トランプ大統領が一般教書演説で告げた“2つの宣言”
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(2月7日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。電話ゲストの上智大学総合グローバル学部教授の前嶋和弘を交え、トランプ大統領の一般教書演説について解説した。
トランプ大統領が一般教書演説~民主党への逆襲と再選
アメリカのトランプ大統領は5日、一般教書演説を行った。そのなかで金正恩朝鮮労働党委員長と2月27日、28日にベトナムで2回目の会談をすることを明言した。
飯田)開催地についての言及はありませんでしたが、ベトナム中部ダナンが有力視されております。上智大学総合グローバル学部教授の前嶋和弘さんと電話が繋がっています。一般教書演説をご覧になって感じた印象、評価をお願いします。
前嶋)これはトランプさんの2つの宣言だったと思います。1つは民主党への逆襲宣言、もう1つは再選へのスタート宣言です。簡単に申しますと、こういうことだと思います。政府機関の一部閉鎖を巡ってトランプさんは譲歩をしました。要するに政治的には負けであって、ペロシ下院議長が優位になっているところを、今回の一般教書演説で自分に主導権を取り戻すことが大きなポイントでした。そして取り戻すときのポイントは、やはり壁建設の話です。壁建設の話はトランプさんの支持者は応援しますので、逆襲と再選に向けてしっかりやって行くぞという、そういうメッセージですよね。
そもそもテーマが「偉大なることへの選択」というのは、自分がやっていることは偉大であって、今後やることも偉大なので、これを応援してくれというメッセージです。逆に民主党側はペロシさんの反発と言うか、白けている感じですね。民主党の白い服を着た女性議員たちの白けている感じを見ると、やはり対立は深まっているということも感じました。
飯田)演説冒頭のところでは、党のためではなく国のためだ、みたいなことを言ったので融和を語るのかなと思ったら、結局中身はそれほど変わらなかったということですかね。
前嶋)そうですね。最初に融和を言って、最後にアメリカは偉大だと言うのはいつものパターンですから。パターン通りの話なのですが、内容は「民主党見ていろよ」という話です。
東アジアについては米朝首脳会談の日程発表のみ
飯田)外交の方では米朝首脳会談の話もありましたが、東アジアに対してはトランプ大統領の姿勢は変わらずですか?
前嶋)変わらず、です。今回壁の話に時間を取ったので東アジアについては具体的に触れていません。中国に対しては不公正な貿易だということですが、具体的に3月1日の米中協議期限に向けて、どんな形で動いて行って、或いはどんなことをこれから要求するのかは出ていない。北朝鮮に関しても、ベトナムという国は決まり、そして日程については予定されている米韓合同軍事演習の直前にしているという感じです。予想通りですね。
飯田)そうなると国内向けのアピール、再選へというところですけれど、これはスイング・ステートがどう転ぶかも含めて、見通しはどうなのですか?
前嶋)何とも言えませんね。もし、きょう選挙をしたらトランプさんが勝ちますよ。民主党候補が誰だか分からない。そして具体的な名前が挙がって来ても、トランプさんと並べると少し力不足に見える。ただ、大統領選挙は成長物語を見る長い選挙戦です。これから1年半~2年かけて、民主党の無名な人が成長して行くという物語でもありますので、そうなると何とも言えない、というところです。
スピーチライターの原稿にトランプ大統領が手直し
飯田)スタジオにはジャーナリストの鈴木哲夫さんもいらっしゃいます。
鈴木)昨日聴いていて思ったのは、冒頭で、あの融和を含めた柔らかい表現に「おお」と思ったのですが、実は中身はそうではない。むしろ民主党に対して「やってやるぞ」という逆の意味合いを込めたという感じなのですね。
前嶋)そうですね。スピーチライターが書いたものに対して、「これでは少し生ぬるい」とトランプ大統領が言ったらしいです。かなり厳しいことを入れて、違法移民に殺された方の遺族とか、あからさまなゲストを呼びましたよね。
飯田)なるほど。こうやってアピールして選挙に使って行くということは、どこの政権もそうなのでしょうけれども、トランプさんもそれでやって来たという感じですね。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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