「富山交番襲撃」と「福岡ネット殺人」の共通点

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「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月28日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。ここ最近多発している、行動が不可解な殺人事件とインターネットとの関係について解説した。

富山 県警 富山中央署 奥田 交番 ブルーシート 警察官

事件から一夜明け、富山県警富山中央署奥田交番にブルーシートをかける警察官ら=2018年6月27日午前、富山市 写真提供:産経新聞社

富山交番襲撃~バイト先で上司とトラブルか

富山市の交番で警察官が殺害され、拳銃が奪われ、近くの警備員の男性が撃たれて殺害された事件。逮捕された男が事件直前に家族に対し、「アルバイト先で店長と言い争いになり殴った。自分の持ち物は捨ててほしい」などと伝えていたことが、捜査関係者への取材で新たに判明した。警察は、これらの出来事が事件のきっかけになった可能性はないか調べている。

飯田)「裏口から進入し、刃物で警官を刺し、拳銃を奪って……」という手口から、計画性があるのかとも疑われていましたね。

鈴木)何を持って、計画性と言うかですね。「殺人という最悪な事態に、何かしら動機や意味があって、ちゃんと計画した」という計画性ではない。もちろん取り調べや調査でこれからいろいろ出てくると思いますが、いま1つよく分からない。「本当に計画的なの?」「なぜ、殺さなければいけなかったか」、「なぜ、拳銃だったのか」、行動も含めてどうも分かりにくい。

「富山交番襲撃」と「福岡ネット殺人」の共通点

絡み合うネットの世界と現実の世界でそれぞれがどう感じるか

鈴木)最近こういう殺人が多いですよね。つい先日も福岡で殺人事件がありました。ネット上のやり取りがきっかけでしたが、それだけで面識がないのにカッときて、何時間も待ち伏せして初対面で殺した。

飯田)トイレで、後ろから襲ったのですよね。

鈴木)動機は「ネット上のやり取りで、面識はなかった」です。ネット社会でよく言われますが、ダブルスタンダードだと思います。バーチャルなネット世界と、現実の世界。
僕はいま飯田さんと対面していますが、ふざけて「お前バカだなぁ」と僕が言っても、飯田さんは本気で受け取らない。だけど、これが「お前バカだな」とネット上で文字になったとき、それはそこまで汲み取れないわけです。

飯田)真ん中にあるニュアンスみたいなものが、消し飛んでしまう。

鈴木)僕は古い人間だから、冗談なら語尾に(笑)とか付けますが、そうした、それなりの表現方法もネットにはあると思います。ですが、面と向かわず言葉だけでは、そういうのは誤解を生みやすい。
リアルな世界でなく、ある種のバーチャルな世界。ここで頭にきたからといって、リアルな世界へ降りてきて、殺害してしまう。リアルな世界とネットのバーチャル世界が複雑になってしまっているのです。若い人は、生まれたときからネット社会だからこういうのを上手に使いますが、60歳の僕みたいに、ネットに慣れていない世代。この場合、なかなかその辺のバーチャル世界とリアル世界がごちゃごちゃになってしまう。社会の構造が変わってきているのです。そのなかで、何を感じ、何が動機で、そしてリアル世界で実際に殺し合いをするのか。この辺がどうも社会が複雑になっていて、説明のつかない事件が多い。僕は全部の共通項は、そういう社会の変化なのではないかと思います。

「富山交番襲撃」と「福岡ネット殺人」の共通点

ネットリテラシーを各人で強く考えなければいけない時代に来ている

飯田)今回の富山の事件の容疑者は21歳ですが、福岡の事件は40代でした。生まれ育った時期はリアルの時代で、その後にバーチャルの部分が来た。その折り合いの付け辛さみたいなものがあるのかもしれないですね。

鈴木)難しいと思います。だから、これは仕方がないと言えばそうですが、ネット社会というものをもう少し意識する。ネットをするときの、ある種のルールやマナーをしっかり、ネットと向き合うときに自分自身で考えていくしかないとは思います。

飯田)これを学校で教えるものか、社会全体でどう育んでいくべきか。新しい、革新的なものですからね。

鈴木)だから、「教科書を作って……」ということではない。これは日常の、今回のような事件が起きたときをきっかけに自問自答して、自然に作られていくべきルールだと思います。時間はかかるでしょうけれど、やはり過渡期だからこそ、こうした事件が多く出てくるのかな。だから、ちょっとイヤな感じが、いまはします。

飯田)ネット上のやり取りだけになると、私や鈴木さんのように言論の世界で生きている人たちは、どこでどう捉えられているか、分からないですよね。

鈴木)だから、やはり基本は”face to face(面と向かって)”だし、僕はよくやりますが、メールしたらわざわざ電話して「メール届いた?」と確認する(笑)。どうしてもそんな世代だけど、それもあながち間違っていないのかなと思いますね。自分にできることとして、リアルさをキープしなきゃいけないのかな、なんてことも思います。

飯田)基本的なリテラシーとして、「見出しだけでなく全部を見なければダメ」ということですね。

鈴木)そうですね。想像力だと思います。目の前にある言葉のやり取りだけでなく、その裏に何があるのか。2重3重にいろいろなものを見たうえで、判断していくとか。でも、それは個人個人で向き合うしかないですからね。

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