トランプ発言から考える「日本における不法滞在者の現状と問題」

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「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月26日放送)にジャーナリストの有本香が出演。トランプ大統領が、不法入国者に対し有無を言わせず送還すると発言したことについて、日本が抱える移民問題と共に解説した。

トランプ発言から考える「日本における不法滞在者の現状と問題」
トランプ大統領、不法入国者は裁判抜きでの送還と主張

アメリカのトランプ大統領は現地時間24日、Twitterで「我々の国に侵入してくる人々を許すことはできない。入ってきたら速やかに裁判所も裁判も経ずに、彼らがいた場所に送り返さなければならない」と主張した。

飯田)アメリカ政府の移民政策をめぐっては、不法移民の親子を引き離す措置について国内外から強い批判も出ていまして、不法移民の家族を一緒に収容するように大統領命に署名したばかりということなのですが。これはトランプ大統領が選挙の時から言っている話ではあります。
有本)そうですね。今回の子供、親子を一緒に収容しようという対応の変化に関しては、イヴァンカ補佐官やメラニア夫人が助言をしたと言われています。激しく国内外から非難を受けたので修正をしたということだと思います。ただ不法移民ということに関しては、トランプさんの公約でもありましたよね。今年の4月ですか、全ての不法入国者を犯罪者とすると。これは確かに、ある意味筋論ではあります。

飯田)法に厳格にきちんと対処するという意味ではそうなりますね。

有本)しかもその子供を20日間以上収容してはいけないと言われているから、結果的に引き離すことになった。だからどちらが人道的なんだというところでもあるんですよね。ある種の法に厳密に正義をとるのか、じゃあ親子が一緒にいるということは人道上配慮しなくていいのかということになるので、悩ましい話ではあります。
日本も不法入国、というより日本の場合は不法滞在ですね、そういうことに対して、今後どのくらい厳しい対処ができるのか。一方ではその人道的配慮をしなければならないというところはかなり問われてくると思います。
というのも、実は日本は今、外国からの流入者が凄く増えているのですよ。世界で4位です、びっくりしますよね。

日本での滞在移民は世界4位~研修生制度から万単位で不法滞在者が発生

飯田)世界で4位なのか。旅行、インバウンドとかやっているからってこともあるのですかね。

有本)インバウンドとは別に、国連が定義する移民。旅行ではなくて、留学なども含めた滞在ですね。

飯田)技能研修生制度も、国連の基準では移民ということになりますね。
有本)年間39万人、日本は世界で第4位ということです。今、話に出た、悪名高い研修生制度ですが、この人たちのなかでも万単位の人が行方不明になっているわけです。ということは不法滞在ですよね。その中から犯罪に手を染めていく人もいるでしょうし、基本的には滞在資格はないわけですから、一体どうやって社会で暮らしているのだろうというところはあります。
ですから今までの日本の制度上の不備をまず、しっかり穴を塞いで整備をしていって、さまざまなその制度に対する悪用、いわゆるタダ乗りのようなものをできないようにしていくということ。それから今後、賛否はあるし私は必ずしも賛成ではないけれど、政府は外国人の労働者を単純労働分野にまで増やしていくということになれば、当然そのオーバーステイを主とした不法滞在が増えていく方向だということは懸念せざるを得ないんですね。仮に軽微な意味でのオーバーステイがあったとすると、この人たちをすぐに帰すということは筋ではありますが、仮に少しの間留め置くとした場合、先程言ったように日本社会の見えない部分に潜伏して、違法な形で生き延びるということを増やすというのは、やはり社会不安を増大させますから良くないですね。

飯田)それをどう行政の側から補足するのかということもあるだろうし。

不法滞在者への対策をシビアに考える必要がある

有本)そうですね。それからもうひとつは、もう既に日本で起きていることですが、どうしても外国から来た人たちは助け合うために決まったところに皆で住むじゃないですか。そうすると、ある一部の公立学校だけは日本語能力の低い生徒が集まってしまう。クラスの半分はお母さんが特定国の外国人だとなると、小学生の低学年段階では日本語が満足にできない生徒が多い。そうすると学校側が頑張って補習をしてあげるとか、不登校の子供がもの凄く増えるとか、場合によってはそういう子供たちがギャング化するといった地域も既に出てきているわけですね。
こういうことが将来日本社会にどういうことをもたらすのかということは、このアメリカの問題を単に表面だけ見て、「親子を引き離すのはかわいそうだろう」みたいな尻馬に乗るみたいな話だけではなくて、その移民が来る、不法滞在者が増えるということの社会としての受け止め、その対策をかなりシビアにいろいろな形で考えていかなければならないと思いますね。

飯田)その人権だ、というところばかりを声高に叫ぶ引き換えに覚悟が必要なわけですね。
それというのは、かつてのアメリカのように言語も含めて完全にアメリカ人として認めて、その代わり社会に完全に同化しろよという、そこの金も払うとするのか。あるいはシンガポールのように3年で帰りなさいとするのか。

有本)ですからこれは海外にさまざまな事例があって、例えばヨーロッパ、ドイツなんかではかなりの同化政策をやっているんですね。しかし移民の二世以降の世代になっても格差は埋まらないとか。

飯田)同化したのに俺たちは、って感じですかね。

有本)そうですね。そこで逆に不安がむしろ大きくなってしまうということも現実にあるわけです。やはり人道、人権ということは大事だけれども、それだけでは乗り切れない。やはり違う背景を背負った人間同士が暮らしていく難しさっていうのがあるわけですよね。そこを両極に分かれて「べき論」の話をするのではなく、現実的、実効的な対処を積み重ねないといけないと思います。まず第一歩としては、現状の日本の制度の穴を塞ぐところから始めるべきだと思います。

 

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