尖閣諸島をめぐる動き~中国に対して日本は行動する必要がある

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「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月2日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。尖閣諸島をめぐる中国の行動について解説した。

尖閣諸島領海への中国侵入船が武装警察部隊の指揮下に

沖縄県尖閣諸島周辺海域で領海進入を繰り返している中国海警局が、これまでの公務員扱いから、組織改編により、昨日から軍人に準ずる武装警察官に統一された。日本政府は武装強化につながる恐れがあると見てこれを警戒している。

飯田)いままでは日本でいうと「海上保安庁」と同格で、「いまも形式上はそうだ」と中国は主張すると思います。
ただ、軍事警察の傘下の武装警察の一員になるということは「軍の行動と線引きが怪しくなるのでは?」との声もあります。

須田)そういうリスクや心配が出てくるのは間違いありません。
ただ、以前この番組で、「日本の首相官邸は、中国の公船がどういうルートをたどり、1日に何隻入ったのか、航跡を記したものを中国から非公式ベースで毎日受けている。その紙を私も見たことがある」と話しましたよね。
なぜ、公船が入ってくるかですが、中国の国内向けの動きなのです。中国が国内で「弱腰じゃないか」と批判が起こることに対してナイーブになっている。だから、「1日4隻」ときちんと決まっていますが、その辺の変化がこれからどういう形で起こっていくのか、その見極めですね。
もちろん中国は申し上げたように、日本との関係と国内の世論形成の両睨みで動いていますからね。その両者を見ていかないと、何が目的なのか見えてこないと思います。

日本は断固として既成事実を作らせないために行動する必要がある

飯田)そこで変化なのか、尖閣の接続水域まで病院船を出してきた。これを「病院船が出てくるというのは、もう実戦に向けてかなり具体的なところまで来ているのでは」と指摘する人もいますが、どうですか?

須田)状況を変えようとする動きがあるのかな。尖閣問題に関してステージを変えようとする意識があるのは間違いないけれど、そこへ向けて既成事実を作らせないために、日本としてもきちんと「行動としての」メッセージを送る必要がある。ここが外交の難しさです。「こういうルールが決まったから」、「こういう約束があるから」でずっと続いてくわけではない。自らに有利になるように変えようとする力は常に働くので、そこは信頼関係云々ではなく、日本としては断固として行動としてメッセージを送るべきだと思います。

飯田)そうすると、国際的に見て軍に相当するのは自衛隊ですが、自衛隊も沖縄県の与那国などの先島諸島。その辺にも、陸上自衛隊のレーダーを配備しようとする動きが常にありますよね。

須田)尖閣海域に、何らかの形で海上自衛隊を派遣するとか、そういう動きが場合によっては必要だと思います。

飯田)向こうがすでに軍を出しているとなると、自衛隊が仮に近くまで行ったとしても、さほどエスカレーションというわけではないというわけですよね?

須田)バランスをとる動きです。「そちらが出てきたから、こちらが動く。こちらからではないですよ?」という形が必要なのかなと。

官邸と中国とは水面下のパイプを持っていることは認識しておくべき

飯田)もう1つ、日中間で懸念材料になっているのが、日中中間線でガス田を中国がどんどん開発しています。「共同開発と言ったじゃないか!」という感じですが、ガンガンやっていますね。

須田)「あれを中間線ではなく大陸棚として考えていくと、沖縄列島のすぐ間近までだ!」みたいな主張も始めている。

飯田)「大陸棚は全部中国のものだ」みたいなことを言い出していますね。

須田)それに対して日本の海洋調査船は、「いや、そうじゃない。大陸棚はここまで」とカウンターを打っている。そうしたことが必要なのです。
ただ、重要なのは、中国公船のルートの情報が寄せられていることです。つまり、日中間の水面下のパイプは機能していると、念頭に置いていただきたいと思います。ともすると「中国に対して強硬姿勢の安倍政権だから、中国がエスカレートしていくのだ」と批判されがちですが、違います。官邸はきちんと中国と水面下のパイプを持っていることは認識しておくべきと思います。

飯田)ある意味の、安全面は確保している以上は、向こうが出てきたときは、きちんとこちらも出ることができるということですね。
でも、そういう意味ではもっとやってもおかしくないというか……

須田)きちんとした行動をとることが、相手に対する正確なメッセージを送ることになる。向こうがやってきたからといって、摩擦や対立をおそれて何もしないのは、誤ったメッセージを送ることになりますから。

飯田)これは向こうからしたら誤解して「もっとやってやれ!」みたいなことになり、結果的にぶつかってしまうこともある?

須田)それを既成事実化させず、「ここまでなら容認される」と誤ったメッセージを送ることはしない。そういうことが大事だと思います。

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