イギリスEU離脱案~民主主義でどう決着をつけるのか?
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」12月12日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。イギリスのメイ首相が表明したEU離脱協定案の採決延期について解説した。
イギリス~メイ首相がEU離脱案の採決を延期すると発表
イギリスのメイ首相がEUからの離脱協定案について、11日に予定していた議会での採決を延期すると発表。採決を予定していた離脱案が議会で否決される可能性が高いと判断したものである。
飯田)緊急声明を出して採決延期を発表したということです。EU離脱に関して反対であった左派、労働党に加えて、右派の強行に離脱をしようという人たちからも、こんなのでは生ぬるい、ダメだと言うことになって、どうにもしがたい状況ですね。
高橋)民主主義とはこんなものなのですかね。国民投票をした後、速やかにこういうことをやっておけばよかったのでしょうけれど。その後少し時間が経ってしまったから、そうでは無くなった人が多くなってしまったのではないですか。あれはギリギリでしたからね。こういうとき、民主主義ではどうやるのかなと興味深く見ています。このまま国民が少し変に思いつつ進むのか、それともやはり離脱はやめようかなということになるのか。でも企業もどんどんヨーロッパの方に行ってしまっていますけれどね。
飯田)既にアイルランド、或いはオランダやクルトなどに出ています。
高橋)もうマイナスの影響が出てしまったのです。しかし興味深いのは、イギリスがEUを離脱すると伝えたのに、それを「イギリスが勝手に取り下げても良い」とか言っている人もいるのですよ。EUの最高裁判所がそれでも良いと言っていて、面白いですよね。
飯田)EUの最高裁がそれを認めてしまっている。
高橋)イギリスが辞表を出したのだけれども、「やっぱり返してください」というのがありだったら、それはそれで丸く収まってしまうのであれば、これをやるかもしれないですよね。
飯田)国民投票をして民意が出ていることですよね。
高橋)それは前の民意でしょう。もう1回国民投票をすればできるのでしょうけれどね。そこがどこまで可能なのか。離脱したい人はいるわけだから。
飯田)強硬派なりの発想で、特に「新たな国民投票はダメだ」と言っています。負けてしまう可能性があるしと。
高橋)そうすると乗り上げてしまってね。
飯田)乗り上げたまま、衝突するぞ、するぞと言って本当に衝突してしまうということもあるかもしれない。
高橋)それが最悪でしょうけれどね。でもここで誰かが、あれは出したけれども手続き上ミスがあったとか、日付が書いていなかったとか、そういう話になったら上手くいくのでしょうけれど。どういう隠し玉があるのでしょうかね。手続き的には興味がありますが。
飯田)我々は日本の報道ベースで見るしかないのですが、見ていると本当に右往左往したままという感じです。
高橋)それがずっと続いているでしょう。イギリスの国益にはなっていないと思いますけれどね。
EUも先が見えない
飯田)イギリスの国民投票のときも、移民問題が1つの引き金になっていて、彼らに雇用を奪われたり、賃金を安く抑えられるということがありました。結局EUに入っているだけでデメリットがあるではないかという議論もありました。EUそのものも揺らいで来ているのですか?
高橋)フランスの暴動もそうです。EUのなかで頑張ろうと思ってマクロンさんがいろいろやっていて、財政条項となって、それで緊縮をやったらとんでもない目に遭ってしまったのが今回のことです。EUのなかで主導権を取ろうと思ったら、取れなくなってしまって結局、マクロンさん自体も危うくなっているという感じですよね。
飯田)支持率はどんどん下がって。
高橋)メルケルさんも辞めてしまうし、どうなってしまうのですかね、EUは。
飯田)その財政条項があるから、財政規律を戻そうとしたら、自分たちで金融緩和ができない分だけ切り詰めるしかない。
高橋)大変になってしまいますよ。財政規律を取り返さないと、EUのなかで主導権がとれないとマクロンさんは思ってしまった。マクロンさんはENA(フランス国立行政学院)出身の超エリートなのですよね。だからそういう発想になってしまった。それで暴動になったという感じがします。
世界的な潮流になりつつある緊縮財政
飯田)ブレアさんなどもそうでしたが、ヨーロッパの左派と呼ばれる人たちがどうも緊縮的な、急進的な改革の方に行きがちです。それで庶民の心が離れるということが、どこでも繰り返されている気がするのですが。
高橋)左派的ですから緊縮しなければ良いのですけれど、エリートだからどうもやってしまうのですね。
飯田)お財布のなかは綺麗に見せたい、みたいなものがあるのですか。
高橋)日本でも財務省が緊縮と言いますが、私は思想で言うのではなくて、きちんと財政状況を見ろと言っているだけなのです。そうすると別にする必要は無いから、それだったらエリートでも分かるでしょうというロジックです。なぜか遺伝子的に緊縮が好きなようですね。
飯田)トランプ現象もそうだった気がするし、世界的な潮流になってしまっているのですかね?
高橋)もう右か左か分かりませんが、どこの国も大変だなというのはあります。
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