第2回米朝首脳会談~トランプ大統領がハードルを下げることはない

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ニッポン放送「有本香のOK! Cozy up!」(2月19日放送)にジャーナリストの有本香が出演。米朝首脳会談に向けて、北朝鮮一行がベトナムを視察したことを受け、2回目の米朝首脳会談について解説した。

第2回米朝首脳会談~トランプ大統領がハードルを下げることはない

金正恩氏、陸路で訪越も? ベトナム・ハノイのホテルを出る北朝鮮のキム・チャンソン国務委員会部長(中央)=2019年2月17日(共同) 写真提供:共同通信社

米朝首脳会談に向け、北朝鮮の一行がベトナムを視察

来週の27日と28日に予定されている2回目の米朝首脳会談に向け、金正恩朝鮮労働党委員長の側近で執事と呼ばれるキム・チャンソン氏一行はベトナムのハノイで港湾当局と打ち合わせを行い、首脳会談の会場や宿泊先の候補地の視察をした。

新行)1回目の米朝首脳会談の際に有本さんは実際にシンガポールに行って、現地で取材されていましたが、そのときも含めてこの2回目の会談はどうなるのでしょうか。

有本)あまり期待できないという予想もあります。2度会談して何の成果も見られない状況だと、アメリカ国内の世論もトランプさんちょっとどうなの、となりますよね。しかし、アメリカだけでなく日本も含めた国際社会が、北朝鮮のこの核開発に関して言えば、少なくとも25年間は騙され続けて来たわけです。騙され続けた歴史があって、それが一昨年の国連総会から流れが変わり始めた。非常に強い制裁をかけて向こうが折れて来ている。簡単に物事が進むと思ってはいけないという話ではあります。
前回は、金正恩委員長の顔見世興行的なところが非常に強かった。ですから、我々も含めてシンガポールにメディアが押しかけて、シンガポール政府も米朝首脳会談のホスト国として、自分の国をアピールすることに一生懸命でした。今回はそういうお祭り騒ぎ的なところは鳴りを潜めて、もうちょっと実務的になるのではないかとは思います。

拉致問題についてトランプ大統領は数回金正恩委員長に言及している

有本)ただ、いまの東アジアがトランプさんの目からどのように見えているか。トランプ大統領にとって、日本との関係がいちばんストレスがないのです。中国との関係だけではなく、日本に対しても貿易摩擦みたいなことが起こるのではないかとずっと言われて来ているけれど、日本とはそういうことにはいまのところなっていないわけです。それで日米の首脳の間では、会談の回数だけではなく、電話会談も去年の夏の段階で25回を越えていたはずです。去年の9月に総理に直接インタビューしたときにおっしゃっていました。異例なのは、非常に忙しいアメリカ大統領と、話題によっては長時間、電話会談をすることができている。その中心になっているのは北朝鮮問題への対応です。北朝鮮への対応は、日本は情けないことにアメリカ任せにならざるを得ない。そのなかで1回目のときには、日本の国内メディアが伝えていませんでしたが、会談の最中に実は金正恩委員長に対してトランプ大統領は複数回、「日本にとっては拉致問題の進展が大事なのだ。日本から何らかの協力や投資や援助を得たいと思っているのだろうけれど、それを日本に実施してもらうためには拉致問題を動かさないとどうにもならない」「安倍晋三にとってこれは非常に長く取り組んで来た問題だから譲れないのだ」ということを複数回言っています。
それに対して金正恩委員長は「それは分かっている」と返事をした。これが事実です。だからこれが前に進むかどうかが日本にとっての最大の注目ポイントで、それ以外の金委員長が陸路で行くかどうかなんてどうでもいい情報です。またどうでもいい情報が駆け巡って、核心の情報が日本国民にもたらされないという危険性がありますね。
ミュンヘン安全保障会議でペンス副大統領が演説をしているのですが、「ここで妥協はない。過去の過ちを繰り返さず、北朝鮮の非核化について、完全かつ検証可能な形まで持って行く。それまで制裁は緩めない」と言っています。ですからここでトランプさんがハードルを下げるのではないかという憶測もあるけれど、私はそうは思わない。

第2回米朝首脳会談~トランプ大統領がハードルを下げることはない

20日、白頭山の山頂で記念写真に納まる金正恩朝鮮労働党委員長(左から2人目)と南朝鮮(韓国)の文在寅大統領(右から2人目)。両端は李雪主夫人(左)と金正淑夫人=2018年9月20日 写真提供:時事通信

文在寅大統領がキーマンとはならない理由

新行)この会談で進まなければまだ制裁は続くということですね。メールもいただいております、“夢はモリモリ”さん、調布市の方です。「米朝首脳会談のキーマンは誰ですか。韓国の文在寅大統領が米朝の間に入って存在感を出すのですか」とあります。

有本)それは違いますね。文在寅大統領は「存在感を出したい」と願望しているのですが、アメリカのメディアは「文在寅さんは北朝鮮の主席報道官だ」と言っています。北朝鮮にスポークスマンとして使われているのはないかという見方をされているのです。それから前回の米朝首脳会談と変わったことがいくつかありますが、「韓国も制裁破りに加担しているのではないか」と国連に言われましたよね。これはかなり重いです。「彼はどちらの立場なのか」とアメリカも見ているでしょうね。この1年は米朝のトップが会うという局面に来ましたけれども、前の段階から文在寅さんとトランプさんが大統領になり、本来外に漏れてはいけない情報が韓国の青瓦台から漏れているという事態もあり、トランプ政権側は初期の頃から「この人は何なのか」と思っているところもある。そういう点でも「存在感を出す」と思っているのは文在寅さんの願望であって、日本のメディアでそういう声が多いとするならば文在寅さんの代弁者になっているということです。文在寅大統領は北朝鮮の首席報道官と揶揄されていますが、そのスピーカーに日本のメディア周りがなっているのかもしれません。

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