バイエルン州で大敗~注目される今後のメルケル政権の動き

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月16日放送)にジャーナリストの有本香が出演。ドイツのバイエルン州の州議会選挙でメルケル政権が大敗したことについて解説した。

バイエルン州議会選挙でメルケル政権が大敗

ドイツ南部、バイエルン州の州議会選挙が14日行われ、戦後50年以上にわたって単独過半数だったメルケル政権の与党が、歴史的な大敗を喫した。難民を多く受け入れた3年前の決断と、その後の連立政権内の対立が影響したと見られる。

飯田)ここは保守のかなり強固な地盤だったということでしたが、そこで負けた、というのはかなり痛いでしょうね。

有本)ドイツは南に行くほど保守色が強いです。

飯田)バイエルン、ミュンヘンなど大きな都市ですね。

過剰に寛大な難民受け入れが影響

有本)私が最後に行ったのは5年前ですけれど、ミュンヘンの中央駅を歩いていると、とてもドイツにいるとは思えない景色ですよ。移民の背景を持つ人が非常に多いという印象を受けます。だけど政治的には最も保守色の強いところなので、そこが負けたということは本当に痛いことです。特にメルケルさんという人は、これまで10年以上政権を維持してきた。しかもそれは変幻自在というか、彼女が当初務めているキリスト教民主同盟というのは、ドイツ全体に難民を無制限で受け入れるような左派的なイメージがありますが、ドイツにおいては政党自体が中道派のような感じです。ただメルケルさんの思いがあり、難民に関しては極めて寛容な政策を取って来ましたが、あれはやり過ぎで、当然極右的な勢力が台頭して来ます。ここで1つ問題にされるのは、「ドイツのための選択肢(AFD)」が今回第4党になっていて、これが各地で躍進しているのですね。この「ドイツのための選択肢」という政党は時折、極右という表現もされますが、挙げている政策をみると必ずしも極右ではない。ここを躍進させたのはメルケルさんの3年前の難民に対する過剰に寛大な政策だった、と言わざるを得ないです。今回地方で負けたということになると、連立の政権基盤そのものが危うくなる。だけど私はそのときが見ものだと思っていて、メルケルさんは先ほど言ったように変幻自在、昔の自民党のようなもので、社会党ともくっついてしまう、みたいな。

飯田)確かに、左派と言われる社会民主党と大連立を組んでいましたからね。

有本)ですから、そういう点でメルケルさんが、例えば第4党で躍進し始めている人たちをどう扱うのか。

飯田)いまのところ、AFDとだけは組まないと言っていますけれども。

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変幻自在なメルケル政権~注目される今後の動き

有本)言っていますけれどね。或いはこの一部を切り崩して自分のウイングに加えてしまうとか。長期政権を維持する意味での彼女の政局力にはすごいものがあるので、どういうことを今後やって行くのだろうというところですね。しかし、暫く地方の選挙では、メルケルさんの政党と姉妹政党であるキリスト教社会同盟の合わせた得票は、下がることはあっても上がることはないのではと思いますね。

飯田)AFDの政策というのも、移民を排斥するのではなく制限をしようというものです。主権の面で制限をするのは国の権利だろうという主張をしていますね。

有本)それからEUの行き過ぎた理想主義だとか、そういうものに対する反発もあるわけですよね。ドイツの場合はポリティカルコレクトネスが強いので、国民の声に出せない声みたいなものを吸い上げているのがAFDだとも言えます。メルケルさんはこの辺の力をどう自分のなかに取り込んで行くか。発言そのもの、言っていることは変わって来ていますからね。

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