欧米で実行されるプラスチック対策~周回遅れの日本

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ニッポン放送「須田慎一郎のOK! Cozy up!」(8月27日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。プラスチックが引き起こしている深刻な環境問題について解説した。

プラスチックストロー対策の現状

スターバックスコーヒーとマクドナルドが相次いでプラスチック製ストローを廃止する計画を発表し、日本でも話題になりました。欧米では本格的な取り組みがずっと前から始まっている現状について、須田慎一郎がリポートする。

新行)これに関連してメールをいただいています。豊島区のシンジさんから。「プラスチックストロー廃止には賛成ですが、ストローが無くなるとやはり困ります。繰り返し洗って使えるストローの開発に期待、というのが私の考えですが、どうでしょうか?」と。

須田)私は先々週までイギリスのロンドンで取材をしていました。いくつかテーマがあったのですが、そのなかで、ファーストフード店やコーヒーショップへ行ってみると、ほとんど紙のストローでした。実物を今日持ってきました。こちらです。

新行)固いですね。紙ですが、ふにゃふにゃしていない。でも、これは時間が経つとふにゃふにゃしてしまうのでは?

須田)「しっかりしているし大丈夫だろう」と使ってみたら、1時間も経たずに水分にふれているところはグニャグニャになってしまいました。早く飲まないと大変なことになると思います。

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海に流れるプラスチック~プラスチックそのものが世界中で問題に

須田)スタバやマックが「プラスチックのストローを廃止して全部紙ストローにします」というニュースが流れてようやく、日本ではストロー問題が表面化してきました。
アメリカやヨーロッパでは、ストローだけではないのです。ありとあらゆるプラスチック製品に対して使用を控えようという動きになっています。特に問題になっているのは、海に流出するプラスチック問題です。生産量から見ると、「相当の量のプラスチックが海に流れ出ているのではないか」と言われています。実は1980年代半ばにはプラスチックの生産量が世界全体で1億トンくらいあったのです。2015年にはどれくらいになっていると思いますか?

新行)3億トンくらいですか?

須田)4億700万トン。激増ですよ。それが新興国、発展途上国に集中している状況です。「そもそもプラスチックはどのように作るか?」についてですが、石油から精製します。分子構造を見ると、炭素・水素・酸素の3元素によって成り立っています。分解すればそれぞれ自然界に存在する物質に分かれていくのですが、分解速度がけっこうゆっくりなのです。だからそのままの状態で残っていくのですが、分解していくにあたり、それは細かいプラスチックのままになっていくのが実状です。マイクロプラスチックと言われていて、それを魚や貝が取り込み、結果的にそれを食べる人間にプラスチックが蓄積されていくのです。これは、健康にかなり悪いのではないかと言われ、問題になっています。
だから、海洋プラスチックの問題をどうにかしよう、と。『ナショナルジオグラフィック』という有名な雑誌がありますよね。そこに1枚の衝撃的な写真が載りました。「海のなかでピンク色の軸の綿棒があり、それにタツノオトシゴが尻尾を巻いて海流に乗っている」という写真です。「こんな状況になっているのか!」とかなりショックな状況で、それがきっかけになったのです。

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フランスでは2020年にプラスチック製品の大規模な使用禁止が計画されている

海洋プラスチック問題を解決するために、プラスチックの生産量そのものや使用量を抑えていく、というところに切り替わっています。
例えばフランスでは2020年をもって、肉や魚を販売するのに使っている発泡スチロールのトレーやそれをくるむサランラップ、商品を入れるナイロン袋の使用が禁止されるのですよ。だから、ストローだけの問題だけではないのです。

新行)買い物にお皿を持って行かないといけない、ということですか?

須田)お鍋とかね。昭和の時代には豆腐を買うのに鍋を持って行きましたが、ああいう時代に戻るということでしょう。そういう部分まで徹底して取り組み始めている、という流れが出てきたのです。
それと、先週になって、ある大学の研究成果が発表されました。これも、脱プラスチックを強くプッシュしていくのではないかと思えるニュースで、「プラスチックが分解する過程で、CO2を多く生成することがわかった」というものです。CO2は、結果的には温室効果ガスになってしまいます。地球温暖化問題もここに絡んできている、ということですね。

新行)ストローが海洋プラスチックだけでなく、地球温暖化にも関係してくるという。

須田)その点で言うと、紙のストローを見かけるケースは、日本ではまだほとんどないですよね。冒頭のテーマで言われたように、「周回遅れ」どころか、3、4周は遅れているのではないでしょうか。これから加速度的にこの問題が日本でも大きくクローズアップされていくと思います。

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