中国への追加関税~軍事・ハイテク面で中国に脅威を持つアメリカの本音

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月31日放送)に国際政治学者の高橋和夫が出演。アメリカが中国に制裁を加える背景について説明した。

中国への追加関税の発動、アメリカが来月下旬にも表明か

アメリカのブルームバーグ通信などが伝えているが、報道では11月末に開催が見込まれている米中首脳会談で通商問題に進展がない場合、残りの輸入品全てを対象とする第4弾の追加関税を発動する可能性があるとしている。

飯田)複数の関係者の話として報じたということですが、「素晴らしい取引ができると思う」と言う一方で、できなかったら容赦しないということも言っている。

高橋)例によってトランプさん流の「脅かして脅かして脅かして」という交渉術だと思うのですが。中国に様々な制裁を加えて、それによって農産物の輸入などが影響を受けて支持率が落ちるかと見ていたのですが、トランプさんの支持率はどんどん上がっています。いまは45パーセントで、かつては30パーセントくらいでしたから。トランプさんとしては、「中国を叩いたら人気が上がる」という感覚があるのかもしれないですね。
それから、これはオバマ時代からあるのですが、「中国がやり過ぎている」とアメリカのエリートは皆思っています。サイバー面からアメリカのコンピュータシステムに侵入して攻撃する。中国のサイバー攻撃を受けていない企業はほとんどないくらい、攻撃されているのですね。初めてのことなので、どう対応したらいいか分からずにオバマ政権も何もしなかったのですが、トランプ政権になって「いい加減動いた方が良い」というアメリカ国民の怒りもすごく感じます。

飯田)この関税の問題も国防権限法が根拠になっていますが、あれは超党派で賛成したものでした。

高橋)そうです。関税の問題、それから中国企業によるアメリカのハイテク企業の買収の制限、買収とまではいかなくても大幅な株の取得の制限。そういう意味では、アメリカは中国のハイテク部門での構成に神経質になっていますね。

飯田)10月4日でしたか、ペンス副大統領はアメリカのハドソン研究所で演説をして、人によってはチャーチルの「鉄のカーテン演説」の現代版というか、中国とは完全に対峙して行くのだと言ったという話もありますが、アメリカの姿勢としてはそうなって行くのですか?

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海洋問題・ハイテク面で中国に脅威を感じるアメリカ

高橋)明らかに海洋問題ですよね。東シナ海・南シナ海への中国の進出、そしてハイテク部門での中国の追い上げに、アメリカが脅威を感じているということです。中国はアメリカの真似をして、アメリカのテクノロジーを盗んで、という感覚をアメリカは持っていたのですが、最近では中国自体が新しいテクノロジーを作っている。脅威だという認識ですね。アメリカからテクノロジーが入らなくなれば中国は日本から、ということで日本に接近していることが安倍総理の日中首脳会談へとつながった。中国と仲良くするのは良いのですが、アメリカとのバランスも考えなければいけない。日本も難しい立場に立たされていますね。

飯田)経済界も大挙して行きましたけれども、彼らがまさに狙われているということですか?

高橋)そうです。経済界の気持ちはすごくよく分かりますが、同時に大企業の大半はアメリカでもビジネスをしていますから、中国に入って行くということはアメリカで反発を受ける可能性もあります。オンリスクでやるというところですよね。

飯田)かつてのココム(COCOM)、対共産圏への輸出を制限するという、あれが対中国で同じようなことが起こるのではないかと指摘する人もいますね。

高橋)ココムという時代は、中国に対してはチンコム(CHINCOM)というのがありましたが、それは安全保障上のもので、いまは軍事面ばかりではなく、ハイテク面も含め全体で中国とアメリカが争っている。それだけ中国が大きくなって、アメリカが脅威としてそれを認識しているということです。

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