ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月18日放送)に青山繫晴(自由民主党・参議院議員)が出演。2002年に拉致被害者5名が帰国した際、小泉政権が北朝鮮と同意した内容と、その後の拉致問題への影響について解説した。
平成最大のニュース~拉致被害者5人帰国
飯田)今回は、寄せられたメールにどんどんお答えして行きます。平成最大のニュースにも絡めて、春日部の“ジャスミン”さんからのメールです。「平成最大のニュースと言うと、平成14(2002)年の日朝首脳会談と、拉致被害者5人が帰国したことです。これは本当によかったと思いました」といただいています。
一方で、我孫子市の“走れエロス”さんからは「拉致問題に関して、金正恩氏は『譲歩している』と言っています。また、韓国の文在寅大統領は金委員長を信頼しきっていますよね。日本は何も言わなくて大丈夫でしょうか?」という心配のメールもいただいています。
青山)まず「小泉訪朝の結果、5人の拉致被害者が帰って来られたことが、平成最大のニュース」というお気持ちはすごく伝わります。
しかし、その裏を考えると、まずご承知の通り、北朝鮮は5人を返したわけではない。よく言って「一時帰国」です。「ちょっと故郷を見ても良いけど、その後帰ってこい」です。それを小泉総理や、当時の安倍晋三内閣官房副長官も含めて同意していたのが、あまりにも酷い。
実際、5人は一時帰国の約束で日本へ帰って来たのを、中山恭子さん(当時は自民党所属)がまず「おかしい」と言って、それで安倍さんが政権内部から異を唱え、ようやく「帰国」となりました。
多くの拉致被害者が残っている以上、帰国できた5名も心から喜んではいない
青山)私は自由民主党現職議員ですが、問題発言をどんどんします。小泉総理は「しばらく返すけど、その後北朝鮮に戻す」というだけで1兆円払おうとしていました。これは実質密約です。そして、全部国民の税金です。
北朝鮮から見たら、1兆円どころか1円も払われず、その後経済制裁になったから「日本こそ嘘つきだ!」と思いこんでいるし、相手側からしたら当然でもある。それが拉致事件が前に進まない1つの原因になっていることを考えると、平成14年(2002年)9月17日の日朝首脳会談と、その後の5人の方々の帰国。ご本人や家族にとって、これほど良いことはない。しかし、私が「日本人はすごいな」と思うのは、拉致事件のかすかな光として、この5人の方々が一瞬たりとも「これでよかった」とおっしゃらないのはもちろんですが、まったくそういう雰囲気がない。心の底から「よかった」と思っていない。他の方々もみんな帰って来ないと、解決ではない。
それから、曽我ひとみさんについては、母親のミヨシさんが帰って来ないと解決にならないということも含めて、他人のことを考えている。「自分が帰ることができたからいい」という気配がまったくないのは、本当にすごいことだと思います。
菅官房長官が拉致問題担当大臣に選出されたのは情報機関担当のため
青山)現在ですが、菅官房長官が拉致問題担当大臣になったことについて、多くの国民の方から「どうしてですか?」と反論をいただいています。この間、拉致被害者家族の方と改めてじっくり話して、菅さんにもお会いしています。「菅さんが拉致事件の全部の経緯をご存知なわけではないと思った」と指摘されました。
しかし同時に期待されているのが、安倍総理の新方針の「外務相だけに任せず、情報機関でやる」です。これは外務省の悪口を言っているわけではありません。日本で外務省が全面に出ると、北朝鮮も外交部が全面に出ざるを得ない。ですが、北朝鮮外交部や行政機関全体は、まったく何も権限がないのです。異常な国家ですからね。
だから、独裁者と軍と工作機関しか発言権がない。情報機関は北朝鮮にとって工作機関とまったく同じなのです。そして、日本の情報機関である内閣情報調査室を仕切っているのは菅さんです。だから担当大臣になりました。これは、解決についてやや前進したと思うし、北朝鮮は相手が情報機関だと、向こうも出てくるのです。
ところが、北村滋内閣情報官が、北朝鮮の策略室長の女性と密会したのを、わざわざリークする人間が日本政府にいるのです。したがって、「情報機関をやらせたくない」とか、そういうことを考えている人がいるのです。
飯田)場所までリークしていましたからね。
青山)つねに、敵は内側なのです。もちろん犯罪国家ですが、「北朝鮮が悪者」だけでは済まない。内側の敵を1つずつ摘出して行くことが、特に、私も含めた自由民主党の国会議員に求められていると思います。
飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00
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