豊洲市場開場! 人を育てる市場へ
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ニッポン放送報道部あいばゆうな記者が、10月11日に開場した豊洲市場での取材レポートを紹介する。
築地市場からの引っ越しを経て、きょう、10月11日から豊洲市場での業務が始まりました。早朝からマグロの初競りが行われ、私も、中2階の見学デッキから競りの様子を取材しました。
柱だけが並ぶ広い空間に、マグロが生と冷凍とに分けられて、所狭しと並べられるなか、ガランガランと元気よく鐘が鳴って、一斉に声が上がり、マグロが競り落とされていきました。
値段や数を指で示す「手やり」も見たかったのですが、競りの見学ブースには150人ほどの報道陣が詰めかけており、私もしゃがみ込んで人の脚の間から競りのおおまかな様子を見るので精いっぱいという混雑状態でした。
一方、競りの始まる前の下見の様子は、少し余裕をもって取材することができました。仲卸業者の方々が、並べられたマグロの切られたしっぽの部分の身を懐中電灯で照らしたり、木の柄がついた金属のひっかき棒のようなもので身をつついてメモをとったりして、じっくりとマグロを見定める姿が印象的でした。
30分おきに行われる、生のマグロ、冷凍メバチマグロ、冷凍マグロの競りの後は、青果棟での競りの見学に移りました。
青果棟では、より間近に、移動競りと固定競りの2つを見学できました。移動競りとは、食材ごとに設けられたブースを、仲卸業者の方々が順番に回る形式で行われる競りです。また固定競りとは、仲卸業者の方々がひな壇に立ち、その目の前で青果の入った箱を次々と台の上に流して競りを進めていくものです。青果仲卸売り場では、競りの掛け声をじっくりと聞くことができたのですが、取引と取引の間の「次!」という言葉以外は呪文のようで、残念ながらほとんど聞き取ることができませんでした。
青果仲卸売り場では、青果店の株式会社 定松の牧泰利社長にお話を聞くことができました。そのなかで印象的だったのは、「83年間築地で我々も育てていただいたという気持ちです。市場というのは、商品もありますが人を育てていただけるんですね。我々の会社だけだったら社員の教育もままならないんですが、市場に同業の仲間がいることで、プロとしてのレベルが上がる。こういった部分でも、ネット上だけではできない、人と人の繋がりが人を育てるというのがあるので…」という言葉です。
老朽化した築地市場に代わる豊洲市場というだけではなく、人と人の繋がりのなかで、人を育てる市場としてのスタート地点も取材することができたように感じました。