないのですよね。

メルケル アンゲラ

アンゲラ・メルケル - Wikipediaより

これでアメリカの貿易構造を変えることはできない

飯田)それこそアメリカが関税をかけると輸入品の値段が上がってしまいますよね。それってそのトランプさんの支持者こそが困ることだと思うのですけれども。

宮家)マクロで言えばそうです。でもミクロで考えたら、5大湖周辺の大工業地帯があるわけでしょう。そこで苦労している人達にとっては、嬉しい人たちがいないわけではないのです。

飯田)海外から物が入って来なくなったから、俺たちが作って売れると。

宮家)でも実は、作らなくなったから海外から物が入って来るのでね。例えば車を見たって、アメリカは道路が広いから大きい車でいいのです。でもあんなものをヨーロッパや日本に持って来たら、道が狭くて誰も運転できないじゃないですか。それで障壁だと言われても困るのですよ。これは20年も前から言われている話ですが、やっと収まったかと思ったらまたこの古い禁じ手をやってくるというのは如何なものかと。確かにアメリカの経済、特に製造業が上手くいかなくなるとこういう人たちが出て来るのだけれども、これでアメリカの産業、もしくは貿易構造を変えることはできないのです。それに気が付くまでこれは続きます。

飯田)誰か気が付かせる人というのは周りにはいないのでしょうかね。

宮家)だから報復で気が付かせようとしているのですよ。だけどやられるまでわからないから、そうすると分かった頃には手遅れという可能性があるわけです。この前のG7のときだってメルケルさんがああやって詰め寄っても、トランプさんは鼻で笑っているのですよ。

ライトハイザー ロバート

ロバート・ライトハイザー - Wikipediaより

何とか諭そうとする日本

飯田)日本は報復関税でゴリゴリやるのではなくて、なんとか諭していこうというか。

宮家)マッサージですよね、でもマッサージにしてはあの人たちは凝っていますからね、ほぐれないのではないでしょうか。

飯田)まずは麻生さんとペンスさんのところでやって、今は茂木さんとライトハイザーさんの間でやっていると。何かいろいろな枠組みを作ってなんとかやっていこうとしていますね。

宮家)麻生さんとペンスさんのところは上ですからね。副大統領と副総理だから、これは細かい話をするレベルではないのだけれど。ライトハイザーさんも相当な強硬派ですから、あそこをなんとか抑えないといけないのだけれど、困ったものですね。

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