ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」（8月20日放送）ジャーナリストの須田慎一郎が出演。北朝鮮のミサイル問題に関する新たな動きを解説した。

北朝鮮にミサイル監査へ～国連航空機関来年で調整

国連の専門機関である国際民間航空機関（ICAO）が、来年北朝鮮に職員を派遣し、弾道ミサイル発射の事前通告について、関係者の聞き取り調査など、監査を行う方向で調整に着手したことが昨日判明した。ICAO代表団が5月に訪朝した際、北朝鮮側が受け入れに同意したとのこと。

飯田）北朝鮮は「予告なく大陸間弾道ミサイル（ICBM）の発射をしない」とICAO代表団に約束したのですが、中短距離ミサイルの扱いについては言及していないとのことで、「また撃つのではないか？」ということも考えられます。中短距離は、日本にも直接影響があります。

須田）近辺を飛ぶ航空機にも全部影響がありますから。航行の安全を保障するために、このICAOという機関があります。しかし、去年は1度も通告していないという状況があったわけです。

飯田）日本発のエールフランス機にかなり接近していた、という話もありましたよね。

須田）現在、ほとんどの航空機が自動航行で飛んでいます。そのルートにドンピシャでハマってしまうと、回避行動がとりにくい状況にあります。事前に通告があれば、それをインプットしておけば済みますからね。そのシステム作りを、北朝鮮と「ミサイルを発射しない」ではなく、「発射する場合、きちんとICAOと情報交換をしようという体制を作る」のが、いま行われていることです。「北朝鮮の国際社会への復帰」というセンテンスから考えてみると分かりやすいかな。これまでは核開発とか、それを運ぶシステムであるミサイル発射実験について、それを行うことにより国際社会とどんどん距離が広がっていきました。それを、どうにか国際社会への復帰手続きを北朝鮮が進めている。そのための一環と捉えていいと思います。

飯田）「やりやすい部分からやっていく」ということですか？

須田）そうです。その核開発施設に対して、国際機関の査察を受け入れるのが本来やるべきことです。

発射が前提条件に～制裁決議とのすり合わせが求められる

須田）しかし、条件闘争と言えばいいのかな。小出しにしていく。それに対しての見返りです。「これをやると、どのような見返りが要求されるのか？」、要求する先はもちろんアメリカ・韓国・日本。特に日韓になると思います。
だから、「監査を受け入れる。よかったね」で済むことではない。「これに対する見返りに何を求められるか？」が、1つ注目だと思います。

飯田）元は「ICBMも含めて発射禁止」だったのが、「発射する場合は連絡します」に。発射が前提になっている気がします。

須田）これは国連の専門機関ですから、そこに対しては発射することが前提になっています。こちら（日本）はどうなるのか。発射することで国連の制裁決議違反となってしまう。それとの整合性をどうするかの問題も、今後出てくると思います。

飯田）下手にミサイルを使われて、「国連のお墨付き」と言われても、こちらとしては困りますよね。

食料、エネルギー事情共に苦しい北朝鮮

須田）その一方で、北朝鮮も融和策というか、軟化策というか。南北間で経済協力も含めて協議を再開する、というニュースも出てきていますよね。

飯田）9月には首脳会談もやる、という話も出ています。

須田）その意味では、やはり北朝鮮も早急に見返りを求めなければならないような、経済環境も含めてそういう状況になっているのかもしれない。
その一方で、これから9月以降の段階で、米や農作物の収穫期を迎えるのですよ。その収穫状況がどうなっているのかも気になるところですが、よく1年間、国連制裁決議のなかで我慢し続けたなと思います。食料問題もあれば、エネルギーの問題もある。とはいえ制裁決議以降、韓国は22回も「制裁決議違反ではないか」と疑惑を持たれている「瀬取り」をやっているわけですから。その辺についても抜け穴を通ってやっていますので、そうじゃない状況へ早急に持って行きたいのだと思います。

飯田）日本もかなり暑かったですが、北朝鮮も「日照り続きで収穫が危ぶまれる」とニュースがありましたね。

須田）秋以降の食糧事情の問題にも大きく影響してくると思います。配給不足も考えられますからね。北朝鮮としても待ったなしの、崖っぷちの状況に置かれているのかもしれません。

飯田）そういうことも考えつつ、スケジュールも見ていかなければいけない。
アメリカの中間選挙もあるけれど、当然そこに向けて圧力も強めていくわけですからね。

須田）そうですね。早急に制裁決議に関しては解除ということになるのでしょうけど、そこに向けての一寸刻みの交渉、と考えてもらっていいと思います。

飯田浩司のOK! Cozy up！
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