メルケル首相引退表明~ドイツはどう変わっていくのか

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月30日放送)にジャーナリストの有本香が出演。メルケル首相の政界引退表明と今後のドイツについて解説した。

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2018年10月29日、ベルリンで記者会見するドイツのメルケル首相(ゲッティ=共同) 写真提供:共同通信社

ドイツのメルケル首相、2021年での政界引退を表明

ドイツのメルケル首相は昨日ベルリンで記者会見を行い、州議会選挙での連敗の責任をとって与党キリスト教民主同盟の党首を退くことを表明した。一方首相職は2021年の任期満了まで続投するが、その後は公職にも就かず政界から身を退く考えを示している。

飯田)メルケルさん自身は2000年からこの党の党首を務めていて、2005年からはドイツの首相としてこれまで務めて来ました。長いですね。

有本)長いですよね。州の選挙で負けてメルケル政権が終わって行くなかで、ドイツは1つの時代の変わり目を迎えるのだと思います。日本とはもともとのシステムが違うので、分かりにくいのですが、首相というのは、日本の場合はプライムミニスターですよね。ミニスターはそれぞれ大臣で、プライムミニスターは主席大臣という感じなのですが、ドイツの場合は英語で言うところの「チャンセラー」と言います。州そのものが、日本の県よりは遥かに行政単位として権限が強いわけです。ですから首相というのも、位置付けが違うというところではありますが、メルケルさんの長期政権が、1つのヨーロッパの流れをリードして来たというところも大きい。

飯田)はい。

有本)メルケル政権が終わるなかで、これまでのドイツ、それからこれまでのヨーロッパ。これに対する歴史的評価が、始まるとみていいと思います。

飯田)日本のメディアでは移民問題が、内紛のようなものにまでなってしまったと言われています。

有本)これも大きかったですね。寛大すぎましたよね。東ドイツの出身ですから、リベラルを志向するというところはあるけれど。それ以外にドイツという国の、日本とはちょっと事情は違うけれど敗戦国であるという点は同じで。その敗戦後のドイツでは「区別さえもいけない」と言うような。

飯田)人種による区別はいけない。

メルケル政権が終わり、「ドイツのための選択肢」の躍進で変わるドイツ

有本)その強い空気があって、そのなかでメルケルさんの政策があったのだと思います。難民は気の毒な人たちだから、助けなきゃいけないのは確かなのですが。2015年でしたか、もうほぼ無制限に受け入れるような流れでしたよね。それを今年に入ってから全く真逆のアナウンスをして、「ゲートウェイになっているイタリアに返す」みたいなことを言った。この辺りでもう、いままでの流れでは難しいということがはっきりして来ましたね。だけどこれから先、今回の選挙で「ドイツのための選択肢」という、ときどきは極右なんて表現もされていますが。

飯田)まあ、そうですね。

有本)必ずしも極右だとは思わないけれども、このグループの躍進と共に、ドイツは大きな変化を迎えて行くのだろうと思います。

飯田)その変化は、「EUの理想がちょっと違うのではないか」というものですね。

有本)EUの理想に対しても疑義をみんなが持っている、その表れでもあるでしょうね。

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