米中通商協議~全面的な解決に至らない根本的な理由
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(2月15日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。米中閣僚級の貿易協議と今後の両国の動きについて解説した。
米中閣僚級による、通商協議がスタート
アメリカと中国の両政府は14日、貿易戦争の収束に向けた閣僚級による通商協議を北京で始めた。3月1日の交渉期限の延長や、トランプ大統領と習近平国家主席の首脳会談開催の調整が水面下で進んでいる模様で、協議はきょう15日まで2日間行われる。
飯田)先ほどのニュースの延長のようなものですね。
宮家)そうですね。中国とアメリカの対立というのは、単なる黒字をが増やせ減らせという話ではないのです。
飯田)貿易黒字も貿易赤字も。
宮家)貿易の問題を超えた大国間同士の覇権争いです。今回はその覇権争いの一側面が貿易に出ているということだと思います。状況としては閣僚レベルでやっていると言うのですが、どの程度文書が詰まっているのか。先週アメリカで聞いた話では、合意文書のたたき台すら無いと言っていました。普通は合意をするときには文書を交わしますよね。だけどもお互いに言い分がありますから、交渉途中ではカッコ付きで両論併記の部分のがある草案を作るわけです。例えば10個とか20個、ブラケットと言いますが、カッコ付きになっている。それぞれをA案とB案がとあって、どちらに取るかで最終案が決まる出てくるものです。
飯田)そこまでは事務方が詰める。これも直前に次官級やっていますものね。
宮家)それがないということは、まだそれすら作れない可能性があるということです。理由として考えられるのは、中国は「習近平さんがトランプさんと直接話せば良いのでしょ」と。「ムニューシンさんだか何だか知らないけど、別にあんたとやる必要ないの」、「ライトハイザーさん? 知らないよあなた」と。「うちの親分がおたくの親分と決めるのだから。あんた関係無いのよ」と言われている可能性があるわけです。
北朝鮮も同じで、金正恩氏だって「いや俺トランプと直接やるからさ。あんた事務方と話してもしょうがないから」と。こういう風にアメリカがなめられているわけですよ。なぜなめられているかというと、トランプ大統領が部下の言うこと聞かないからです。トランプ大統領は自分が世界一の交渉屋だと思っているわけだから。そうなってしまった以上は下からの積み上げが効かなくなるということです。それはまともな交渉になっていない可能性があるということです。こんなことやっていれば、米中経済おかしくなるに決まっています。ですから、今回もある程度の一時的な限定的な妥協みたいなものが収まるかもしれません。だけどそれは次のラウンドに続くということであって、まだまだ全面的な解決というのは難しいのではないか思います。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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