徴用工訴訟～いまこそ朝鮮半島から日本人が引き揚げる時期

By - NEWS ONLINE 編集部　公開：2018-10-31 　更新：2021-01-25

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」（10月31日放送）に国際政治学者の高橋和夫が出演。韓国人の徴用工訴訟問題について解説した。

2018年10月30日、ソウルの韓国最高裁で行われた判決後に会見する元徴用工の李春植さん（中央）　写真提供：時事通信

徴用工訴訟、韓国の最高裁が新日鉄住金に損害命令

先の大戦、太平洋戦争中に朝鮮半島から日本の本土の製鉄所に徴用された韓国人4人が、新日鉄住金に対して損害賠償を求めた裁判で、韓国最高裁判所が個人の請求権は消滅していないとして、賠償を命じる判決を言い渡した。日本に賠償を命じる判決が確定したのは今回が初めて。

河野外務大臣）およそ常識で考えられないような判決でありますので、韓国政府にはしっかりとした対応が行われるということを確認したいと思っております。

飯田）1965年に日韓請求権協定というものが締結されて、本来ならばそれで終わった話ではないかと思うのですが、どうですか？

高橋）3億ドルを支払って更に2億ドルの経済協力、計5億ドルと、当時の日本としては大変な負担の額を支払ったわけで、当然韓国側はこれで迷惑を受けたという人に支払うべきだったと思うのですけれど、それがなされていない。いま何十年も経ってからこれでは、日韓関係の法的基盤が揺らいでしまう。「なぜこの時期に」という感覚を多くの方が持たれると思います。私もそうです。今朝、日本の新聞すべてに目を通しましたが、さすがに韓国に理があるという新聞は1つも無いというのが、ちょっとがっかりするような、当たり前だというような気がしましたけれど。

飯田）メール、ツイッター等でいろいろ頂いています。“サバ缶”さん、群馬県館林から。「日本企業の、韓国でのビジネスにはどんな影響が出るのでしょうか。軒並み韓国から撤退ということもあるのでしょうか」というご質問です。

この時期に朝鮮半島の日本人の数を減らすということも1つの知恵

高橋）もちろん仮に訴えられた場合、韓国政府が代わって支払うというような手段を取ってくだされば、日本企業としては迷惑を受けないのですが。私なんかがこういうことを言うと叱られるかもしれませんが、朝鮮半島情勢は依然として緊張していて、北朝鮮の核の問題は1つとして解決していないわけですから、朝鮮半島での日本人の数を減らしておいた方が安全なのではないかと思います。緊張感が高まって「戦争が起こりそうだから」というときに退くのはなかなか難しいし、いまこうした様々な問題がありますから。日本としては不快感を示すというかたちで、その人たちの安全と朝鮮半島情勢の将来を懸念して、日本人の数をできるだけ減らすのも1つの知恵かなという気はします。というのも、日本政府がいま大変高額な兵器などをアメリカから買おうとしている。その理由は朝鮮半島情勢が依然として不安定だからで、政府もそう思っているのであれば、これは良いチャンスかなと思います。

飯田）確かに、今年版の防衛白書などを見ても、朝鮮半島、とりわけ北朝鮮に対しての態度というのは防衛の側では変わっていないですよね。

高橋）そうですね、非核化が進んでいるわけでもなく、トランプ大統領と北朝鮮の委員長がニコニコ握手して、写真としては素晴らしいですが、実質何が動いたのかといえば何も動いていないのが現状です。再び軍事衝突の危機が高まることも十分あるわけで、そのときになって急に人を下げるのは難しいですから、できる限り最悪の事態に備えて手を打っておく。こういう状況であればアリバイもありますし、良いのではないかと以前から思っているのですが。慰安婦像の問題のときから。

再び緊張状態に戻ることも予想できる朝鮮半島

飯田）考えてみたら、去年のいま頃はかなり緊張状態が高まっていた時期じゃないですか。極端から極端へ流れて融和ムードになっていますけれど、また極端に振り子が振れる可能性もあるということですか？

高橋）いま最もトランプさんの近くにいて、まともだと言われているマティス国防長官ですが、彼を外したいと言っている他の閣僚もいて、彼が辞めるという噂を流して辞めさせようとしていますし、トランプ政権がどう動くのかわからないです。最悪を備えて動くのは1つの考え方だというのが私の意見ですね。

飯田）非戦闘員の緊急脱出をNEOと言うようですが、アメリカ軍はこれをちゃんと備えていて、日本に関しては観艦式に船を入れるだけであれだけ揉めるわけですからね。そうなると緊急事態に自衛隊の艦船が行くというのも、考えれば難しいですか？

高橋）恐らく難しいと思います。必ずしも韓国の民意を表しているとは思いませんが、今回の事件に象徴されるような、わだかまりや感情が残っているのも事実です。そうした点を考えると何も無いときにこそ、動いておいた方が良いのかなというのが私の思いです。