中国潜水艦尖閣潜航~日本政府が強く抗議する本当の理由

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1/16 (火)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!②

潜航したのは攻撃型の「商」級原潜
7:02~ひでたけのニュースガツンと言わせて!:コメンテーター富坂聰(ジャーナリスト・拓殖大学教授)

小野寺 五典 防衛相

閣議を終え記者団の質問に答える小野寺五典防衛相=2018年1月12日午前、首相官邸

中国潜水艦尖閣潜航~問題は日常的な潜航の事実

尖閣接続水域を中国の原子力潜水艦が潜航したまま航行した問題。小野寺防衛大臣は「深刻に懸念している」と表明したが、本当の問題は尖閣諸島ということとは切り離したところにあるのだという。

小野寺防衛大臣)中国が尖閣諸島に関する独自の主張を行い、今般、海軍の艦艇、特に潜水艦が我が国の接続水域を潜航したまま航行したことは、緊張を一方的に高める行為であり、我が国として深刻に懸念をしております。

高嶋)上記は、小野寺防衛大臣の昨日の発言です。「11日に、尖閣諸島周辺の、例の接続水域を潜航したのは、中国海軍所属の攻撃型原子力潜水艦だった」と、昨日もニュースで伝えられました。我々は「尖閣諸島周辺で中国の原子力潜水艦」と聞くと、驚くのですが、専門である富坂さんは、あまり驚かないのですね。

富坂)そうですね。領土問題でこれを出してきたのか、それとも日常彼らのやっていることの一部分が、偶然パッと見えてきたのか、というと、私はどちらかというと、後者の、ありとあらゆる海の周りでやっていることがチョロっと出てきた話だと、思うのですよ。だから、この1つだけ取って「中国の意図はこうですよ」という説明がよくあるけれど、「そうじゃないだろうな」と思います。
だって、中国は西太平洋に向かって、軍事訓練などで兵力が移動することは、日常茶飯事でやっています。例えば昨年末も、「今年は200海里の近くをこんなに通過した、台湾も一周した!」と宣伝しているわけです。日本は騒いでいますが、逆に中国の実績として、「こんなに遠くまで出てきました!」ということです。

高嶋)向こうにとっては、日常茶飯事だと?

富坂)そうですね。でも、原子力潜水艦というのはある意味、非常に機密性の高いものなので少し事情が異なりますが。

中国潜水艦尖閣潜航~日本政府が強く抗議する本当の理由

潜水艦は秘密性が高く、日本はアメリカから完全な情報を受け取ることができない

高嶋)産経新聞によると、「90年代半ばから潜水艦の戦力を中国は強化し、現在は60隻を有する」とか。この間、尖閣の辺を通った「商級」という名前の潜水艦は、けっこう大きいですね。

富坂)中国が持っている原子力潜水艦のミドルクラスのものですね。
“原子力”潜水艦というのは、日本人は嫌な感じがしたと思いますが、それはどういうことかというと、米軍は中国の原子力潜水艦の動きを非常によく見ています。でも日本には情報が伝わってこない。だから、日本側はアメリカの動きを見て、どの辺にいるのか見なければいけないのです。そういう意味では、緊張する対象ではあるのですが、「尖閣を通ったから云々」という問題ではない。SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)というのは、南シナ海からでも十分に撃ち込めるものなので、近くに来たからどうこうの話では、本来はないですよね。
日常的に潜水艦の航行を自由にさせないというのは、尖閣の沖だろうと別の海だろうと、しなければいけないことなのです。そういう風に捉えるならこれは正しい話ですが、「だから~」という話ではない。

中国潜水艦尖閣潜航~日本政府が強く抗議する本当の理由

米中は互いに潜水艦対策を行い、対抗し合っている

高嶋)我々に水中は見えませんが、中国もアメリカも、あらゆる方法を使って……たとえば「中国の潜水艦はこの辺にいる」、「アメリカの潜水艦はこの辺で何をやっている」とか、分かり合っているということですか?

富坂)そうですね。しかも、オフセット(お互いの戦力をダメにする方法)をいろいろ考えているのですよ。そうした中で、アメリカとかは無人の、鮫くらいの大きさの原潜に張り付けるような兵器を開発中です。

高嶋)原潜に「張り付ける」?

富坂)張り付けてしまうのです。横にやって、いざというときには自爆します。そういう兵器を開発しているし、中国側は「海のドローン」と呼ばれる、魚くらいの大きさのものを開発したと言われています。潜水艦は気持ち悪いものなので、それを潰したいわけですよ。自由に動かしたくない。それをお互いにやっている。

高嶋)中国は魚の格好をした水中ドローン。アメリカは鮫……

富坂)もちろん技術はアメリカの方がずっと進んでいるとされていますが、対抗は持てるようになってきています。

高嶋)日本は、海中のことが一部しか分かっていないということですか?

富坂)そうですね。東シナ海は浅いので割と見えるのですが、南シナ海みたいなところに行くと、本当に見えなくなる深い海があるので。そこに隠れられるとけっこう厳しい。南シナ海を米中で取り合ったのは、そこに意味があるのですよ。

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

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