老舗ベーカリー「ペリカン」4代目主人がパンの専門学校で習った最も難しかったこと

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老舗ベーカリー「ペリカン」4代目主人がパンの専門学校で習った最も難しかったこと

浅草で1942年から続く老舗ベーカリー『ペリカン』の4代目主人・渡辺陸が、黒木瞳がパーソナリティの番組「あさナビ」(ニッポン放送)に出演。4代目主人が修行時代に通ったパンの専門学校。そこで習ったこととは?

黒木)今週のゲストは、東京浅草の老舗パン屋さん『ペリカン』の4代目ご主人、渡辺陸さんです。1942年から続く老舗のパン屋さんで、ロールパンと食パンしか作り続けないという。でもパン屋さんだから、どんなパンも作れるのですよね?

渡辺)パンの専門学校に通わせて頂いて、それなりに知識として知ってはいますが、作るとなると難しいですね。

黒木)そうなんですか。東京製菓学校パン専科という……このパン専科というのは、全てのパン作りを学ぶのですか?

渡辺)昼間の方もあるのですが私は夜間に通わせて頂いて、全てとは言わないですがかなりの量を毎日パンだけ作っていましたね。最初の6カ月は食パンしか作らないのですよ。そこが私はいちばん勉強になりました。何をするかというと、わざと失敗作を作るのです。塩を抜いたパンや、極端にイースト菌を減らしたパンを作ったり。失敗して、この材料がこのパンに対してどういう影響を持っているかを1つずつやるのです。

黒木)なるほど!

渡辺)毎日食パンしか作らないので、飽きることは飽きるのですが。

黒木)どうやったら美味しいパンになるかではなくて、まずはどうしたら失敗するかってことを勉強していくわけですか。面白いですね。

渡辺)この授業は面白かったですね。その6カ月が終わったら、ようやくあんパンやぶどうパンをやり始める。2年目は毎日別のパンを作るのですけれども。

黒木)何年制なのですか?

渡辺)夜学は2年、昼間の方も2年ですね。

黒木)これは平日毎日ですか?

渡辺)私は週3でしたね。毎日働きながらだと体力的に厳しいので。

黒木)2年間のなかで何が1番得意でしたか?

渡辺)食パンはそこそこちゃんと焼けていたと思いますね。フランスパンも2年目で沢山作るのですが、クープを入れるのが難しくて。

黒木)クープってなんですか?

渡辺)開いているじゃないですか、フランスパンの上の部分の……あれをクープというのですが、クープ1つで味が変わってしまうのです。

黒木)何で入れるんですか?

渡辺)クープナイフだったかな、うろ覚えですけれど(笑)。そういうもので入れます。

黒木)溝のようなものですよね。それで味が変わるのですか?

渡辺)あれで全然違うのですよ。

黒木)えっ、どうして?

渡辺)釜に入れる前に生地をちゃんと張って入れるのですよ。しぼんでしまうと美味しくないので、クープ1本で食感が違って、簡単なことだけれど奥が深いというのは思っていました。

老舗ベーカリー「ペリカン」4代目主人がパンの専門学校で習った最も難しかったこと
渡辺 陸(わたなべ・りく)/ 『パンのペリカン』四代目

1987年、東京都生まれ。
成蹊大学経済経営学部を卒業後、東京製菓学校パン専科でパン作りを学ぶ。
2014年に「パンのペリカン」4代目店主となる。
2017年8月には、お店の近くに「ペリカンカフェ」をオープン。
2017年に著書『パンのペリカンの話』を出版。ドキュメンタリー映画『74歳のペリカンはパンを売る』が公開。

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毎週月曜〜金曜 6:41 - 6:47

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毎朝、さまざまなジャンルのプロフェッショナルをお迎えして、朝の活力になるお話をうかがっていく「あさナビ」。ナビゲーター:黒木瞳

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