中国の外交戦略~“故・劉暁波氏の妻ドイツ出国”の本当の意味

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月11日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。故・劉暁波氏の妻、劉霞さんのドイツ出国を題材に、中国の外交戦略について独自の見解を述べた。

劉暁波 妻 劉霞 ドイツ フィンランド ヘルシンキ 空港 笑顔

ドイツへの途上フィンランドの首都ヘルシンキの空港に到着し、笑顔を見せる故・劉暁波氏の妻の劉霞さん(フィンランド・ヘルシンキ) 2018年7月10日 写真提供:時事通信

中国の民主活動家故・劉暁波氏の妻がドイツに到着

ノーベル平和賞受賞者で、去年7月に亡くなった中国の民主活動家である、故・劉暁波氏の妻で、中国当局の監視下におかれていた、妻の劉霞さんが、昨日北京を離れてドイツに到着した。中国外務省は「出国は法律に基づいて処理した」と話している。

飯田)劉霞さんも、「病気療養のためドイツに行く」と大義名分を中国は付けましたが、どうですか?

高橋)周辺の情報を読まないとよくわからないニュースですよね。少し前に李克強首相が、メルケルと会っていますよね。今回は普通の解釈だと、「中国とドイツが一緒になって、実はアメリカに対抗するために」というストーリーが出ていますよね。
深読みというか、穿った見方をすると、実はドイツでいま大変なのはドイツ銀行なのです。あまり欧州の融資ができなかったり、投資銀行業務が上手くできなかったりしている。でも、ドイツ銀行はドイツ国内最大の金融機関なのです。

飯田)中央銀行ではない?

高橋)よく間違えられますが、普通の商業銀行です。そこの株主が、実は中国の海航集団なのです。中国政府にけっこう近いところなのですよ。

飯田)海航集団。習近平さんの右腕と呼ばれる王岐山さんが絡んでいる噂がありますよね。

アンゲラ メルケル

アンゲラ・メルケル - Wikipediaより

苦境のドイツ銀行の株主は中国政府に近い「海航集団」

高橋)ものすごく近いところで、ここがドイツ銀行の帰趨(きすう)を握っている。そして、おそらくメルケルさんはドイツ銀行の救済の話をしているはずです。そのときにあまり出張ると、「中国が欧州を乗っ取っている」とイメージが悪くなってはいけないから、こういうようなこともやったのではないかな、と。劉霞さんの話を、人権問題に強い関心のあるヨーロッパに対し、「これからドイツ銀行の救済をしていくけれど、ちゃんと人権もやっていますよ」というメッセージでは、と思ってしまいました。

飯田)中国アレルギーみたいな物を、事前に取り除いておく、と。

習近平 ドナルド トランプ

習近平とドナルド・トランプ(2017年11月8日)(習近平 - Wikipediaより)

ドイツを味方に付けてトランプ大統領と貿易面で対抗したい中国

高橋)それと同時に、メルケルさんを中国が取り込み、トランプに対抗しようとしている。いまトランプと中国の間はガチガチでやっているので、多少そういう意図はあると思います。

飯田)ここで二正面作戦などは得策ではないと。

高橋)そうですね。メルケルさんは西側諸国でも比較的中国に近い人ですから。そういう意味では取り込んでおきたい。それで「ドイツ銀行の話もありますよ」とか、やっているのではないかな、と。

飯田)「お宅もキツいだろ?」と。

高橋)そういうこと。だから、こういうのを見ると1つの話から世界情勢を推測できるのですよ。

高橋)中国も貿易戦争でいまアメリカとガチンコしていますが、あれを続けると中国が不利なのです。中国の輸入量はアメリカの輸入量より遙かに少ないですから。つまり、「中国がアメリカへ輸出している」ほうが大きいのです。だから、やり合うと中国が不利になる。
そして、将来は資本の自由化や為替の自由化もアメリカは言ってきますが、それは中国にとってキツい。だから、その前にどうにか手を打ちたいというのも見えている気がします。

飯田)中国政府が巧妙に手を打っていると思うのは、劉暁波さんの奥さんは出しているけど、弟は出していない。これは「弟を人質にして、劉霞さんに自由に話をさせないのでは」という記事もあります。

高橋)そこは中国ですから。いろいろなことをやります。

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