6/27(火)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!②
北京オリンピック以降、欧米は中国の人権問題に触れなくなった
7:02~ひでたけのニュースガツンと言わせて!:コメンテーター富坂總(ジャーナリスト・拓殖大学教授)
投獄されたままノーベル平和賞を受賞した中国の民主活動家、劉暁波(リウシアオボー)氏が末期の肝臓がんと診断され、治療のために仮釈放されていたことが分かりました。
劉暁波氏、がん治療のため仮釈放し入院高嶋) 2010年にノーベル平和賞受賞決定の劉暁波さんが国家政権転覆扇動罪で、零八憲章という民主化要求の後ろ盾というか先頭に立ち、中国の共産党によって捕まってしまいましたが、刑務所から釈放されました。ニュースによりますと末期のがんで、そのまま病院へ。これはどういうふうに読みますか?
富坂) 先月の23日に診断が出されて、病気療養という形になったわけです。中国としては批判を浴びるということもあって、こういった措置に出たと思いますが、非常に苦しいところだと思います。
高嶋) 刑務所内の病院では末期の肝臓がんで手に負えないと。逆にいえば放り出したようにも思えます。
富坂) 偉い人が捕まった場合、いつの間にか出てきているというケースがありますが、必ず一回こういう形で病院に入れます。だから公式的にはそう言っていますけど、実質的には外に出したという判断でいいと思います。
共産党が気にするのは宗教高嶋) いま一党独裁、共産党政権の一番センシティブな部分ですけど。生活がかなり豊かになって、昔みたいに学生が騒ぐとかそういうのも聞きませんが、どんな状況ですか?
富坂) 共産党として気にしているのは、正面から政治的に民衆化という話ではなくて、宗教、地下教会ですね。貧しい人を糾合していく力というのがありますから、そういう勢力に対して神経質になっています。民主化というのは生活苦の人にとって言論の自由と言われてもどうでもいい話というか遠いわけですよ。欧米にはすごく響きますが、中国ではあまり響かない。宗教で食べ物を配って「一緒に世直し」となると怖い。昔の中国は政変のときに必ず宗教が絡むので、アラブの春のときも即座に地下教会を取り締まりました。この2つのレールはちょっと違うところにあるので、外国の干渉を恐れているというところですね。
受け皿であった欧米が人権問題のことを言わなくなった高嶋) 民族問題はどうですか?
富坂) 民族問題は別個で。民主化問題となると中国全体の問題になりますけど、少数民族の問題になると、漢民族は彼らに対して何のシンパシーもないので小さな問題になっていくことがあります。
高嶋) へええ。衣食足りて礼節を知るという言葉がありますけど、騒いでいた人たちも生活水準が上がって、豊かになってきたらおとなしくなってきて。
富坂) この問題は受け皿だった欧米の冷たさが目立ちますよね。ヨーロッパ・アメリカの人は中国のトップと会うと必ず人権問題のことを言っていたのに、ヨーロッパは2008年の北京オリンピックを境に言わなくなってしまった。アメリカも2012年に盲目の活動家の陳光誠氏を亡命させたりしていましたけど、さっぱり言わなくなってきていますから。周りの反応が冷え切っていますね。