衝撃の新事実!? 日本史上初のマラソンは、幕末に開催された!
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【しゃベルシネマ by 八雲ふみね 第573回】
さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。
今回は、2月22日に公開された『サムライマラソン』を掘り起こします。
史実をもとに描く、新しい“サムライ映画”
若者から年配層まで、健康志向が強い人たちに根強い人気のスポーツ、マラソン。長い時間と長い距離を、自分の体一つでゴールへ向けて進んで行く。そのシンプルかつ過酷さゆえ、ゴール後には格別の達成感と感動を得ることができるのも魅力の1つと言えるかもしれません。
近年では、地域活性化も視野に入れた様々なスタイルのマラソン大会が全国各地で開催されています。東京での3月3日の「東京マラソン2019」参加に向けて、最終調整に余念がない人も多いことでしょう。
ところで、日本最古のマラソン大会は江戸時代に開催されていたという史実をご存知でしょうか。それは、いまも群馬県安中市で続く「安政遠足」のこと。“えんそく”ではなく、“とおあし”と読みます。
文武両道を奨励した安中藩5代藩主・板倉勝明が、藩士たちの心身鍛錬として徒歩競争を行ったことが始まりと言われています。当時の走行距離は、約30km。現在のフルマラソンよりも短い距離ではありますが、スタート地点の安中城門から碓氷峠の頂上にある熊野権現までの標高差は1,000m以上という相当なハードコース。ゴール地点では、酒肴やお茶、餅がふるまわれたそうです。
現在も5月第2日曜日に「安政遠足 侍マラソン」が開催され、サムライ姿はもちろん、仮装しながら走ることができるマラソン大会として人気を集めています。
そんな「安政遠足」からヒントを得て、歴史小説家の土橋章宏がイマジネーション豊かに書き上げた小説「幕末まらそん侍」が映画化されました。
ペリーが来航し、開国を迫った幕末の世。安中藩主の板倉勝明は藩士を鍛えるために、15里の山道を走る遠足を開催することに。それは「勝てばどんな望みもかなえられる」という夢のような大会だったが、行き違いにより幕府への反逆とみなされてしまい、安中藩取り潰しを狙う刺客が藩士不在の城に送り込まれる。遠足参加中に藩の危機を知った唐沢甚内は、その計画を阻止するべく走り出す…。
キャストには佐藤健、小松菜奈、森山未來、染谷将太、青木崇高、竹中直人、豊川悦司、長谷川博己ら日本を代表する超豪華な顔ぶれがズラリ。さらに『ラストエンペラー』を製作したジェレミー・トーマス、『めぐりあう時間たち』の音楽を手がけたフィリップ・グラス、『乱』の衣装デザインを担当したワダエミら、アカデミー賞受賞歴を誇る世界的なスタッフが集結し、新しい“サムライ映画”を誕生させました。
行きはマラソン。帰りは戦(いくさ)。私利私欲のために走り出した侍たちが、大切なものを守るために“真のサムライ”へと目覚めていく姿に、胸を熱くせずにはいられない、新感覚の幕末エンタテインメントです。
サムライマラソン
2019年2月22日(金)から全国ロードショー
監督:バーナード・ローズ
原作:土橋章宏「幕末まらそん侍」(ハルキ文庫)
脚本:斉藤ひろし、バーナード・ローズ、山岸きくみ
企画・プロデュース:ジェレミー・トーマス 、中沢敏明
音楽:フィリップ・グラス 衣装デザイン:ワダエミ
撮影監督:石坂拓郎 美術監督:佐々木尚
編集:上綱麻子
出演:佐藤健、小松菜奈、森山未來、染谷将太、青木崇高、木幡竜、小関裕太、深水元基、カトウシンスケ、岩永ジョーイ、若林瑠海、竹中直人、筒井真理子、門脇麦、阿部純子、奈緒、中川大志 and ダニー・ヒューストン、豊川悦司、長谷川博己
©“SAMURAI MARATHON 1855”Film Partners GAGA.NE.JP/SAMURAIMARATHON
公式サイト https://gaga.ne.jp/SAMURAIMARATHON/
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/